28 bound 境界 -生きる意味、生きてきた価値-
鼻をつく焼けた臭い、そこかしこの延焼跡、円心状に炭化したベンチ、破壊された祭壇や彫像、天井のステンドグラスは砕け落ちカケラの中には溶けているものもあった。
そして血の跡と見られる黒ずみと祭壇の前に転がっている小さく丸まったヒトの塊……
大聖堂のこの惨状を説明できる者は誰ひとりいない……
落日の後、しばらくしてから起こったこの出来事に町は大騒ぎとなり、その惨たんたる聖堂の姿は見る者を恐れさせた。神の御業か悪魔の仕業なのか、中には何かが神の怒りに触れ、憤激の拳が振り下ろされたのだ……そう言い出す者までいた。
しかしどのような騒ぎも、今のウレイアの耳には届かない……
ウレイアは宿に戻りベッドに座り、ひとり虚空を眺めていた。
「………!」
「「……??」」
「………………っ」
(とおくが…さわがしい……)
その傍にはトリィアが横たわっていた。いま、ウレイアの頭を巡るものは、トリィアと出逢ってから今日に至るまでの20年余りの歳月。
記憶に残るひとつひとつが順番に、すべてがありありと蘇っていた……
あの日…私は鑑定の仕事で遠い町を訪れていた。
あいも変わらず書店を物色して、少し文化の違う街並みを見ながらぶらぶらと歩いて、そろそろ帰路につこうかと考えていた頃だった。
どこかで誰かを呼ぶ声がする。『人』には届かないその声が私を振り向かせた。
(またか…)
さまざまな場所に行く機会が多かった私は、こうしてたまに幼い『同族』の呼ぶ『声』を耳にした。
その頃の私は2人目の弟子を失い心を傷めて……もう弟子は取るまい、これから先はひとりきりで生きていこうと決めていた。
私はいつものようにそのままやり過ごすつもりで遠ざかろうとしたが、何故かその時ばかりは足を向けずにはいられず、その声をたどって姿を探していた。
(私は何をしてるの?探してはだめよ…)
強く引かれるその声に抗うことが出来ず、脚は勝手に声に向かって進んで行き、そして立ち止まる。
力なく立ちつくすその娘は、既に私のことをじっと見つめていた。
(!)
娘は追いすがってくるわけでも無く、ただ……私を見つめている。しかも薄汚れて土にまみれていても、その服には血でできたシミがべっとりとこびりついていた。
どこにでもいる不幸な娘だ。
そう思って立ち去ろうと歩き出したのに、私の足はまたしても自分を裏切った。
そしてその瞬間に私は心を決めたのだった。
とは言え、そのすぐ後に私が自分にほとほと呆れていたのは言うまでもない。しかしこの時私はどうしても、トリィアを置き去りにできない何かを感じていたのだ。
私は娘の体を洗い、新しい服を買って与え、そのまま連れて帰ることにし、その道程で話しをできる状態かを確かめながら様子をみていた。
名前を聞けば、アンナ・ヘンリソンとはっきり答える。受け応えや着ていた服からしても、家柄の良い娘なのだろう。
とにかく死んだはずの人間がうろついているのは不味い、名乗りたい名前は無いかと聞くと首を振る。
私はトリー…3という意味の名を与えて、ずっと先の後にアンナを名乗ることはかまわない、けれどもこれからしばらくはトリーと名乗るか、好きな名前を決めるように言うと、彼女はそれを受け入れた。
私は思った…この子にはなるべく血生臭い技は最小限に教え、生き残る術を徹底して教えていこうと……
とは言え親が思うように子供は育たないものだし、現実もまた、そんな甘い思いをあざ笑っていたのだが…
トリィアは出逢った時から私になついた。そしていつも明るく振る舞う優しい心の持ち主だったが、でもそれは異常なことなのだ。
私達が再び生を受けるには心が壊れるほどの痛苦に晒されなければならない。それ程の経験の直後、大概の者は数年、ともすれば数十年の間、受けた傷の痛みに苛まれ、力を得てからは暗い感情に振り回されるのが当然だと言える。
つまりトリィアは無理をして明るく振る舞っていたのだ。
トリィアは私が家にいる間は常にそばについてまわり、部屋を与えても私のベッドで眠り、時折り酷く落ち込んでは私の膝の上から動こうとしない。そして自室に入るのはひとりで泣く時だけ………
そんな生活がしばらく続いたある日、トリィアは思いついたように私に聞いた。
「ウレイアさまは…わたしは、ウレイアさまの何なのでしょう?」
「ん?」
私はトリィアを弟子にするために連れ帰ったわけではない…と思う。当然のように連れ帰り、当然のように共に暮らしている。
