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歩き続ける者達  作者: C・トベルト
歩き続ける者達~不伝~怪力乱神御伽噺
47/66

第47噺 双子悪魔は真実を玩具と勘違いして笑い合う。


双子悪魔から、若き魔術師へ。

君は一体何処にいるの?君はそこで何をしているの?楽しい事なら参加させてよ。

どこに隠れても必ず見つけてあげるからさ♪




真夜中のアタゴリアン都市部は眠らない。

大きなビル一面に貼り付けた硝子窓の奥が、昼間のように輝いている。

それを双子悪魔ウシロノとショウメンは楽しそうに眺めていた。


「ウシロノ、楽しそうだよね。

あそこにいる人達」

「ショウメンもそう思う?

あそこにいる人から、責任感や焦燥感、不安が僅かに見えるんだよね」

「あそこにある魂、食べたら美味しそうだよね」

「うん、チョコレートより美味しそうだ」


ニンマリと笑いながら、二人はビルを眺めていたが、不意に背後から両手が伸び、ゴツンと二人の頭を小突く。


「いたっ!」「あだっ!」


振り返ると、包帯を全身に巻き更にその上から赤いマフラーを巻いた、一目で人外だと分かる悪魔が立っていた。


「貴様等ここで何をしているんだ!」

「あ、魔王!

門番の仕事は良いの?」


頭をさすりながらウシロノが訊ねる。そこに立っていたのは魔王と呼ばれた門番であった。


「(貴様らが心配だ…その背後にある“闇”から見に螺旋の内を巡れとゼニスから天啓があったのでな。

(貴様らが心配だから見に行けと上から連絡があったのです)

それで、何か歓喜の舞を見つける為の手掛かりは得られたか?

(それで何かダンスを見つける為の手掛かりは見つかりましたか?)」

「魔王、相変わらず言葉が難しいね」

「まあそれを簡単に翻訳できるボク達も、何か危ない気がするけど……手掛かりなら見つけたよ、ほれ」


そう言いながらショウメンはドレスのポケットから取り出したのは黒い鉄の塊だ。

鉄の端に『ピストル』と書かれたシールが貼られてあった。


「ピストル?」

「ボク、ショウメンは『物探し』の悪魔。

まずこいつからダンスの手掛かりを見つけて」

「アタシ、『人探し』の悪魔であるウシロノが人を探すつもりだったんだけどさ。

確かにこいつからダンスの気配を感じるんだけど、小さすぎて見つかりづらいんだ。

恐らくどこか室内に隠れてるんだと思う。

しかしこれ、一体どういう物なんだろ?」


ウシロノとショウメンはピストルの銃口の奥を覗いたり、カチカチと引き金を引いて遊んでいた。

しばらく魔王はその様子を眺めていたが、やがて有る事に気付く。


「そうだ!

確かダンスが大怪我した時、近くにいた男がそれを持っていたのだ!」

「「え」」


二人の声が見事に同調する。

魔王は驚いた様子で言葉を続けた。


「確かその物から大きな音が鳴り響いた時に奴は倒れたのだ」

「それ、つまり、これが大きな音が鳴り響いたら、誰か怪我するって事?」

「うむ!その通りだ!」

「あっさり言わないでよ!怪我する所だったじゃない!」

「むう、すまない」


ウシロノはバシバシと魔王の背中をたたく。

だが逆にショウメンはニヤリと笑みを見せた。


「ねぇ魔王。

それって『ピストルを使った人がいる』って事だよね」

「そうなるな。

だがそれが何に」

「ウシロノ!

ボク達は今、素晴らしい事に気付いちゃった!」


魔王のセリフを無視してショウメンはウシロノに話しかける。


「ショウメン?」

「このピストル、上手く使えばダンスが何処にいても引き出せるよ!」

「ホント!?どうするの!」

「お耳貸して!こしょこしょ!」

「ふむふむ!

凄いよショウメン!君は天才だ!」

「いやいや、

ボクなんてまだまだだよ〜♪」


ショウメンはにこにこ笑いながら頬をかく。

魔王は一息ついた後、双子悪魔にこう告げた。


「では、我は戻るからな。

引き続きダンスを探すんだぞ」

「はーい!」


そして、魔王は真夜中の都を後にする。

暗い夜道は魔王にとって恐怖でも何でもなく、昼間より早く歩ける。

そんな訳で、魔王は朝日が昇る頃にはデビルズ・ヘイヴンの入口であるエゴの風穴に到着していた。


魔王はキョロキョロと辺りを見渡し、近くにダンス・ベルガードしかいない事を確認してから一息ついた。


「うむ、我が居なくてもダンス以外ここに来る者はいな…ん!?」


魔王は急いでもう一度振り返ると、腹部に包帯を巻いたダンス・ベルガードが立っていた。

ダンスは少しだけ恥ずかしそうに魔王に話しかける。


「よ、よお魔王。

久しぶり……だな」

「だ、ダンスウゥゥゥゥ!?」


魔王は思わずすっとんきょうな声を上げて飛び上がる。

デビルズ・ヘイヴンの彼等にとって幾ら探しても見付からなかった魔法使い、ダンス・ベルガードがそこに立っていた。




続くか?続かないか?

それは、さ迷う拳銃が知っている…。


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