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歩き続ける者達  作者: C・トベルト
歩き続ける者達~不伝~怪力乱神御伽噺
39/66

第39噺 螺巻きの鶏が唄う、拳銃の恐ろしさ。

螺巻きの鶏からイドに堕ちた蛙へ〜


螺巻きの鶏がイドに堕ちた蛙に土産代わりに謳うよ。

誰も知らない物語を、誰も伝えぬ真実を。

イドに堕ちた蛙よ、その真実の重みに耐えかね溺れぬよう気を付けるが良い。

その噺の文章はここから動き出す。


『ダンスは世界中の魔法を手にしようと考え、』



〜アタゴリアン・特別会議室〜



「…これを見てください」


発掘隊長フロッグが木箱の蓋を開け、中から出てきたのは、鉄で出来た黒い筒の付いた小さな物だった。

筒の後ろには円筒が嵌め込まれ、その下には引き金が付いている。

机に座っていた何人か居る老人の内一人が尋ねる。


「これはなんですかな?」

「発見された時、これの側に小さ紙が落ちていました。

それには『名前・ピストル

用途・武器』と書いてありました。

…故にこれの名前を『ピストル』、と名付けたいと思います」


フロッグはピストルの握りやすい部分を持ち、引き金に人差し指をかける。

老人は嘲笑した。


「武器?

そんな小さな物で殴るなら棍棒やナイフの方がずっと威力が有るではないか。

何を馬鹿げた事を」


バァン!


老人の声をピストルから発せられた音がかき消す。

そして、嘲笑した老人の足元に小さな穴が空いていた。

老人達から笑みが一瞬で消える。


「このピストル、引き金を引くと中に有る小さな弾が高速で飛び出すのです。

そして直線状に有るどんな物も貫いてしまう。

……もし人に向ければ、確実に死ぬでしょう。

更に恐ろしい事に、これは6回同じ事ができる上に弾を込めれば再び同じ事ができるようになるのです」

「なんて事だ…」


フロッグは銃を机に置き、老人達は震え上がる。

そして老人の中の一人、コッコ国王付秘書がフロッグに命令する。


「フロッグ発掘隊長、速やかに迅速にこれに似た形の物をできるだけ集めなさい。

…もし第三者が発見すればそれだけでこの国はおしまいになる」


フロッグ隊長は息を呑み、コッコ秘書はピストルを手に取る。


「これは恐ろしい物だ。

刀や槍では一度に殺せるのはせいぜい2〜3人だが、これを使えば6人の人生を一瞬で奪える。

更に弾を詰めれば12人、18人、24人、30人、36人…百回弾を込めれば村を幾つ滅ぼせるか分からん。

刀や槍では百回振り回しても百人しか殺せないのに…」


コッコは弾を抜いた後銃を暖炉に投げ入れ、大声で叫ぶ。


「絶対にこれを他者に渡すな!発見次第処分せよ!

分かったか!」

「は…!」


フロッグは一礼した後、急いで会議室を出ていく。

コッコはふぅ、と一息つく。


「…全く、なぜこんな物が発見されるのだろうな」

「…すべては二百年前、地震でイドの風穴が出てきた時から始まりますな」


イドの風穴。

そこに訪れると必ず何かが落ちているのだ。

ある時は蛍光灯、ある時は灯油、この前は明らかに風穴に入らないサイズであろうコンクリートの棒が落ちていた。

人はそれを「電柱」と名付けたが、何故それが風穴に落ちているか誰にも分からなかった。


「数百年前、あそこで初めて「電車」という機械を見つけた時に我々はこのイドの風穴に感謝した。

そしてそこで得た技術を糧に我々の機械学は進化し続けた」

「その結果、このような危険物まで来る事になったがな。

奇跡は何度も起こしたくない。

できれば車と銃を合体させたモノが来ない事を願うよ」


会議の中は静まりかえり、不穏な空気ばかりが集まっていく。

しかし、この国の脅威はイドの風穴だけではない事に誰も気づいていなかった。




夜、ダンスは一人自宅から抜け出て、ある場所に向かっていく。

そこは洞窟だった。ダンスはその洞窟を『エゴの風穴』と呼んでいる。


ダンスは杖に灯りの魔術をかけ、風穴内に入る。

暫く歩くと包帯を巻き付けた男性を見つけた。

ダンスは挨拶する。


「こんばんは。

スーパーハイパーマスターウルトラアームストロングネオパーフェクト暗黒大魔王様」



続くか?続かないか?

答えはイドに堕ちた蛙だけが知っている…。   


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