あらためて問われると、それは私にも分からなかったが……
「そうね…何かしら?」
「え?」
「一緒に住まう者だから、家族、かしら…?」
トリーは少し考えると、
「かぞく、ですか…ではっ、ウレイアさまは私のおねえさまですねっ!」
「私がお姉様?」
「はい…ウレイアさまはおねえさまですっ。お姉様っ!」
この時、トリィアは初めて私を『お姉様』と呼んだ……
「…レイっ、ウレイアっ!」
「あ……エル…セー?」
ウレイアをそんな過去から引き戻したのはエルセーだった。
いつの間にかエルセーが目の前にいる、ウレイアはそのことに全く気づかなかった。
「あなたひとりしか感じないと思ったら…なんてことなの…?あなたまでそんな…ぼろぼろになって…」
エルセーはウレイアの意識をこの場につなぎ止めようとして、肩を強く握った。
ウレイアは、はっとエルセーの手首を握り返してすがると
「ああっ、エルセーっ、あなたならトリィアを救う方法を知っているんじゃないですか?おねがいしますっ…!」
「……」
しかし何も言わずウレイアを見つめると、小さく首を振る。
「そんな…」
ウレイアの手から力が抜け落ちていった。
「一体、何があったの?テーミスは?」
「テーミス?ああ、テーミスなら…間違いなく死にました…」
「それなら、なぜこんな…」
エルセーはトリィアの顔を優しく撫でた。
「トリィアは…トリィアは私が受けた…致命傷を肩代わりして…死……」
エルセーはウレイアの言っている意味を理解できない様子で問い詰めた。
「かたがわり?何?どういう…」
「何を教えたんですか…?」
「え…?」
ウレイアはエルセーに当たるように言葉を強めた。
「トリィアに何を教えたのっ?……この子が私に半分のルビーを贈りたいと言ったでしょう?その時に何を込めさせたんですかっ?」
少ない問いかけにエルセーは考える。これだけ言えばエルセーは全てを理解できる、それを分かった上でウレイアは問いかけた。
「………まさかっ!そ、そんなことが出来るわけが無いわ!誰かの傷を…ましてや致命傷を治すなんてことが……」
エルセーはトリィアのお腹に手を当てる。
「たしかにそれは…あなたの致命傷を引き金に後追い自殺の仕掛けは作れる…だとすれば、トリィアは自分のお腹に爆弾を埋めていたことになるけど…」
「っ!」
「この子はレイに危険が迫った時に知る方法を知りたがった。でもそんな方法は思いつかなかったし……私はトリィアにマテリアルのつなぎ方を指南しただけ。間違いの無いよう、かつ、確実に連携できる仕組みをねえ………私があげた、このコインをヒントにしたのかしら…?でも…だからといって、レイの致命傷を帳消しになんて出来ない…はずなのに…」
トリィアの首から垂れたペンダントには、エルセーが2人にプレゼントしたコインが下がっていた。
「レイへの想いと…自らの命を賭けた故の奇跡なの?トリィア…」
「奇跡…?そんな奇跡なんて…いらないのに……っ」
ウレイアは自分の脚に爪を立てた。
「とにかくっ、私の屋敷に戻るわよ、レイ?ここから早く離れた方がいいでしょう」
エルセーにそう言われても、ウレイアには動く気力も逃げる気持ちも湧いてこない。
「ほらっ」
腕を強く引かれ持ち上げられても、ウレイアは糸の切れた人形のようにだらりと体を傾けるだけしかできない。
そしてウレイアはぼそりと呟いた。
「くだらない…」
「え…?」
「正体を隠して暮らし、居もしない敵に常に怯えて、自分は強者だと自分を騙して人間を蔑んで……結局は殺されて終わるのなら、私達は一体何をやり直させられているのですか…っ?」
「レイ…」
「誰かを愛することも許されない呪われた人生の意味は何ですか?私はもう……疲れはてました……」
エルセーは腕を放り投げるように放すとウレイアを一喝した。
「200年も生きていない小娘が知ったように人生を語るんじゃありませんっ。人生の意味?そんなものは初めからあるわけがないでしょうっ!」
「?」
「意味の無いものに意味を持たせるのが人の価値というものです、尊い意味をねっ。分かっているはずよ、レイ?…トリィアは自分の命を使ってその意味を示したでしょう?それともトリィアは死に際に恨み言のひとつでもあなたに言ったのっ?」
「トリィアは…わたしにっ…『ありがとう』とっ……っ!」
「そのトリィアの亡骸をっおまえは彼らにくれてやると言うのですかっ?」
「!!……………っ」
そんなことを許せるはずがないっ!ウレイアは慌ててトリィアを抱き上げて、抱きしめた。
「トリィア」
