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エンディング『許し許され』③

 ――博麗神社。人里から離れた場所に位置する幻想郷の神社である。

 幻想郷では異邦人たちの騒ぎは少しずつ収まっていた。猿を中心とした深宵園の住民たちが幻想郷にやってきて、異邦人たちを探して回ったのだ。おかげで潜伏していた異邦人たちの多くは姿を現し、深宵園の住民たちと合流していた。

 事態が落ち着いて以来、霊夢は平穏な生活を過ごしていた。今日も空が晴れたので神社の掃き掃除をしている。

 ふと参道を見ると、鳥居の下に見覚えのある姿を見かけた。

「あら、いつぞやの癇癪小僧じゃない。体の痛みはもういいの?」

 阿闍世は霊夢に声をかけられて、木々や鳥居、神社などに目移りしていた視線を霊夢に向けた。もしかすると、深宵園の殺風景な世界と比べると、幻想郷は目新しい物が多いのかもしれない。霊夢はそう思った。

「ああ。どうにかこうして動けるようになったよ」

 そう言って阿闍世は微笑んだ。月から戻った後、阿闍世は原因不明の痛みに全身を蝕まれ、苦しみもがいていた。霊夢は月から戻った後、二日ほど深宵園に滞在したが、その間も阿闍世の容態は酷くなり、帰る際も気がかりになっていたのだ。

「あんなに死にそうな様子だったのに、やっぱり頑丈なものねえ」

 霊夢も呑気に笑って言葉を返す。

「もう死ぬかと思ったよ。でも、ある日お母様が来てくれてな」

 そう言うと阿闍世は嬉しそうに目を細める。そんな無邪気な表情もできたのかと、霊夢は阿闍世の様子に少々驚いてしまった。

「それから何日か、お母様が付きっきりで看病してくれたんだ。やはり人造生命の専門家だな。こうしてすっかり良くなったよ」

「そう、そりゃ何よりね。異邦人の事とか、聞きたいことは沢山あるし、よかったお茶でも飲んでいきなさいよ」

 霊夢が神社の本殿を指さすと、阿闍世は「いいな。是非頼む」と嬉しげに答えた。

「ああ、そうだ。なあ博麗の巫女、あの時の答えが出たぞ」

 神社へ歩きかけた時、思い出したように阿闍世が言う。霊夢は何のことかと思い、首を傾げる。

「起きたことは変えられない。けれども、あの人はあれだけのことをした私を大切に思ってくれたんだ。私も、それを見習いたいと思うよ……」

 霊夢は本当に何のことか忘れてしまっていた。しかしそう言う阿闍世の相貌は月で出会った時と打って変わり、憑き物が落ちたかのように穏やかなものだった。その様子を見て、霊夢は思わず「そう」と笑い返す。

 きっと彼女は、その燃え盛るような激情を根底に抱えながらも、その穏やかな気持ちを忘れずに、これからも生きていくのだろう。

 神社へ入る前、阿闍世は幻想郷の空を見上げて、にこりと笑った。



東方深宵園 ~ Fundamental Resentment.

Game Clear!


and Thank You!


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