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今日の妹はひどく不機嫌だ。ぐずる赤子を抱きかかえ、ハジメはウロウロと歩き回る。周りには誰もいない。何も無い。母さんすらいない世界で、ハジメは妹と二人きりだった。妹の背中をさすっていると、その背中がむくむくと広がっていく。お尻もどんどん重たくなっていく。重さに耐えられなくなって、ハジメはひっくり返ってしまった。その上に、異形となった妹がずしりと乗しかかる。
まんま。
歯の生えてない、粘膜ばかりの口がハジメに迫る。ハジメはおもわず叫び出し、
「うおお、びっくりした」
重い四肢。遮られた視界。きょろきょろと右眼を巡らせ、ハジメは混乱しながらも周囲を探る。低い天井には丸い電球が一つ揺れており、周囲を仄かに照らしている。空気は煙って、少し煙草臭い。
ここは……?
首を傾けると、枕元でどこかで見たことのある異様な風体の男があぐらを組んでいる。
あなたは?
そうハジメは呟こうとしたが、口から出てきたのはふにゃふにゃとした訳のわからない言葉だった。激しい熱と痛みを感じ、そっと顔を触った。一回りほど、頬が大きくなっている気がする。
「起きたか?ちょっと待ってろ」
編笠の男は傍の盆からコップを取り、ハジメの眼の前でゆらゆらと動かした。揺れる水面が眩しい。
「ほら、水飲め」
重い上体を起こしてコップを受け取る。痣だらけの両手で注意深くコップを口に運び、ぬるい水を一口啜る。
「……ありあとうごあいます」
呂律が回らない舌で何とか礼を述べる。男は大袈裟なため息を漏らして、笠の下に手を差し入れた。出てきた手の指先には煙草があった。
「随分と酷い目にあったみたいだな」
酷い目。その言葉を聞いて、堰を切ったように数々の感情と情景が流れ込んできた。妹がいなくなった事、母さんが芋虫のお化けに食べられた事、自分だけ逃げてきた事。それらが全て現実だと気付いて、ハジメは静かに涙を流した。
「あ、あの、いもうとが」
何とかハジメは声を絞り出す。
「まだ、家に、いるんです」
ぐずぐずと泣き出すハジメを見て、男は煙草の灰を盆に落としながらため息を吐いた。
「妹ねえ」
「おばけに食べられ、ちゃう」
再び煙草が笠の下に持って行かれた。ふん、と鼻で笑うような声が聞こえて、煙が笠の下から溢れ出た。
「昨日のことか。もうとっ捕まって消化済みじゃないか」
昨日……。
か細い声をあげてハジメは本格的に泣き出してしまった。今更ながら男は慌てたように、薄汚れた刺し子布巾を投げて寄越す。
「おい、そんな風に泣くな」
布団に顔を押し付けて、ハジメはしゃくり上げる。薄っぺらい布団に染み付いた埃と煙草の臭いが身体中に充満した。でもそんな事御構い無しに、ハジメは縮こまって泣いた。
ごん、とハジメの右側の壁から鈍い音がした。少し涙が引っ込んで、ハジメはびくりと震える。
「ほら見ろ、隣が怒った」
「……」
「お前の妹は知らんが、お前は生きてる。良いことじゃないか。もっと喜べ」
「よろこ、ぶ……」
たった一人の妹の安否もわからないのに。ハジメは目の前の大人の無茶苦茶な言いぶりに微かな怒りを覚えた。その怒気を感じ取ったのか、男は何処か馬鹿にするような口調でハジメに話しかけた。
「なんだ、命の恩人に何か文句があるのか」
その言葉にハジメは何も言えなくなってしまった。確かにハジメの頰には無造作に軟膏とガーゼが貼り付けてあった。おそらくこの男が処置をしてくれたのだろう。