「裏から出て真っ直ぐに街を出なさい、そこに馬車を止めてあります。さあ、先に行ってっ、私もすぐに追いつくから」
エルセーはウレイアを送り出すと、残った荷物を見回した。
万が一調べられても自分達に辿り着くような手掛かりを残さないように。
「馬も連れて行かないと…」
馬にも所有者が分かるように目印がきざまれている。宿の者が記録していないか確認する必要があるが、多分エルセーは従業員を直接問いただすだろう、強制的に……
たとえ教会の騒ぎが原因で街の警備が厳しくなっても、街を抜け出すくらい彼女達にとっては造作も無いことだ。
ウレイアは馬車の揺れから守るようにトリィアを抱きかかえ、馬車がマリエスタ邸に到着するのを待ち続ける。
リードはランタンを灯すことも無く、慣れた様子で暗い夜の平原の中で馬車を操った。
今のウレイアは酷くぼんやりとしていて、器である身体から離れてどこかの狭間を彷徨っているのか……自分の心の在処が分からない…
いつも頭の片隅には冷静な自分が全てを見守ってはいるが、ウレイアの心は遠くて、その声が届くことは無かった。
エルセーはそんなウレイアを悲しそうに見つめると同時に、抱えられたトリィアのことをじっと見つめて何かを考えていた。
(まさか…こんなことになるなんて。トリィア、あなたを失ったらこの子はもう…耐えられないかもしれない……)
そしてしばらく走った辺りで、エルセーが口を開いた。
「レイっ、街を出てからずっと、この馬車をつけて…いえ、付いてくる者がいるけど、あなた、心当たりがあるんじゃないの?3人の同族よ」
ウレイア達を追えるなど、ただの人間ではあり得ない
「さんにん……?ああ、おそらく…テーミスの元から逃がした…ものたちです。そう……ちょうどいい…止めてください」
ウレイアのうつろなことばにエルセーは眉をひそめる。
「何が丁度良いものですかっ、その3人で『うさ』を晴らしたところで何も良くなる筈など無いでしょう?自分をおとしめるのはおやめなさいっ!」
「おとしめる?……私は苦しむトリィアを救えなかった……所詮、わたしは『悪魔』で…」
バシッ!…っと、自分を罵る言葉を吐こうとした瞬間、ウレイアの頬にエルセーの手が叩きつけられた。
「なんて情けない……!しかもこんな平手打ちにすら反応できないなんて…これ以上トリィアの前で不様を晒すなら、この私が引導を渡してあげますっ。あなたはここでずっといじけていなさい!リードっ、止めなさいっ」
エルセーは馬車を降りるとその3人に向かって歩いて行った。
ウレイアは叩かれてうなだれた姿勢のまま動けなかった。そしてまぶたを強く閉じると、口をつぐんで唇を噛み締めた。
(ッ…あたたかすぎますっ………エルセー…)
付いてきた3人はやはりウレイアが逃がした同族達だった。エルセーはその3人の前に悠然と立ちはだかる。
「なんのつもりなのっ?あなた達…っ、テーミスの敵討ちをしたいの?なら…私が相手をしてあげるけど…?」
「「「!?」」」
ウレイアを追って来たらまたとんでもない大物が出てきた。
エルセーの威圧感に戸惑いながら互いの目を見合わせるとすぐに馬から飛び降りる。そしてウレイアが脚を斬りつけた女、まずエルセーに声をかけたのは彼女だった。
「あ、あの…馬車に乗っているもうひとりの…仇を討ってくれた人に会いたいのですが…?」
大方そんなことだろうと、エルセーはため息を吐いた。
「はあ…何故会いたいの?テーミスにしばらく飼われていたせいで飼い犬根性が染みついてしまったのかしら?」
「…っ!」
たしかに、期待などしていなかったと言うと嘘になる。特に無理に操られていなかった2人は自分の意思でテーミスの軍門に下った。
そしてテーミスの庇護のもとで過ごしていた時間が、不満はあっても不安の無い、ぬるま湯に浸かった状態だったのだから。
しかしその中で、少なくとも彼女は違った。
拒絶された上でテーミスが無理に取り込んだということは、それだけのものを彼女が持っていたからだろう。少なくともウレイア達の乗っていた馬車を追うだけの力を持っている。
「私はただ、テーミスから解放してくれたお礼と、その…少しでも話ができればなって……私の仇を取ってくれるって言ってくれたのに、私は何もできなくて、たったひとりで勝てるわけないって疑ってもいて…と、とにかく、こんなに誰かのことを凄いって…かっこいいって思ったのは初めてだったから……っ!」
(あらまあ、またあなたのファンが増えたようよ?あなたも少しは有名になってきたんじゃなくて?)
