プロローグ
身体の力を抜いていくと身体から温かいものが失われ冷たくなっていく
彼はこの世界で俗に言う「イイ人」で「都合のイイ人間」だった、困っている人が居たら助けて、気を配る。自分の事は二の次で他人を優先にしてきた。
会社に入って、彼は驚いたなぜなら皆他人より自分中心の価値感であり、常に上位に立とうとしている人間ばかりだった。
嫌味な上司、顎で使う先輩社員、同僚からも便利に使われていた。
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一瞬だった、業務を終えて帰路についた時、背中から激痛が走る、後ろを見ると黒いフードを被った人、手を伸ばそうとすると更に身体を押し上げられ、身体に異物が更に入ってくるのが解る
会社には残業で残って居たのは自分だけ、車に乗ろうと駐車場へ向かっていたので周りには誰も通る様子も無いつまり助けは来ない…
彼の身体が硬直し腕がゆっくり上がった様に見えた時フードの頭が身体から別れていた
彼は悔しそうにフード頭を地面に叩きつけると身体の具合を診る……幾つかの内臓がズタズタだった…彼は小さく‘’やっぱ駄目か‘’…と呟く
「気を抜い…た俺が悪…いな」
身体から異物を取り出し地面に落とす
「…ゴメン、帰れ…な…い……や」
そう言うと彼は、目を見開いて呼吸を止めた
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暫く漆黒の海の中で浮いているような感覚を味わうと灯りが見えた、近づいて見ると蝋燭の灯りだと解る、テーブルの上に燭台が乗っておりその隣に人影が有るのが解る。
「…」
彼がフワフワと近づいて行く、薄ぼんやりと見えてきたのは、『人影』だった、正確には≪真っ黒な人間の形をしたナニカ≫である。
『遅かったね』
若いとも年寄りとも男とも女とも取れる声が頭に響く
「悪かったな」
真っ黒なナニカが何となく驚いたような気がする
「死んでまで何か言われると思ってねぇからよ」
不機嫌そうに彼が言う
『まあ、そうだよね、ゴメンよ』
人影が肩をすくめてそう言うと、彼は当然の様に切り出す
「で、俺はどうなる?」
『…へぇ』
人影が、まあ、そうだよねと言いながら、驚く様子もなく話し出す
『さて、君は死にました』
「そうだね」
『受け入れてるんだね』
「まあ、死ぬ時は死ぬからな……」
人影は頷くと語り出す
『僕の気まぐれで君は次の世界で生を受ける、そこは≪力がモノを言う剣と魔法の世界≫君に合っていると思うよ。この世界でのやり直しは出来ないけど、新しく出発出来る、ずっと君を見ていて君が凄く好きになったから何かしてあげたくてね、生を受けるにあたり何か欲しいモノはあるかい?』
「…当面の資金、親が居なくてもあまり疑われないなら、年齢は5才位で」
『それだけ?』
「十分だ」
『わかった、後は諸々勝手に付けておくよ』
「ありがとう」
『生活に必要な知識は一通り君の頭の中に入れておくから、思い出そうとすれば解るからね』
「助かるよ、じゃあ送ってくれ」
『わかった、行ってらっしゃい』
彼は光に包まれた…
『すまないな…本当に』
真っ黒なナニカが呟いた声はそのまま空間に溶けていく…
いきなり時間が飛びます。