「別に今すぐ出て行ってもいいんだぞ。妹が心配なんだろ?」
男がそう言うが早いか、ハジメは布団から這い出て部屋の引き戸に向かった。ふらつく足取りで重い戸を開け、裸足で外に出る。
タイル張りの地面、いくつも並んだ同じような引き戸。頭上を見上げると、そこに空は無い。コンクリートの天井にはポツポツと明かりが灯り、それが空間を薄暗く照らしている。
どこだろう。今までに来た事が無い場所だ。
ぺたぺたと数歩歩く。途端に虚脱感に襲われ、ハジメは膝をついた。
「う……」
早く、妹を見つけないと。
ただその一心で、ハジメは這う。
しかし少し進んだところで、首根っこを掴まれハジメは軽々と持ち上げられる。
「汚いガキだ。外を素足で這い回るんじゃない」
先ほどの男だった。そのままハジメは元の長屋に連れ戻され、布団に放られる。
「あう」
「まさか本当に出て行くとは思わなかった。まあ、元気でよろしい事だ」
どかりと座り、煙草盆に置いてあったちびた煙草を再び笠の内に入れて、男は言った。
「お前の所為で何もかもが番狂わせだ。まったく」
「……」
「どっか行く前に教えろ。お前が見た化け物は、どんなやつだった」
「……イモムシみたいで、フリフリがついてて、おっきい……」
「フリフリしてるデカい芋虫な」
ふーっ、と男は紫煙を笠の下から吐き出した。
「おう、どこへとも行っていいぞ」
「……」
身勝手な男の言動に、ハジメはしばし唖然とする。
「それと、安心しろ。あんな事言ったがお前の妹は多分……」
不意に言葉を切り、ずい、と男は深編笠をハジメの顔に近づけた。むせ返る様な煙草の匂いが笠の内から漏れる。
ハジメからは笠の向こうの男の顔は見えない。だが、貫く様な、全てを見透かす様な、視線はわかる。
「……気が変わった」
ぼそりと男は呟く。底冷えする様な、重く暗い声音だった。
「お前、何処にも行くアテはないだろ?此処にいろ」
男は元の位置に戻る。指に挟んでいた煙草を盆の灰皿に擦り付け、火を消した。
「お前がここにいれば、妹は必ずやって来るはずだ」
男が半纏を投げて寄越す。
「それを羽織れ。さっきの様子だと元気そうだからな。出かけるぞ……ほら、さっさと動け」
有無を言わさぬ男の言葉に、おずおずとハジメは従う。母さんと同じで、この人も何をしてくるかわからない。おとなしく言う事を聞いていた方が良さそうだ。
重い肩をあげて、何とか半纏に袖を通す。
「靴はそこにあるだろ」
男は三和土を指差した。汚れた見覚えのあるスニーカーが一足、揃えて置いてある。ハジメが持っている唯一の靴だ。
そっと這い寄り、三和土に足を下ろして靴を履く。男も立ち上がり三和土の草履を無造作につっかけた。急かすようにハジメの肩を叩き、部屋から追い出す。
「まずは関所……」
南京錠だけの簡素な鍵をかけて、男は行き先を告げる。途端、ハジメの腹の虫が不満そうに鳴き声をあげた。
咄嗟にハジメはお腹を押さえる。
「こっち来い」
聞こえなかったのか、聞こえないふりをしているのか、男は通りを歩いて行く。その後をハジメはよろよろとついて行く。
入り組んだタイル張りの通路を何度も曲がり、男とハジメは広い空間に出た。通って来た通路よりも薄暗く、一段下がった暗がりには線路が敷かれている。
駅のホームだ。
知識としては知っていたが、初めて訪れた「地下」の様相にハジメは立ち止まり見とれる。
「何やってんだ」