エルセーはかつてマザー・ゲーと呼ばれ、正体不明の大物として同族の間で囁かれ羨望を受ける存在だった。
ゲーは混沌の中から生まれた地母神で多くの恩寵をもたらした原初の女神。
その女神、ゲーと呼ばれたエルセーが、出来の悪い弟子の噂がお伽話のように広まるであろうことを喜んでくれていた。
しかし、エルセーは苦笑して首を振ると
「悪いことは言わないから、大人しくこのまま去りなさい。本人には、折を見て伝えてあげるから」
女は残念そうにうつむいた。
「私はっ 、デブラ・ノールズって言います。できれば…覚えておいてほしい、あとは『ありがとう』って伝えてください」
「分かった……そっちのふたりは?」
「え?」
「い、いえ…」
「そう、それじゃあ頑張りなさい。それから言っておくけど、この後着いてきたら殺すから、いいわね?」
「「「!」」」
エルセーは油断せずに、彼女らが十分離れるまで見送った。
戻ってきたエルセーは何も言わずに、黙ってウレイアを見つめていた。
馬車が揺れる度にトリィアの身体が物のように合わせて揺れる。
ふいにエルセーがトリィアの手を握った。
「?…」
「本当にトリィアはいい子ね」
そしてこの上ない微笑みをトリィアにかけてくれた。
「エルセー…すいませんでした。私には、あなたの弟子を…娘を名のる資格は無いですね……?」
破門されても仕方がない、殺されても文句は言えない。ウレイアはうつむいたまま、エルセーの顔を愚かしさのあまり見ることができないでいる。その姿はよくエルセーに叱られていた幼かった頃と何も変わっていない。
「はあ…まったくっ……本当に手のかかる子ねえ、あなたはっ?………まあ、鍛え直して欲しかったら、いつでも私のところに帰ってらっしゃい、ウレイア?」
「!………はい」
(私の師であり、母であり、英雄であるエルセー、私が窮地に立った時に必ず目の前に現れる……私は、あなたに拾われて、本当に幸運だった。あなたに叩かれただけで、生きてきた価値を感じます…エルセー……)
偉大なる母は、愛娘を叩いてしまった右手をずっと握りしめていた。
エルセーの姿は若返り、引き裂かれた服に血にまみれているウレイア、そのウレイアに抱かれているトリィア…更には深夜という異常な状況にも関わらず、使用人たちはウレイア達に深々と頭を下げて礼を尽くした。
あまりに変わった状況にウレイアの方が戸惑っていると
「あなたの泊まった部屋にトリィアを寝かせなさい。それから身体を洗って…着替えなさい。そんな姿はあなたには相応しくないわ……」
「はい……」
エルセーに言われるまま、ウレイアはトリィアをベッドに寝かせると、しばらく見つめて額にキスをした。
この屋敷の風呂にもトリィアの思い出がこびり付いている。身体を洗いテーミスの残しを洗って流すと、湯に身体を沈めた。
ひとりになったウレイアに、現実がまたのしかかる。とどめることもできずに、ウレイアはひとりでしばらく肩を震わした。
ウレイアが部屋に戻ると、エルセーはトリィアを見つめて手を握りしめていた。
見ればエルセーはトリィアを着替えさせ、身支度を整えてくれていた。
「エルセー…」
「レイ、少しトリィアのそばでお休みなさい。また明日ね?」
「はい」
エルセーはそれ以上は何も言わずに部屋を出て行った。
ウレイアはトリィアの横に体を横たえ、髪を撫でた。
(トリィア…私はエルセーの様に良い師…良い姉だったかしら?)
「もちろんですっ。お姉様は私の良き母で、姉で、たまに妹で……いつも恋人で、最高の師匠で、そして、かけがえの無いパートナーですっ」
「そう…」
欲張りなトリィアに呆れて肩をすくめた。
「それから、私自身、私の半分でもあります」
「それは…そうね、私も…同じかも……」
そう言ったウレイアを疑いの眼差しで覗き込んだ。
「えー、本当ですかあー?」
「ええ、よく分かったわ…失って、しまったから…」
「は?失った?何をですか?」
「あなたを…私の半分を…」
トリィアは怒った顔をした。
「やっぱりっ、私への想いはその程度だったんですねっ?」
「え…?」
「私はお姉様が死んでもそばを離れるつもりはありませんし、自分が死んでもお姉様のそばを離れませんよっ?たとえ魂だけになろうともお守りする覚悟ですっ!」
「それは、ただの精神論…」
「ただのっ?た だ の、とおっしゃいましたね?これは私の想いですっ!私達は想いを顕現させるのだと、お姉様はおっしゃったじゃあないですかっ!?」
「それは、ちょっと違…」
「いいえっ、一緒です。そしてこの想いは、ずっとずっとお姉様と私だけのものです。だから失うことなどあり得ないのですっ!」
トリィアは腰に手を当て、肩を怒らせて断言する。
「そんな…無茶苦茶な…」
「無茶でも苦茶でも押し通す、それが私達ですっ違いますか?」
「ああ、はい…」
