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Vで2! S.アルミラ

 私の目の前で、ミカのファルケディルナが炎に包まれました。いつか倒そうと思っていた機体が、他人の手によって落とされるとは。


 ……少し悔しくはあります、けれどいまはそれよりも、


「ヒノワ! そっちは大丈夫ですか!?」


『アルミラちゃん! こっちはどうにかなった! マリィさんは撤退しちゃった!』


「オーケー、ならば手は空いていますね!」


『ん!』


「それじゃあヒノワ、そろそろ私たちの本領発揮といきましょう!」


『……できたんだね!?』


「いえーっす! というわけで大鴉の武装転送システムを起動です!」


《この状況で武装転送システム? アルミラさんたちどうする気だ?》


《TAUユニットは超巨大な『武装』ッス。ならば武装転送システムで呼び出すことも可能ってことで……》


《……まさか!?》


「ひひひ、賢明な視聴者はお気づきの様子。なぜ大鴉に武装転送システムが搭載されているのか! その答えはただひとつ! 戦場にTAUユニットを呼び出し! 戦場で超大型機へとその姿を変えるため! いまこそ見せようその真価!」


『武装転送、TAU2Sタランチュラユニット!』


 私の手の中、完成させたばかりの新型『タランチュラユニット』が光りに包まれ消失し。


 上空、光が渦巻いたあと、本来の巨体《サイズ》に戻った大蜘蛛のごとき武装が大鴉の下半身を飲み込むのです。


 重力に引かれ空から落下し、地響きと共に地上に降り立つは――!


「鴉の後継『大鴉』と、スパイダーユニットの改良機『タランチュラユニット』の合体形態! その名も――――!」


『アトラクナクアV2!』


 一ヶ月越しに姿を見せた新たな大蜘蛛に、コメント欄や音声チャットは大騒ぎ。


《あれが新しいアトラクナクアか!》


《なんか前よりデカイぞ!? 50メートルはあるか!?》


『ヒュー! 見ろよあの六本足の刃のような鋭さを!』


『今回は背中に大砲はついてないんだな』


『代わりにあっちこっち機銃やミサイルが増設されてるぜ!』


《見るからに火力がやべぇ!》


「ひひひ! 驚いてる驚いてる! 楽しい! さて、この子の性能に関しては説明するより見るが早いでしょう! ヒノワ!」


『ん! えーと、まずEMOリアクター起動! それから周囲の敵味方を区別してロックオン……っと。ミサイルポッド開放、ファイア!』


 タランチュラユニットにはスパイダーユニットの倍のミサイルポッドが積まれています。発射数と威力もアップした高性能品。


 アトラクナクアV2はそれを全開放して全方位に全発射! 周囲の敵へと破壊の雨が降り注ぎ、辺り一帯地獄絵図!


『なんじゃあの量のミサ!?』


『やべぇ逃げ場がねぇ!』


『ぐええええええええええ!』


 セフィリストのEDAがどんどん吹っ飛び、マステマのEDAモドキも次々に爆散! それでも生き残るしぶとい敵もいましたが、


『えーと、えーと、こういう時は……対地対空機銃、自動攻撃モードスタンバイ、ファイア!』


 タランチュラユニットの上部と下部に複数が備わった機銃《ガトリングガン》が、自動で近くの敵を察知し銃撃開始!


 さすがにあの数の機銃をひとつひとつ操縦者の照準で撃つのは不可能。なのでCPU任せの自動攻撃《オートファイア》武装として設定しています。自動攻撃は照準精度が悪いので命中率に不安があるのですが、あれほどの弾幕ともなれば関係ありません。数撃ちゃ当たる、です。


『いててててめっちゃ撃たれてる撃たれてる!?』


『耐久値がガリガリ削れ……おぎゃああああああ!?』


『戦艦相手にしてるんじゃねえんですよ!?』


 ミサイル爆撃の生存者も、機銃掃射で蜂の巣に。陸の戦況はあっという間にひっくり返りました。


『これが火星の襲撃クエで暴れまわったASPの超大型機か!』


『単騎でこれほどの戦力とはな……』


『でもお高いんでしょう?』


『あのサイズであの武装数だとあんま考えたくない金額が注ぎ込まれてそうだ……』


『なんだっていい! 敵の数が一気に減ったんだ! この勢いで敵を全滅させるぞ!』


『ちょっとまってさすがに弾切れだ! いったん機体を降りて補給を……』


「おっと、補給が必要ですか?」


『なんだなにかあるのかASPの?』


「ひひひ、アトラクナクアV2には味方をサポートするための機能もありましてね。ヒノワ!」


『ん! コンテナ投下、ってやつだよね?』


「そうそう」


 ヒノワが『コンテナ投下』のための操作を行うのと同時、タランチュラユニットの腹ががぱっと展開。その内側からどさどさと、卵を産み落とすみたいに金属の箱が地面に投下されていきます。


