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高校デビューに失敗して異世界デビュー  作者: バイブルさん
4章 ユグドラシルに導かれた者
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57話 ばれた秘密

 では57話になります。よろしくお願いします。

 徹が治療を受けていた頃まで時間は遡り、王の私室で、ティテレーネ王女からその父親であるエルフ王が置手紙を置いて飛び出して今に至るまでの報告を受けていた。


 まず、宣託があったとはいえ、モンスターの大軍に囲まれた村で騎士1人だけ連れて待っていたと聞いたところから既に頭が痛くなり始めた。しかもモンスターに襲われる前にどこかの国の刺客、娘が言うにはエコ帝国が第1容疑者と見てるらしいがそれに襲われそうになったと聞いた時は痛みを超え眩暈まで感じた始末だ。


 娘は分かっているはずと油断してたのが愚かだったのかもしれない。自分の存在がエルフ国を左右する大きな巫女であるを自覚して安全第一でやってくれると疑いもしてなかったが、よくよく考えればアレもまだ来年10歳になる娘でその辺りを察してくれというのも酷な話だったのかもしれないと思う。


 しかし、無事に帰ってきたのでまだ修正が効く状態とホッとする。


 先程の襲われそうになった時に現れたのが娘が言う宣託で示されたユグドラシルの使者、名をトールと言うらしい。まだ成人してなさそうな少年だ。さぞ強い少年なのだろうと聞くと強いのは間違いはないですが、今はまだ、仲間である女性2人のほうが圧倒的に強いと娘は言う。

 その2人と間違っているのではないかと聞くが娘にミザリーと同じ事言われるのですねと悲しそうな顔をされる。


 その少年が城の前で国民を逃がす為の戦いに挑んだ時の事を思い出す。確かに強かった、烈火のような戦いぶりに同じ男として震えるモノがあったが、いつ燃え尽きるのか分からない怖さを感じた。

 だが、娘は言う。あの少年の本来の姿は風のような存在だという。時に激しく、そして優しく。いつも存在を感じさせるのに気付けば隣にいるという不思議な存在が私が烈火と称した少年らしい。

 今は迷い傷ついているがきっと立ち直り、本来の彼になると。


 何故、そこまで信じられるのかと聞くと爆弾を落とされる。


 あの少年は自分のユグドラシルの導きだと言う。

 そんな事を認められるはずはない。娘には婚約者候補は唸るほどいるし、国の象徴でもあるのにどこの馬の骨としれない相手を認める訳にはいかない。


 私は今、思ったままを伝えると娘は激怒した。今まで強い感情を出さない娘だけに私は驚いた。ユグドラシルの宣託により示された使者を馬の骨呼ばわりするという愚かさをまず指摘され、反論を封じられ、宣託でも自分の導きだと伝えられたが出合った時にはっきり感じたらしい。あの少年が導きだと。


 エルフにとって導きを貶されるというのは死を勝る侮辱に等しい。確かに古い考え方ではあるが王族で宣託を信じる側がやっていい行動ではなかった。最近では導きを感じるという話は聞かず、愛してると同じ意味として導きと使われる事が普通になりつつある。決して間違ってはないのだが、本来は重みが違いすぎる。


 そして、部屋を出ていこうとする前に娘に言われる。


 少し、頭を冷やして冷静に見極めるよう諭される。それでも意見が変わらないなら何も言う事はありません、ただ、その時は親子の縁を切って王族の地位も捨てると絶縁状一歩手前のものを叩きつけられる。


 娘が出て行った後、頭を抱える。

 あの少年がそこまでの男なのかと考える。今は答えは出ない。あの少年が全快した時にもう一度向き合うと決める。


 が、しかし、それ以外の情報を得て、更に理解不能に陥るとその時の私は気付く訳がなかった。



 俺達は朝食を用意され、会話がいつもより少ない。それはそのはず、あれだけ俺を説教し続けたのにまだ喋りたい事があると言われたらビックリである。


 朝食の報せに来てくれたエルフのメイドさんが現れた時は天使が降臨したかと思ったものである。

 さすがは有言実行の勇者様、本当に朝食の時間まで説教が続いた。もう精神力がゼロよって感じを説教中に伝えていたがメイドさんのオーパーツに元気一発!って感じなると美紅が冷たい視線で昼まで延長なされますか?言われた瞬間、飛び上がった俺は土下座して許しを請うハメになった。


 ルナは満足するまで泣いたらそのまま、また寝て元気一杯である。今も美味しそうに食事をしている。



 食後の飲み物を出されるとメイドさんが話しかけてくる。


「食後の予定ですが、王との謁見をして頂く事になっておりますので、折を見てお呼びにあがりますので準備のほうをお願いします。また必要なもの、お聞きになられたい事があればいつでも、お声をおかけください」