「だからお姉様、これからもよろしくお願いしますっ。あっ、そうそう、これは…『気安めではない』ですよ?」
「え?」
「トリ…ィ…」
再び目を開けた時には外も明るくなって、トリィアはやはり…身体を横たえたままだった。どうやらトリィアを抱いたまま、眠ってしまったようだ。
ゆめ…だったのか……?あまりにも鮮明な明晰夢。
(トリィア…まったくあなたは…)
朝焼けに浮かんだトリィアの顔は、少し微笑んでいるように見えた。
コンコン…
「!?」
もう『監視』すらまともに出来ていない、視るとエルセーがドアをノックしている。
「はい」
「起きていた?レイ…」
エルセーは昨日の服のまま入ってきた。ということは昨夜はずっと起きてウレイアを見守ってくれていたのだろう。
「エルセー…」
「ん?いいのよ」
エルセーは起き上がったウレイアの頰を撫でると、トリィアを見つめて手を握った。
そして軽く顎を押してから腰の下に腕を差し込むと、トリィアを少し持ち上げる。
「?」
そういえば、度々トリィアの手を握っていたエルセーに、ウレイアはようやく違和感を感じ始める。
「エルセー?」
「ふむ……」
エルセーは何かをしばらく考えると、迷いながら話し始めた。
「レイ…あなたに変な期待を持たせたくないし、無責任なことを言うことになるかもしれないけれど、でも事実は事実だし…このままトリィアを埋葬するわけにもいかないし……それにしても、普段のあなたならすぐに気がついたでしょうに……何か妬けるわねえ?」
「?……あの、何を…?」
「ふつう…死後の硬直は顎などから始まって、大体10時間程で四肢にいたり、指の関節なども曲がらなくなる…」
「!!!!!!!っ」
「そして身体の循環が止まると目は白濁し、体液は下に溜まり始める……そうよね?」
そうだっ!エルセーの言葉を理解した瞬間、ウレイアは心臓が止まったっ。
そして震えて止まらない手を一度握ってトリィアのまぶたを持ち上げる。
「目の…にごりが…ありませんっエルセー!」
今度は早鐘のように心臓が胸を叩きつける。
「ウレイア!だから期待するんじゃありませんっ。今も万が一、いいえ、もっと低い期待で様子を見にきたけど、トリィアは目覚めていないでしょう?もっとも目覚めるのは2日後と聞いているけど……それに、何よりトリィアは一度生き返っている。でも死後の崩壊が始まらない…これは…どう考えればいいのかしら…?」
エルセーの困惑をよそにウレイアの期待はどんどん膨らんでいる。
無駄でもいい、無意味でもいい、すがりつける事実があるのなら、ウレイアはそれを手放さないっ。
たしかに2度生き返った者の話など聞いたことが無い。どんな結果が待っているのかは誰にも分からない領域なのだ。
「これは、どうすれば良いのかしら?もしかしたら死んでいるように見えてそうではないのかも…いえ、死んではいるのよねえ?」
「待ちます…っ、一週間でも、一か月でも…いいえ、100年でも待てます!この子の身体が死に向かうまでは…」
「でも、それはいたずらにあなたの心を傷つけてしまうかもしれない…あなたの心が壊れてしまうかもしれない」
エルセーは何よりウレイアの心配をしていた。
「いいえ、エルセー。まだ私にも出来ることがあるかもしれない、その時間を貰えただけで、私は救われます」
「ふう…そう。ならば、見守りましょう……」
死んでしまえばウレイア達も人間も変わらない、すぐに身体は崩壊して土に還っていくのだ。
(でもその兆候が無いのなら、私は待つことが許される)
「あの、エルセー…」
「なに?」
「馬車を貸して…いえ、売ってくれませんか?馬はいますから…」
その言葉にエルセーはみるみる顔を赤くすると、ウレイアを怒鳴りつけた。
「なっ?何を言い出すのっあなたはっ?許す筈がないでしょう、そんなことっ?!ここに居なさい!ここでっ、トリィアを見守りなさいっ!!どれだけ手を焼かせれば気が済むのですか?あなたはっ!?」
「あの…」
「大体、その馬だって私が連れてきたのです。もう私の馬ですっ、少しは私を…もっと私を頼りなさいっ!!」
ウレイアは憤慨して声を上げるエルセーを強く抱きしめた。
「エルセー、分かりましたお母様…」
「お母っ?」
「何日か…一緒にトリィアを見守ってくださいますか?」
「何日かですって〜?ずっとに…そ、それじゃあひと月…」
「3日…」
「に、2週間っ!」
「1週間…その後カッシミウに来ませんか?」
エルセーが折れた。
「もう、分かったわよっ、1週間あればここのごたごたも片付くしっ……」
「ありがとうございますエルセー…いつも私を見守ってくれて、叱ってくれて……私はあなたに育ててもらって…本当に良かった」
今まで言えなかった言葉と想いが、自然と口から溢れ出す。
(今のエルセーは母の顔。少しわずらわしいけれど、なんて贅沢なんだろう?)
