Stage3『捨てる者あれば奪う者あり』③
「ぴぃえええ……」
「ひょうぅん……」
苛烈な霊夢の弾幕に晒された双子は、霊夢が弾幕を撃ち止めると舟の上に崩れ落ちてしまった。その隙を見逃さず霊夢は二人の舟まで近寄る。そして傍で漂っていた自分の舟に乗り込んだ。
「さあ、この舟を返してもらうわよ」
双子はまだ舟の上で呆けたようにへたり込んでいる。しかし口からはその内情が吐露されていた。
「ちくしょー……こんなはずじゃあ……もっともっと、たくさん盗れれば……」
「きっと、きっと外の世界に行ったら欲しいもの手に入れてやるんだから……」
その言葉を聞いて、霊夢は呆れたように髪の毛をかく。そして双子に向かって大声を張り上げた。
「まずは人のものを奪ったんだから言うことがあるでしょ!」
双子はびくっと体を跳ね上げ、そして互いに抱き合った。怯えた顔を霊夢の方に向ける。その瞳には涙が浮かんでいた。
「舟は返しました、返しましたからあ!」
「ごめんなさい、ごめんなさい! だって、外に出れる舟がほしくって……」
弾幕勝負前の様子から一変、手を合わせて謝りだすハンスとグレーテ。そんな二人の様子を見て、霊夢は大きなため息を一つ吐いた。そしてお祓い棒を自分が進んできた方向へ振るう。すると、今まで暗闇に覆われていた鍾乳洞の経路が明るく照らし出された。
「はあ……。私が付けておいた目印よ。あれを辿れば泉に出られるはずだから」
「えっ、外の世界に出られるんですか!?」
「やったあ! これで自由の身ね、姉さん! 憧れのマイホームもすぐそこに……」
言葉を発しかけていたグレーテを霊夢がぎろりと睨む。ハンスとグレーテはその一睨みで固まってしまい、すぐに体が震え出した。
「言っておくけど、幻想郷で騒ぎを起こしたらタダじゃおかないからね。……ところで、あんたたちの故郷ってどんなところなの?」
霊夢がそう尋ねると、双子の様子が今までと一変する。表情から、今までころころと変化していた喜怒哀楽が消えた。双子のどちらの顔にも、眉間に一筋の皺だけが浮かんでいる。それ以外の表情はどこかに沈み込んだように消えてしまった。
「……今はひどい有様でね。おねーさんも見れば分かると思うよ」
「あそこに何があるのかしら。私は行くだけ無駄足だと思うけれど?」
双子は無機質な声で答える。身体の震えもいつの間にか無くなっていた。
双子は声を重ねて霊夢に告げた。
『ねえ、おねーさん。あなたはお家に帰りたい人? お家が大切な人? なら気をつけて。深宵園に行ったなら、取り込まれてしまうかもしれないから。もう帰れないかもしれないから……』
Stage Clear!




