13 ダリウスさんと
翌々日、改めて両親と私はユスティアス公爵家に伺って、婚約が成立した。父親同士だけでも書類上は問題なかったけれど、せっかくだから領地に戻る前にと昼餐にお誘いいただいたのだ。
「ダリウスは、なかなか結婚しようとしなかったけれど、お嬢さんと出会う運命だったんですな」
冗談めかしてユスティアス公爵がおっしゃった。
ダリウス様は26歳と、確かに今の世界では独身なのが珍しい年齢だ。ちょっと大人なくらいが私はいいけれど。
「レイラを手放さずに済むのは公爵のおかげです。ありがとうございます」
お父様は、ラズヴェル侯爵家とのことを思いながら、半泣きになっていた。
「ここで言うべきことではないが、ラズヴェル侯爵家はちょっとまずいみたいだな」
「まずい?」
「偽の南薫酒の出所がラズヴェル侯爵家だと分かった。それから、フィオレット伯爵家に侵入者との報告があった」
公爵の言葉にダリウスさんが、補足したけれども、待って! 侵入者って何!? なぜ私より先にダリウスさんが知っているの?
「ダリウスさん、侵入者って……」
「ごめん、護衛の相談がバートン商会にあったから、うちの騎士を数人送ったんだ」
うちの騎士…………騎士……
たしかに騎士に見えるって、思ってはいたけれど、そうだったのね。
「重ね重ね、お力添えありがとうございます」
ずっと見守ってもらっていたんだなぁと思うと、それだけ心配されていたんだと、顔が熱くなった。
「侵入者は捕縛してあるから大丈夫だ」
すべて見通したような対応に感心する。私だけではきっと何もできなかっただろう。
「それから、レイラには護衛を付けたい。婚約したから公爵家から出しても問題ない」
「え? そこまでしてもらうのは」
「僕が、安心したいんだ」
公爵夫人はニコニコ微笑んでいた。お父様は恐縮していて、公爵は表情がわかりにくいけど小さく頷いていた。
「ありがとうございます」
そうして私には護衛がつくことになった。私より少し年下の女性で、ミーナと言う。
「私、公爵家のお嬢様がもう少し大きくなったら護衛につきたいのです。今回はその訓練も兼ねているそうで頑張ります!」
よく聞くとダリウスさんのお兄さんのところに小さな女の子——産まれたばかりの赤ちゃんがいるらしい。歩き出したりするようになると、子守と護衛を兼ねた若い騎士を付けるらしい。
「赤ちゃん、可愛いでしょうね。楽しみね」
「そうなんですよ。お坊っちゃまは五歳なので若い騎士がもう付いていて、羨ましかったんです」
「まぁ、お坊っちゃまがいらっしゃるなら公爵家も安泰ね」
私は今になって、食事会にお兄さん達が同席していなかった理由を知ったのだった。