『なんか落ちた!?』


『えーと、弾薬にEDA用の武装、応急修理パック……?』


「補給物資ってやつです。機体が消耗してる人はそれで態勢を整えてください」


『マジかよ!?』


『わぁい弾薬がいっぱいだぁ!』


 補給物資に群がる味方機。これで素早く戦線復帰できるはず。


《味方のための補給物資を積むなんて……》


《アル博士らしくないぞ!? 味方を囮にするような畜生だと信じてたのに!》


《ブッダに説法でもされたんですか?》


「私を何だとおもっていやがるんですかあなたたちは……ま、実際のところ補給物資を積むのは私のアイディアではないですけど」


《そーなの?》


「ヒノワがね、前の火星の戦いで超大型機の活かし方ってヤツを見つけてきたんですよ。いくら巨大で強力なTAUユニットでも単独の戦力には限界があります。弾切れとか、EN切れとかね。最強にはなれても、無敵にはなれないんですよ、このゲーム」


《ロボアニメならともかく、オンラインのゲームだからなぁ》


《オンゲで無敵が存在できたらゲームが成り立たないもんね》


「ですからヒノワは言いました。味方との共闘を前提とした機体にしたい、ってね。時に味方を助け、時には味方に助けてもらって、軍団の総合的な戦力を向上させる強力な『駒』のひとつ。超大型機の特性をもっとも活かせるのはそういう戦い方かも、って。ね、ヒノワ?」


『火星の時は、みんながゲブラーさんを消耗させて弾切れに持ち込んでくれたから勝てたでしょ? だから……』


《巨大な戦闘機ではなく、巨大な支援機路線かぁ》


《悪くない考えだと思うぜ!》


《あの巨体なら支援装備を積んでも火力を確保できるッスからね》


 多くの視聴者が私たちのやり方を――ヒノワのやりたかったことを支持してくれました。


 巨大な支援機だなんて、私じゃ考えつかなかったコンセプトです。ただ強いだけの配信者との差別化もできる。ほんと、いい考えですよ、ヒノワ。


 さらなる配信の盛り上がりを期待して胸を躍らせつつ、私はハイテンションに叫びます。


「さてさて、味方の補給もできたはず! 陸の敵も片付けた! 残るは敵は海の中! そろそろ第二ラウンドと――――」


『――――第二ラウンドをはじめようか、劣等種諸君』

~今日のEDA~

●アトラクナクアV2 (AS09『大鴉』+TAU2Sタランチュラユニット)

HP:9800 EN:400

装甲値:2000 運動性:50 移動力:5

特殊能力:EMOリアクター『炎陽』『氷輪』 バリア(特大) 補給装置

空:不可 陸:S 海:不可 宇:不可 機体サイズ:LL


●武装

・【大鴉】分離攻撃

 攻撃力4000 射程1


・機銃掃射

 攻撃力4800 射程1~3


・ミサイルポッド一斉射

 攻撃力5200 射程1~5 弾数4


開発者コメント

「アトラクナクアの後継機! なのでV2! 基本性能がアップ! 機銃とミサイルで防衛能力も段違い! まさに歩く要塞です! おまけに味方の補給も可能! この子がいる戦場に敗北はありえませんよぉ! ひひひ!」


操縦者コメント

「アトラクナクアをそのまま強くしたような機体です。私の要望通りに味方を支援するための補給装置も積んでくれました。これでもっと活躍できるはず……!」

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― 新着の感想 ―
[一言] イイですねぇ、超大型機は伊達じゃない……!って感じです。 時には圧倒的な火力で敵を屠り、またある時はその巨体に詰め込んだ補給物資で味方を助ける。戦場の神と呼びたくなりますね。 >《アル博…
[良い点] ···おそロシア [一言] 支援コンテナ搭載とは、ロマンだ···
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