少し先で男が立ち止まり、振り向いた。怒られそうな気がして、急いでハジメは男の側へ行く。
ホームの隅にひっそりと佇む屋台が、行く先に見えた。周りに碌な光源もないのに、暖簾の文字や店番の姿まではっきりと見えるのを、ハジメは不思議に思った。
「やってるな」
暖簾を跳ね上げ、男は備え付けの椅子に腰掛ける。隣の椅子をぽんぽんと叩き、
「ほらここ」
「は、はい」
背の高い椅子によじ登るようにして、ハジメも腰掛ける。途端、屋台の提灯が煌々と灯った。
「いらっしゃいませ」
店番と思わしき和装の女が、細い目を弧のように反らして微笑んだ。思わずハジメは会釈をする。
「あら、お連れさんなんて……聞かんほうがよろしい?」
「別に構わん」
驚いたように袖で口元を隠す女。男はどうでも良いとでも言うように紫煙を燻らせた。
「もり蕎麦でいいか。いいよな?もり蕎麦二つ」
勝手に男は注文する。ハジメにはそれを拒否する権利はないのだろう。
しかし女は柳眉を吊り上げ、口調だけはやんわりと異議を申し立てる。
「顔ぱんぱんやけど、怪我してるとちゃうん?お粥のほうが食べ易いと思うけど」
「あー……ならそっち」
「はい。ちょっと、待っててね」
湯呑みを二つ出して、女は調理に取り掛かる。そっと口に含んでみると、程よく温かいほうじ茶だった。それが口中の傷に染みて、少し痛い。
先程から俯いたままのハジメを一瞥して、女が口を開く。
「その怪我、何があったん?」
「あ、え、えっと」
ハジメは口どもる。母さんに殴られた、とは言いにくい。
「落ちて来た時にはこんな様だった」
「落ちて来た?」
笠の下から紫煙が溢れる。
「びっくりしてそのまま連れ帰って来てしまった」
「ショウケンさんそれ、誘拐と違います?」
「誘拐じゃねえ。保護だ。手当もしてやったんだぞ」
なあ?
突然男に振られて、ハジメは萎縮する。沈黙するハジメを見て女はため息をついた。
「通報しないと」
「言うな。狐も動いていたからな」
女の眉がぴくりと動き、「そう」と小さく答える。
「それなら眺めるのも一興かしら……はい、お待ちどうさま」
もり蕎麦が男の前に、濛々と湯気が立つ白磁の椀がハジメの前に静かに置かれた。白磁の椀には白い五分粥が満たされ、ほぐした肉が乗っている。
「お肉もちょっとは食べたほうが、体にええかなと思って。にしんも付けといたわ」
「あ、ありがとう、ございます」
差し出されたレンゲを取り、おずおずと頭を下げる。隣で煙草を吹かしている男にも礼を言う。
「あの」
「なんだ。とっとと食え」
「ありがとうございます」
いただきます、と小さく呟いて椀に顔を寄せる。ふわりと甘い湯気を顔に受けて、ハジメは何も考えられなくなる。
まずひと匙。一口。
それからは味わう余裕もなく、猛然と粥を掻き込む。切れた口内の痛みを上回る食欲が、ひたすらにハジメの手と口を動かす。
美味しい。
ほろほろと涙が出て、袖で目尻を拭う。それから再び粥を食べる。
「お腹、空いてたんね」
「あんまり掻っ込むと腹痛くなるぞ」
二人の言葉に耳も貸さず、ハジメは粥を平らげる。椀を置くと、女は何も言わずにそれを下げた。
再び粥が出てくる。
「それ食ったら関所行くからな」
笠の下へ蕎麦が豪快に啜られて消えて行く。その様を一瞥もせずハジメは頷いた。
「それにしても、不思議な子」
カウンターに肘をつき、女はハジメの顔を覗き込む。
「お腹空いてるからかしら。なんだか精気が」
