第6話 エリザベスの新たな日常
それから1週間後。
エリザベス・ヴァン・ド・モンテクリストは正式に「王国の聖女」として認められた。
ただし、彼女の聖女としての活動は少し風変わりだった。
・悪巧みを企てる貴族たちの前に突然現れ、「そんなことしたら後で後悔しますよ?」と優しく諭す
・いじめっ子を見つけると、いじめられっ子と仲良くするまで延々と説教を続ける(聖光付き)
・父親の陰謀会議に乱入し、「パパ、悪いことしちゃダメ!」と説得しながら、計画書を聖光で消し去る
一方、元・悪役令嬢の友達(?)たちは完全に面食らっていた。
「エリザベス様、今日は誰をいじめる計画ですか?」
「いじめないの。代わりに孤児院で歌を歌ってくる」
「え?!またですか?!もう今週3回目!」
最も混乱しているのはエリザベス本人かもしれない。
「神様、これっていったいどういうことですか?私、悪役令嬢だったはずなのに、なぜか人助けがやめられないんです」
ある夜、星空を見上げながらエリザベスは呟いた。
すると空から声が聞こえたような気がした。
『ごめんね、手違いで悪役令嬢の魂を聖女の体に入れちゃったんだ。逆もしかり。だから今、あっちの世界では聖女が悪役令嬢になって大暴れしてるはずだよ』
「えええええ?!じゃあいつか元に戻るんですか?!」
『うーん、システム的に交換は不可なんだ。まあ、君もそっちの世界で頑張ってね!』
「ちょっと待ってください!説明が雑すぎませんか?!神様?!神様ー!」
しかし空は静かなままだった。
エリザベスは大きくため息をつき、そしてふと笑みを浮かべた。
「まあ……いいか。確かに人をいじめるより、みんなの笑顔を見てる方が楽しいし」
次の日、エリザベスは相変わらず聖女(元悪役令嬢)として、ちょっと風変わりな善行に勤しんだ。
「さて、今日はどの悪巧みを止めようかしら。あ、まずは父の『王国乗っ取り計画・改』を止めないと!昨日の夜、こっそり新しい羊皮紙を買い込んでたからね!」
金色の光をまとった元・悪役令嬢は、今日も誰かを救うために駆け出していった。
そう、たとえ魂が入れ替わろうと、彼女は相変わらず「誰かの人生に干渉する」のが好きなのかもしれない。ただ、その方向性が180度変わっただけの話で。




