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歩き続ける者達  作者: C・トベルト
歩き続ける者達~不伝~怪力乱神御伽噺
53/66

第53話 その声はいつも通り明るくて。


イドから出た蛙の子から、イドから出た蛙の子へ。

真実を伝える時は近い!早く放送室を占拠し、真実を伝えるのだ!


〜放送局・放送室〜


『オルガンさん、逃げてください!

あいつら、人間じゃない!人間じゃ…ぎゃああああ!!』

「アベシ君!?大丈夫か!?アベシ君、アベシ君!……くっ」


オルガンはゆっくりと電話の受話器を下ろす。

その後ろで、ショウメンが震えながら訊ねる。


「ど、どどどどうしたの?」

「階下で、君達を狙った軍隊が何者かに襲撃され全滅。

そしてこの放送局を占拠しようとしている」

「何者か……って、何者だよ!?

ハッ、まさか悪魔の軍勢達が僕達を助けに来てくれたのか!?」

「そんな訳無いじゃない!

あいつらの顔、デビルズヘイヴンでも見た事無いわよ!

絶対悪魔じゃないわよ!」

「じゃあ奴等は何者なんだよ!」

「今はそんな事議論している場合じゃない!」


バン、と強く机を叩いたのはオルガンだ。

先程見せた柔和な笑みはそこには無い。


「オルガン…」

「君達は逃げるんだ」

「何言ってやがる!?

この放送局は四方をあの変な奴等に囲まれてるんだぞ!

逃げられる訳無い!」

「この放送室には、君達みたいに人から追われる立場の人間がたまに訪れる。

ファンが多いアイドルや、汚職疑惑のある政治家なんかがね」


オルガンはそう言いながら、防音材に包まれた壁に向かって歩き出す。


「そんな者達を、そのまま帰す訳には行かない。

その為に、この通路は作られたんだ。

ここから数百M(メートル)離れた喫茶店に繋がっている」

「ひ、秘密の通路って事!?」


壁をそっと押すと、壁が開き暗い通路が現れる。

目を丸くした二人に、オルガンは小さな鍵を放り投げる。


「私のバイクの鍵だ。

喫茶店の前に置いてある。

悪魔の君達なら乗りこなせる、それに乗って早くここから逃げるんだ」

「あ、あんたも逃げるんだろ…?」


鍵を受け取りながらショウメンは訊ねる、しかしオルガンは首を横に振った。


「私は行けない。

ここで国民全員に危険が来た事を伝えなければいけないからだ」

「オルガン…」


ドンドン、と強く扉を叩く音が放送室に響く。

オルガンが振り返ると、扉の丸い窓から人影が映る。

オルガンは舌打ちした後、怯える二人に向けて叫ぶ。


「早く行け!」

「あ、そ、そんな……」

「ウシロノ、早く!」

「〜〜〜!

ごめんなさい、ありがとう!」


ウシロノとショウメンは暗い廊下の奥へ走り出す。

それを見届ける事も無く、オルガンは急いで秘密の扉を閉めた。

それから放送室の横についてある放送スイッチを弄りながら、一人呟く。


「全く、このビルを占拠した悪魔を助けるなんて、なんて俺は罪人なんだろうな。

どれぐらい恐ろしい地獄に落とされるんだか」


放送室のスイッチが起動し、マイクの灯りが灯るのを確認してから、オルガンはいつものように椅子に座る。

バリン、と音が鳴り放送室の扉が開く。それと共に無数の右手が百足のように這いつくばって近付いてきた。

それを見たオルガンはマイクのスイッチを入れ、語り始める。


〜エゴの風穴、入口〜


魔王とダンスは入口で論じあっていた。


「良いか魔王、俺は早く放送局に行かなきゃいけないんだ!

あの双子の放送を止めないと!」

「馬鹿者、放送局に向かっても街で酷い目に会うのは目に見えておる!

今やお前はアタゴリアン中の人気者なんだぞ!

エゴの風穴に入り、悪魔達に双子の行動を止めさせるよう伝えるのだ!

そうすれば少数の悪魔が双子を処理し、双方に被害の少ないまま事を終わらせられる!」

「それってアイツラを殺して無かった事にするって事だろ!?

俺はそんな後味悪い終わり方嫌なんだよ!」

「だが……」


魔王が尚も言葉を重ねようとするが、それを遮ったのはラジオから流れる声だ。


『イェーイ!皆元気にしているかーい!

DJオルガン・ベルノートの緊急放送だよー!』


二人同時にラジオに向けて振り返る。

ラジオから聞こえるオルガンのテンションはいつもより高い。


『今日は大変な事が起きたよ!

ダンスを探す為に起きたテロリストを収める為に集まった軍隊が、謎の集団に壊滅させられてしまった!』


〜王城、会議室〜


「何だと!?

我が軍が壊滅!?」

「誰だ!誰にやられたんだ!」


緊急放送を聞いていた大臣達が思わず立ち上がる。

コッコ秘書に至っては顔を青くし、急いで会議室から飛び出していった。


『謎の集団の正体は、全く同じ顔の奴等と大量の這いずる右腕達!

しかも『インタビュー』した悪魔達の話によれば、彼等の軍団でも無いようだ!

今も我々に近付き、いつ殺されるか分からない!』


「全く同じ顔の奴等に……這いずる右腕だと!?」

「悪魔じゃないのか!?」

「対策を講じねば……軍隊を呼び戻すよう伝えよ!」

「それが、先程から軍隊の連絡が途絶えたままで…」

「なんだと!?」


〜車の中〜


自動運転で動く車内で、リンベルはダンスを窓から探していたが見つからない。

もしかしたら放送局で何か進展があるかもと思い、車にラジオを付けるよう命令した。

しかしラジオから聞こえてきたのは必死に叫ぶ男の声だ。


『彼等は残忍にして残酷!

狂暴にして凶悪だ!

良いかい、国民達!今すぐ何処か安全な所へ避難するんだ!』

「え…何?

何が起きているの?」

『そしてダンス・ベルガード!

君にも私から一言伝えたい事がある!

必ず生きて彼等と出会ってくれ!

彼等は悪魔であれ少年少女、悪気は無いんだ!』


その一言に、ダンスも魔王も大臣達もリンベルも、誰もが黙ってしまい、オルガンの言葉に耳を傾ける。


『国民全員に伝える!

早く安全な場所へ逃げるんだ!

早く安全な……ガッ!』

「何だ?」


小さい呻き声と共にオルガンの言葉は中断される。

ダンスは不思議に思い耳を近付ける。するとラジオからボキボキと何かがへし折れる音が聞こえた。


「!?」

「どうした、ダンス?」

『失礼、今彼には席を変わって貰った。

今頃は地獄の席に向かっているだろう』


そしてラジオから聞こえてきたのは、聞いた事の無い男の声だった。


『私の名はナンテ・メンドール。

真実を伝えに来た者だ』



話が続くか?続かないか?

それは、ナンテ・メンドールだけが知っている。

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