 綺麗な礼をする。その動きに釣られるようにオーパーツもブルン、プルンじゃない、素晴らしい動きを見せて、これは良いモノですね・・・と、どっかの鑑定士のようなセリフを吐く俺の顔の横を凄まじい速度で通過するものがあったが反応できなかった。


「ごめん、手が滑ったの」


 淡々とした物の言い様で謝るルナ。

 後ろを振り返ると石壁に刺さっているフォーク。あれは果物を食べてたルナが使ってたものである。

 俺の横を通過したものがフォークとすら認識できなかった。魅入ってたから見逃したのか、余りの早さに見えなかったのかであるが、俺は後者を押したい。


 ルナのおっぱいへの過剰反応の段階がまだ上がる余地があったのか!戦慄から俺の頬に冷や汗が流れた。


 メイドさんは驚きもせずにルナに新しいフォークを出した。どこから出したのであろう?きっとあのオーパーツに収納機能があると俺は信じる。

 ルナが受け取ったフォークを羨ましげに見つめると、ああん?っとガラの悪い人のような顔され、俺は目を反らした。


 何事もなかったように壁に刺さったフォークを回収するメイドさん。


「後ほどお迎えにあがります」


 そう、ドアの前で一礼すると部屋から出て行った。


 準備と言われても特にない俺達はまったりとした時間を過ごす事にした。


 たいして関係ない話だが、元の世界では暇を潰すものがないと苦痛だった余暇がアローラに来てから苦痛に感じなくなってきてる俺は適応し出してるのかと苦笑したのは別の話である。



 それからしばらくして、メイドさんに連れられて謁見の間に案内される。

 扉の前に行くとメイドさんが道を開けて礼をされる。


「どうぞ、お入りになられてください」


 そういうと扉に控えていた兵士が開く。


 扉を抜けると映画で見た事があるような赤い絨毯、レッドカーペットというのだろうか?が真直ぐに伸びた先に玉座に座る王らしき人がいる。ティティと違って髪の色は金髪のようだ。顔も精悍な感じをさせるところからみてもティティはきっと母親似なのであろう。

 その隣に座るティティの姿が見える。俺をホッとした様子で眺め、笑顔を向けてくれる。きっと心配しててくれたのであろう俺の妹に小さな笑みを送る。


 俺とティティのやり取りを見て王の眉がピクリと動いた気がしたが事実だったら面倒そうなので気付かなかったフリをする事にした。


 廻りに家臣達の視線に晒され、緊張する俺は前に進む。

 王の前に来ると俺は映画で見たモノマネで片膝を着けて王への礼をする。


「顔を上げてくれないか?そなた達は我らの国の民を救ってくれた者達なのだ。そんな事されるとこちらも委縮してしまう」


 少し冗談ぽくおどけて言う王のおかげで緊張が少し解れる。廻りの家臣達からの緊張も少し解けたように感じられた。やはりと言うべきか緊張してたのは俺だけではなかったようである。


「まずは礼を言わせてくれ。城の前で死守して貰わなければ国民の被害はもっと大きかったであろう。エルフ国代表として言わせてもらう。有難う」


 王は玉座から立ち上がったと思ったら頭を下げる。


「王様、俺みたいな奴に頭を下げる事はないですよ!」


 俺は慌てて、王に頭を下げるのを止めるように言う。


「いや、君達は国民だけではなく、我が娘の命まで助けてくれた恩人なのだ。王としてもだが、1人の父親としても頭を下げさせてくれ」


 ティティの事を言われると王の気持ちを考えると無理強いする気もなれないがいつまでもこのままではと思い、王の近くに立ってる家臣達に目を向けて助けを求めるように見る。

 そうすると魔法使いといった格好した人とその後ろの一団が俺のほう、いや、俺の後ろの美紅を見て驚いているのに気付く。

 王もその様子に気付いた。


「宮廷魔導師ララールよ、何をそんなに女性をジロジロ見る。それだけでも失礼なのに何に驚いておる。失礼だから止めろ」

「いえ、王よ・・・」


 宮廷魔導師のララールさんは緊張から口の中がカラカラになったようで掠れた声を出し、王と美紅を交互に視線を巡らせて言う。


「目の前にいる黒髪の少女は勇者です。王よ」


 まさか、エコ帝国ならまだしもエルフ国でばれると思ってなかった俺は3人で目線を合わせてる。俺とルナは驚いてるが美紅は申し訳なさそうにする。


 王は頭を抱えて、疲れたように玉座に座る。



 さて、どうしたものだろうか・・・俺も心中では頭を抱えた。

 感想などありましたらよろしくお願いします。

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