「蕎麦湯」
蕎麦猪口をカウンターに置き、男は右手を泳がせる。女は黙って楊枝入れと湯桶を差し出した。
こつこつと靴音が微かに響く。女が小さく「いらっしゃいませ」と言うと同時に、暖簾を掻き分けて客が入って来た。赤いメッシュにピアス、公立校の制服を纏った女生徒はハジメの隣に腰掛けて、早速注文をした。
「たぬき蕎麦くださーい」
「おおきに」
そして自分の隣に座る小汚い子供に気付いたのか、派手に縁取った目を大きく見開いた。
「え、ショウケンさんその子誰?養子?めっちゃ怪我してるけど」
ほうじ茶を啜り、女生徒は矢継ぎ早に質問をする。
「ほっぺた痛そー」
「養子貰う余裕はない。上で拾ってきたんだ」
「そういうのさ、警察に連絡すべきじゃないの?オヤジに言おっか?」
懐を探る女生徒を制するように、男は煙草を挟んだ手を揺らす。
「後でウエズのとこ行くから、言うな」
「やっぱり誘拐よねえ、これ」
「ええー、誘拐なの?サイテーじゃん」
なんとでも言え、とばかりに男は煙草を吹かし、蕎麦湯をすする。ハジメは二杯目の粥を空にして、居心地悪そうに座っている。
「ねえ、名前なんていうの」
女生徒は肘をつきハジメの顔を覗き込む。目の前の黒みがかった赤色の唇に、ハジメは少し身動ぎする。
「えっと、マツマルハジメです……」
「ハジメちゃんねー、あ、ハジメくん?どっち?」
「おい、怯えてる」
小銭を何枚かカウンターに置いて男は席を立った。灰皿に煙草を押しつけ声を荒げる。
「ごちそうさん。腹一杯だろ、もう行くぞ」
「ご、ごちそうさまです。お粥、ありがとうございます」
男に急かされ、ハジメも席を立つ。女にもう一度礼を述べて、既にどこかに向かって歩き始めている男の後を追う。
「いい子ねえ」
「ほんとに犯罪じゃないんだよね?」
「さあ……」
背後から聞こえる二人の会話に耳を澄ませ、ハジメは空腹で忘れていた不安を思い出す。妹の安否が心配だ。
だが今は、この男を頼るしかない。
こちらを一瞥もせず先を行く男を見失わないように、ハジメはもつれる足で必死に追いかけた。
もういいかい。
まあだだよ。
どこからか聞こえた声を頼りに、肉塊は路地を這い歩いた。よく似ている声だった。もしかしたら肉塊が探しているものかもしれない。
甲高い笑い声をあげながら、肉塊よりもずっと小さな女の子が路地の先から走ってきた。女の子は路地の先にいる肉塊の姿を見つけると、足を止めて立ちすくむ。その女の子の顔を、肉塊はまじまじと見つめる。
この子は違う。
食べちゃおう。
涎を垂らしながら肉塊が近付くと、女の子は今更自身が置かれた状況に気付いたように泣き叫んだ。その声を聞いて、今度は肉塊の方がすくんでしまう。
誰かの泣き声は怖いし悲しい。
「こちらですよ」
尻尾の先に灼けつくような痛みを感じて、肉塊は振り向いた。妖火を引き連れた獣臭い男が三人、立っている。
「幼気な子供に手を出したらいけませんよ」
「我々が相手をしましょう」
「わかっていると思いますが、燃やし尽くしてはいけませんよ。連行しなくてはいけませんから」
妖火が爆ぜ、肉塊の肌を焼く。
痛い。なぜこの人達は、こんなひどいことをするのだろう。
悲しさと同時に苛立ち、肉塊は軽く尻尾を振る。ぶんと風を切り、右端に立っていた男の体が吹っ飛ぶ。地に伏して呻く男をすかさず捕まえ、大口を開ける。
おおよそ人間のものとは思えない叫び声をあげて男は暴れ出す。うるさい男の頭に肉塊は齧り付き、ぷつんと首からちぎり取った。
