↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

76/83

エイの干物 S.ケテル

 私は配信を見守る視聴者へ向けて、説明ゼリフを口にする。


「プレイヤーが作り出したという超大型機の原理を応用し、私もセフィラ用の超大型機を完成させた。私ことケテルは海王星の管理者ということになっている。LDOの海王星はほとんどが海の惑星だ、ゆえに主な戦場は海の中。ならば私の超大型機は、水中戦向けに調整するべきだろう」


《確かにテルっちが陸で戦ってるとこあんまり見たことないなぁ》


《前に1回だけあった気がする。陸地は機体が重くてやってられないって嘆いていたよ》


《水中戦に慣れちゃうとね、どうしてもね》


《陸に打ち上げられた魚》


《干物》


「誰が干物だ劣等種諸君。……ともかくそうして完成したのがこの機体だ。見た目はご覧の通り」


『なんだあの深海のデカブツは!? ……エイ!? マンタか!?』


「……いま敵の劣等種が言葉にした通りだろう。デザインモチーフは翼のようなヒレを羽ばたかせるようにして泳ぐ怪魚、マンタだ。白いカラーリングだから……ホワイトマンタとでも名付けておこうか」


《ホワイトマンタか……オニイトマキエイの真逆だな》


《オニイトマキエイ?》


《たぶん日本でいちばん有名なエイだよ。その中でも全身が真っ黒い個体はブラックマンタと呼ばれている》


《なるほど、全身白ならホワイトマンタがちょうどいいな》


「そういうことだ。さて、このホワイトマンタは何度も言うように水中戦向け。機体には多数の魚雷発射管が備わっており……」


 説明しながら、操縦桿を動かす。


 ホワイトマンタの各部から放たれる魚雷、その数は一度の斉射で64発。水中を素早く動くスターフィッシュ系EDAを狙うため、追尾性能に優れたモデルを採用している。


 スクリューを回し海の中を泳ぐ魚雷の群れ、追いかけるは敵の群れ。


『魚雷だ魚雷! 回避回避!』


『間に合わねぇ――――!?』


 ぼん、ぼん、と。水中で発生した爆発が、大きな泡となって水底を彩る。


 レーダーマップを見れば、いまのでかなりの数を落とせたらしい。


 一方で生き残った敵機は、ホワイトマンタの下側へと回り込む。


『さっきの見たな!? アイツの魚雷は上と水平方向への発射数は多いが、下側は手薄!』


『下が弱点!』


『下から攻めればいいってことだな!』


 確かに、魚雷による攻撃は上と横方向を狙ってのもの。


 なぜなら下方向には別の武装があるから。


「爆雷投下」


 ホワイトマンタの腹が開く。そこから投下され水底へと沈んでいくのは、ドラム缶型の爆発物。


『うわぁなんか降ってきた!?』


『……爆雷だ! 避けろ避けろぐええええええええええ!』


 下方の敵は次々と降り注ぐ爆発物によって、水底の残骸となっていく。


『上も横も下もダメか!』


『どうする!?』


『どうしよう!?』


 混乱する敵軍が、ちょうどホワイトマンタの正面、縦一列に並んでいる。


 ならば第三の武装。


「トライデント・バスターレーザー砲。目標は正面の敵軍。放て」


 ホワイトマンタの前面装甲が開き、その内側に隠されていたレーザー砲が光線を発射。


 基本的に水中ではビーム・レーザーなどの光学兵器は威力が減衰するのだが、このトライデント・バスターレーザー砲はその威力減衰が抑えられた『水中でも使える光学兵器』だ。


 暗い水底を明るく照らし、光の槍は一直線に敵軍を貫く。


『水中レーザー!?』


『バカなあああああ!?』


 また複数の敵が海の藻屑と。


 良い性能だ。これならプレイヤーを圧倒できる。ボスキャラらしく戦える。


 不安があるとすればプレイヤー側の超大型機だが、あれは地上戦用の蜘蛛型。


 水中から攻撃し続ければ問題なく倒せる。うん、完璧だな。


 と、頷いていたら、


『……見つけた! 敵の、たぶんケテルさんの機体……ってでっかい!?』


 何かが海に潜ってきた。


 カメラアイをそちらに向けて確認。


 大きな傘型の胴体から、複数の触手を伸ばす、機械のクラゲ。


 それはプレイヤー側の超大型機であり、パイロットは私が参考にしたチームASPの女の子らしく……あれ?


「蜘蛛型じゃなくなってる!?」


 想定外の機体がでてきたら、びっくりするしかないじゃないか……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。