彼女達に血のつながりは無いけれど、その代わりに全てが自由だった。母でも、父でも、姉妹にも、親友にも、恋人にも、何にでもなれる。
「帰りましょう、トリィア……私達の家に…っ」
そして、無二のパートナーにも…
エルセーを連れだって我が家に戻ったウレイアは、今だ朽ちないトリィアの身体をいつくしみながら毎日を過ごしていた。
セレーネはトリィアの姿を見ておろおろとうろたえて遂には泣き出し、しばらくトリィアのそばから離れようとしなかった。セレーネにとってもトリィアは、幾つかの無二のなかのひとつとなっていた。
あれ以来、ウレイアの好奇心は空いた殆どの時間を研究に没頭させた。
それは、他人の傷を癒すこと…
世の理で確かなことは、壊すことは簡単でも、壊れたものを治すことはとても難しい。そのことに例外は無い…物でも、人でも、その心でも。
ウレイアは大切なものを護ると誓いながら、困難と決めつけて色んなものを破壊することしか探求してこなかった。自分を盾として、自分達を脅やかすモノを排除して守ろうとしてきた。
「でもトリィアが見せてくれたもの…それは、『奇跡』などでは無く『可能性』」
その『可能性』をこの手に握るために使える時間が幸い、自分達には用意されているのだから……
「エルセー、もう帰るのですか?」
帰る間際になって、エルセーはトリィアを撫でながら口惜しそうにボヤいていた。
「中々に勿体つけてくれるわねえ、トリィアは………もう1か月も眺めているというのに。ねえトリィア?大お姉様の命令よ、早く起きなさい!」
エルセーはウレイアと共にカッシミウに来てからひと月もの間、トリィアを…いや、2人を見守ってくれていた。
「さすがにねえ、あまりあっちを放っておくわけにもいかないしぃ…あなたはこっちに来てくれないしぃ…?」
少し恨めしそうにウレイアを見た。
「結果がどうなるのかは分かりませんが…この子が戻って来るのなら、やはりここで目覚めさせてあげたいのです。だから答えが出たら必ず、あなたに会いに行きます」
今のウレイアならどんな結果であっても受け止められる。そう確信してエルセーは安堵したように微笑んだ。
「そうね、その時はたっぷりと、借りを返して貰うわよ!?」
「はい、利子もお付けします」
いくら返しても本当は返しきれない。返せても返さない。そんな貸し借りがずっと続けばいい、ウレイアはエルセーを見送りながらそう思っていた。
そしてまた2人だけになり、横たわったトリィアの傍らに座ってウレイアは語りかける。以前のウレイアならば絶対に言えなかった想いを言って聞かせる。
「結局、いつもあなたは背中を押して私に生きろと言うのね……いいえ、あなたは特に…と言うべきかしら?エルセーも、セレーネも、アーニスもレイスも…エキドナやテーミスでさえ、今目の前に在るもの、通りすぎたもの全てが私を生かしていたのね?」
「人は心を揺らしながら生きている。不遇を恨み憤り、幸運な出会いに喜び、心を引き裂かれるほどに哀しみ、笑い合い、叱られ、誰かを妬み、そして感情を揺らすこと、それが生きているということ、生かされているということ……私はずっと、心を揺らさないように生きてきたのに……ふふ、このあいだはね…エルセーに本気で叩かれたのよ?」
ウレイアはその頬に手を添えた。
「実感したわ……それは生きてきたからこそ貰えたものだって。解っていたつもりでも理解と実感は全くの別ものだったのね?」
「全てを見て、全てを感じいつくしむ……私はすぐに捨ててしまったけれど、あなたは今でも捨てずに大切にしていた、きっとこれからもずっと……そう、だからエルセーとあなたが似ていると思ったのかもしれない」
答えてくれなくても自分の言葉は必ず聞いている、ウレイアは疑わなかった。
「ねえトリィア、私が捨てて忘れてしまった生きている意味を……あなたは思い出させるために私の元へ現れてくれたの?私を生かすために……?生きていく価値を教えるために……?」
ウレイアはただ毎日、毎日のようにトリィアの身体を確かめ、身体を拭き、身なりを整えた。そしてやがて……
「!っ、お腹に張りがっ……!」
トリィアの身体に変化がある!壊れていた内臓を手に感じるようになった。
期待しても良いのだろうか?自分の元に帰って来るのだろうか?