ひとしきり食事に夢中になった後、肉塊は我に帰る。周りを見渡すと、あの女の子も、残りの男もいなくなっていた。
逃げられちゃった。
肉塊はしょんぼりとして、またあてもなく路地を彷徨う。すんすんと匂いを嗅いでも、先ほどの男達の獣臭が邪魔して他の匂いがわからない。
どこにいるのだろう。
探しびとの顔を思い出すと、粘ついた液体がシワから染み出した。しょっぱい液体にまみれて肉塊はしゃくりあげる。悲しくてひもじくて、苦しい。
「面妖な」
頭上から声が降ってきた。
あるのかもわからない首を動かして、肉塊は見上げる。
中空に男の子が一人、浮かんでいた。縦に割れた黄金色の瞳に、鱗がびっしりと並んだ尻尾。人のようで人ではない少年は、ゆっくりと肉塊の前に降り立つ。
「そち、芋虫のような姿をしておるが……元は人間か?」
小さく男の子は首をかしげる。
「なんとまあ、よく化けたものじゃ。狐どもが怯えて騒ぐはずじゃな」
空飛ぶ男の子を前にして、肉塊も首をかしげる。この子はとても小さいけど、中に肉塊よりもずっと大きなナニカを秘めている。
とりあえず、食べちゃおう。
肉塊は男の子を捕らえようとする。
「無礼者!」
男の子が右手を振り上げた。手の軌道から黒い炎が噴き出て、肉塊を襲う。炎が肉塊の肌を舐めるたび痛みが走る。またひどいことをされて、肉塊は悲しくなって地面に寝転がった。
「うぅ」
「まろを喰らおうとした罰じゃ」
踏ん反り返る男の子。その背後の暗闇から、不思議な人影が現れる。
先ほどの獣臭い男達よりも少し背の高い、水色のポリバケツを被った人影は男の子の肩を叩く。
「トキヒトくん、ダメだよちっちゃい子をいじめちゃ」
「何を言うタキグチ。先に手を出そうとしたのは向こうじゃ!これはセートーボーエーじゃ」
「やり過ぎだよ。ほら、泣いちゃってるじゃないか」
ぐずぐずと涙をこぼす肉塊を、ポリバケツは指し示す。トキヒトと呼ばれた男の子は訝しげな表情になる。
「あれは泣いているのか?涎に見えるぞ」
「うー」
肉塊は丸くなる。
もうひどいことしないで。
そう伝えたいのだ。
「すねちゃったかな」
ポリバケツが肉塊に歩み寄る。
「ごめんね、トキヒトくんが」
「まろは何も悪くないぞ」
「意地張らないの」
そっとポリバケツは肉塊のボンネットに触れた。その箇所から冷たくおぞましい気配を感じて、肉塊はさらに丸く身を寄せる。
「きみ、餓鬼なんだ」
「飢えて死んだのか?このご時世に?」
「豊かな世の中になったと思ったけど、まだきみみたいな子がいるんだね」
ポリバケツはため息をついた。
「これも影響かな」
「そうじゃろうな」
「それなら、この子も被害者だね。なんだかほっとけないな」
ぽんぽんとポリバケツは、肉塊の贅肉だらけの背中を叩く。
「きみ、僕らについてこない?」
魅力的な言葉に思えて、肉塊はちょっとそそられる。もしかしたら彼らに着いていけば、探しびとの手がかりが見つかるかもしれない。むくりと肉塊は起き上がり、返事をする。
「うぅ」
「うーん、これは了承なのかな」
「たぶんそうじゃろ」
男の子は黄金色の目を細める。
「しかし本当に連れて行くのか?なんだかばっちいぞ」
「このくらいちっちゃい子は涎だらけなのが当たり前だよ」
狩衣の裾を翻し、ポリバケツは路地奥の暗闇に身を消す。その後に男の子も続く。
「おいで」
その声に導かれるままに、肉塊も暗闇に沈んでいった。




