Last Stageボス『毘富羅山阿闍世』
○6面ボス 燃え盛る怨讐の念
毘富羅山 阿闍世
Bipurasan Ajase
種族:人造人間
能力:頑強な肉体を持つ程度の能力
深宵園で最後に造られた人造人間。
人造生命の最高傑作を求めた深宵園の管理人により造られた肉体は、どのようなダメージにも耐えることができる。
深宵園では、人造人間は生み出された後、淡子の舟に乗って月から宮殿に降りてくることになっている。阿闍世はその際に誤って地上へ転落してしまったが、その時にも指を一本折っただけで済んだらしい。
深宵園の管理人が求めた、完全な肉体を持つ人造生命の到達点と言える存在。
しかし彼女の肉体が完成したとき、一つだけ問題があった。肉体と合う魂がどこにも存在しなかったのだ。深宵園の管理人は、いつも死後の世界をさまよう魂を人造の肉体の中に入れていた。しかし人造生命の最高傑作となる肉体は生命の力に溢れすぎていて、それに適合する魂は死後の世界には存在していなかった。
仕方なく深宵園の管理人は生者の世界で魂を探し始めた。そしてとある山中に一人の年老いた仙人を見つけた。
その仙人は自らの人生を顧みて、親を殺した自分がこれ以上の境地へ至れないと気づき、己の生に見切りをつけ、死を望むようになっていた。
長い時を生きるほどの仙人の魂なら、あの肉体とも適合するだろう。深宵園の管理人は仙人に事情を話した。すると仙人は、数日後に来る自分の生まれた日まで生かしてくれれば魂はどうしてくれてもいいと答えた。
深宵園の管理人はその約束を承諾した。しかし数日のうちに状況が急変する。研究の成果である人造生命の肉体が、長く魂が入らないため崩れようとし始めたのだ。深宵園の管理人は自らの最高傑作が失われてしまうのを惜しんだ。そして約束を破って仙人を殺害し、その魂を得た。
「私の魂は、きっと貴方を殺害するだろう」。仙人は最期にそう言い残した。
無事に誕生した阿闍世は、生まれてからしばらく平穏に暮らしていた。
丈夫な肉体を持つため、建築などの危険が伴う力仕事で重宝された。また他人を引っ張る魅力があり、猿たちと一緒に治世を手伝うこともあった。深宵園の住民は阿闍世を頼りにしていたし、阿闍世も住民たちが好きだった。
しかし月日を重ねるごとに阿闍世は深宵園の有り方に疑念を抱くようになっていった。「どうして私たちはここで生きているのだろう。こんなにも不自由な、不条理な場所で」。
そして阿闍世は深宵園の管理人が仙人を殺害する場面を夢見るようになり、夢は記憶だったと思い出すようになる。
やがて疑念は義憤へ変わり、義憤は少しずつ憎悪と憤怒へ澄まされていった。
阿闍世が鸞層を破壊するという話を持ちかけても、多くの住民はまず反対した。中には阿闍世を殴りつける者もいた。
しかし阿闍世が何度も語り掛けるうち、ほとんどの者は阿闍世の言葉を聞くようになり、最後には首を縦に振った。首を縦に振らなかった者も、阿闍世たちによる反乱が始まるその時まで口をつぐみ、猿たちに何も知らせなかった。
阿闍世が幻想郷の巫女に倒された後、病床に伏せていた時、阿闍世は深宵園の管理人から看病を受けた。はじめは人造生命の肉体が失われてしまうことを心配しているのだろうと思っていた。
しかし深宵園の管理人は阿闍世に言葉がけをしていた。その言葉は、阿闍世の心に向けられているようだった。
阿闍世はその看病の最中に夢を見た。仙人が「自分の生まれた日まで生きられれば、魂はどうしてくれてもいい」と深宵園の管理人に答える夢だ。
そして阿闍世は思い出した。仙人が生まれた日まで命を続けたかったのは、自ら手にかけた親に最期まで悔い、最期まで気にかけていたからだった。
夢から覚めた阿闍世は、今ならまだやり直せるのかもしれないと思った。そして深宵園の管理人に「ありがとう」と呟くと、深宵園の管理人はにこりと笑い返した。