ウレイアは祈るようにトリィアに囁いた。
「トリィアっ、『境界』を越えて…早く帰ってらっしゃい」
やがて凍った風が、雪雲を連れてやって来る……長い、長い数カ月……ウレイアにはもう、千年の月日にも感じていた。
「お師さま、姉さんの様子はどうですか?」
セレーネはウレイアの所に来ると、真っ先にトリィアの様子を聞いた。毎日毎日、欠かすことなく。その問いにウレイアは微笑みで応えてきた、毎日毎日。
セレーネも随分と力を付けて、少しでもトリィアの代わりを務めようと、期待以上の成長をしている。
そしてどうやら、セレーネはエルセーからウレイアを見張るスパイ役を仰せつかったらしい。その可愛らしいスパイの大役が更に、セレーネの成長を後押ししているようだ。
(本当に…ただでは帰りませんね、エルセー?)
得意気なエルセーの顔が浮かんだ。
遅くまでトリィアのそばにいたセレーネを送り出した後、ウレイアはトリィアをリビングのソファーに寝かせて、いつものように向かいのソファーに身体を預けて本を開いた。
冬の空では珍しく、雲の切れた夜空には月が浮かんで見えた。
「あら、珍しく月が見えるわよトリィア、しかも満月…」
(え?本当ですか?)
応えが聞こえた気がして、はっとウレイアはトリィアを見た!
しかし、月光を浴びているトリィアは、変わらずに身体を横たえている…
ウレイアは大きく息を吐き出した。
「ふうー、少し…疲れているのかしら……」
少し気を落としてウレイアは本を開き直した。
思えばもう1週間程眠っていない。うとうとしながら文字を追っている内にはまぶたも重くなり……徐々に眠りに落ちていく。
暖炉の明かりと温度を感じながら、眠りの縁でたゆたう意識の端のほうで、滲むように、囁くような、暖炉の炎とは違う白光がひらひらと揺らめく……
「う、うん…?」
ウレイアは惹かれるように白光に目をやった。
っ!
「と…?トリィア?」
光の粒がトリィアとソファーの間からにじんで漏れて、ほろほろと静かにこぼれている……
ウレイアはすぐにトリィアを前に膝をつき、こぼれて自由に彷徨う光の粒を手のひらで受け止めてみると、雪のようにすうっと溶けるでもなくウレイアの手に吸い込まれ中で光が瞬きながら消えていく。
(!……あ…!?…………流れに乗って何か温もりが巡っている……)
信じられないことにウレイアは考えることを放棄して美しく舞う光の粒に魅入っていると、こぼれてくる量が少しずつ増えていることにハッとするのだが、はたしてトリィア触れて良いものか僅かに躊躇した。
それでも恐るおそるトリィアを抱き起こすと、淡い光は一気に部屋全体を覆うように拡がった。
「これ、は…なにっ?」
ヴェールのように淡いひかり…
それはトリィアの背中から…
勢いを増して胸の裏あたりから左右に流れ出して散っていく。
散ったひかりの粒はどこまでも届きそうに漂い、部屋の中を満たしていった。
「トリィア……あなた…まるで……っ!」
ウレイアがただその美しさに目を奪われていると、
「っ!」
(あっ…)
ウレイアは千年の想いで待ち続け、その時を想像してはトリィアにかける言葉を考えていた。
でも…結局出てくるものは歓びの吐息だけだった。
「ああ………」
静かにすうっと、トリィアが小さな息を吸い込んだ…
ウレイアはトリィアを抱きしめて天を仰ぐ。
そして懐かしいトリィアの気配……
少しづつ呼気もしっかりしてくると、トリィアの手がウレイアを掴んだ。
「トリィ…アっ!?」
漂う光の粒がすっと溶けて消えると…たしかにトリィアの身体に力がこもる。
おおきく、ゆっくりと息を吸い込み…そして…
「おねえさま…?」
たしかにトリィアは、ウレイアを呼んだ。
「おかえりトリィア……やっと…やっとまた、逢えたわね……?」
それから少しの時が過ぎて……
ウレイアの家には、ぽつんとひとりでリビングに座るセレーネの姿があった。
「お師さま…姉さん…」
セレーネが寂しそうに呟くと玄関のドアが無造作に開いた。
「やっと着いたわっまったくもう、遠いのよカッシミウは……!あら、セレーネ……」
「エルセーさま…」
もうエルセーにとってこの家は、勝手知ったる自分の家になっていた。
まったく…屋敷をわざわざ用意した意味があるのだろうか?
「レイとトリィアは?」
「……」
セレーネはご機嫌斜めだった。
「どうしたの?セレーネ」
「お師さまは姉さんと旅に出ると言って昨日出かけました」
もちろんエルセーには知らされていない。まあ、彼女にとっては寝耳に水…ということになる。
「は…?はぁーーーっ?」
『結果が出たら会いに行く』ウレイアが彼女と交わしたその約束は、この旅のついでにと思っていたものだから……
「何っですってえー?知らせを貰ってすぐに様子を見に来たというのにっ、あの子はもうーっっ!」
「お師さまも姉さんも勝手ですっ。もう…あのふたりのことなんて知らないっ」
つんとセレーネがそんなそぶりを見せると、エルセーは狡猾なふくみ笑いを浮かべた。
「戻りますよ、セレーネっ?!」
「!、もう帰るの…ですか?」
「もう、何を言っているの?あなたも一緒に戻るんですよっ」
「は?」
セレーネは唖然として呆れた。
「いえ…私はお仕事が…」
「ああん、もうっ。あなたも私の門弟でしょう?いいわ、あなたの仕事先に案内しなさいっ!」
セレーネは呆れて唖然とした…
「ほらっ、行きますよ!」
「あ、それでも支度が…」
「いりませんっ!」
そのまま、セレーネはエルセーに腕を掴まれて引きずられていった。
雪まじりの強い風がうねって鳴いている……今は人も動物も身を潜めてじっと寒さをやり過ごす季節。
それでも、暖かい食べ物に、部屋に、お風呂や暖炉に、誰かの思いやりに…ぬくもりを感じるすべてのものが嬉しく感じるのもこの季節に違いない。
そこは何処かの大平原、時節がら旅するもの好きなど殆どいないが、ウレイアは我慢が出来ずに家を飛び出した。しかし会話もままならない耳障りな刺すような風が耳の奥で渦を巻いている。
「さーむーいいいーーっ!お姉様ー?私…病み上がりなんですけどー?」
馬車の手綱を握るウレイアの隣にはトリィアがいた、いつも必ずトリィアがいた。
「だって約束したでしょうーっ?ふたりきりで旅をするって!」
ウレイアはひとりで上機嫌だった。
「いえーっ何もこんな時期に出かけなくても……それに私が言ったのはもっと先のつもりだったのに。ああ…ずっと旅をしてようやく帰ったと思ったのに……」
「ああ、それは眠り続けていた時に見ていた『夢』の話しねっ?」
長い長い眠りの中で、トリィアはずっと旅をしていたと、ウレイアに話した。
「そうですー、ずっとずうっと旅をしていたのですよー?お姉様と一緒にっ。そしてようやくカッシミウに着いて『ただいまー』ってドアを開けたら……なぜかソファーで目が覚めましたっ」
「そう……ながい、旅だったわね……」
長いながい、こころの旅……互いに帰る場所はひとつしか無かった長い旅路……
「でもーっこんなに過酷な旅では無かったですーっ!」
「ねえトリィア?」
「は?はい?」
見るとウレイアは楽しそうに笑みを溢している。
「旅は楽しいわね!」
「は?はあ…っ?お、おお……お姉様が壊れてるーーーっ!?」
「ふふ…何を馬鹿なことを言っているの……」
「おお、お姉様…?ちなみにどちらへ向かわれて……」
「知らない!」
「っ?!、ま、まさかのノープランだーーーーー!!!」
頭を抱えて天を仰いだトリィアの叫びは厚い雲に吸い込まれていった。
「そんなバカな…っ、徹底合理主義のお姉様とは思えません……っニセモノっ?いやいやいや、私が死んでいた7カ月の間に一体何が……??」
「私はいつでも合理主義です。そんなブツブツ言っていないで、もっと楽しみなさいな?」
「楽しむって、こんな…時間も分からないような暗い雲の下で、しかも切れそうなぐらいの冷たい暴風に雪混じりの雨!楽しむどころか死んじゃいますよっ??一体何があったのですか?なんか…大お姉様に似てきていますよお姉様…っ?」
ウレイアはどきりとしたが、今はその言葉が嬉しく感じた。
「!、ま、まあ、しょうがないわね…」
「ああ、ついに開き直りましたね……ところでお姉様、本当に目的地も…いえ、目的も無いのですか?」
「何を言っているの、目的は旅でしょう?おかしな子ねえ?!」
トリィアが呆気にとられて口を開けたままウレイアを見た。そして慌ててウレイアから手綱を奪おうと手を伸ばす。
「もう帰りましょうっ、お姉様!」
「ちょっと…やめなさいっトリィア」
「じゃじゃあ、とりあえず大お姉様のところに行きましょう!ねっ?」
手綱を遊ばれて馬も戸惑っている。
「ふふ、危ないでしょ、トリィア……」
「もうっ、お姉様っ………!」
「やめなさい………もう、あはは……」
「わたしが……っ…!」
「こら……っ…………?」
「…………!」
「……」
ふたりを乗せたその馬車は止まる様子も無く、どこまでもどこまでも、自由に走り続けた。
どこまでも……
散々こねくり回して、とっ散らかして、よくもまあ36万字も叩いたものだと思います。今の自分としては精いっぱいの作品でしたがいかがでしたでしょうか?
今後の励みにしたいと思いますので、ご意見、ご感想などがありましたらチョロっと寄せて頂けるとありがたいです。
これまでお付き合いいただいた方、最後まで読んでいただいた方には厚く感謝申し上げます。
はねとり 諒




