0-終焉ノ砌-1
0-終焉ノ砌-1
燃え盛る家々。
人々は為す術もなく叫びながら逃げ惑う。
空に立ち込める暗雲は、まだ昼だというのに陽の光さえ遮るほど分厚い。
街のいたるところに降り注ぐ雷。
そこから、また新たに火の手が上がる。
吐き出される黒煙は空高く昇り、
手のように伸びた炎は暗雲を不気味に紅く染め上げた。
やがて雲の中から現れるは漆黒の体躯。
サファイアのような鮮やかな赤眼が地獄と化した街を映す。
雲を切り裂く三対の翼をはためかせ
街の中央へと降り立った"悪魔"。
「これ以上被害を出してはならん!!
騎士でも狩人でもいい、動けるものを集めろ!」
"悪魔"出迎えるは鈍色の鎧を纏う六人の騎士。
「オランド隊、クレア隊・・・
その他分隊および増援の狩人達、全滅ですッ・・・!
も、もう我々しか残ってない!!」
この街を守る最後の希望。
「おぉぉぉぉ!!!!
よくも親父をッ弟をぉぉぉ!
薄汚ぇケダモノがぁぁぁぁあ!!!!」
「待て、アルトッ・・・!」
隊長と思しき中年男性の制止を振り払い
アルトと呼ばれた青年騎士はその身の丈以上もある大槍を
奴の吸い込まれるような黒い身体に突き立てた。
「あッ・・・堅―――――」
アルトが放った渾身の突きは、虚しく"悪魔"の甲殻に阻まれた。
そして、ほんの一瞬。
天へと反り立つ四本の角が光を帯び
思わず目を覆ってしまう程まばゆい光が
雨の如くアルトに降り注ぐ。
地に打ち付けられた雷の衝撃で
五人の騎士は吹き飛ばされた。
さらに乱れ狂ったように周囲に拡散した雷は
立ち上がる暇も、断末魔を上げる間さえ与えず
「は、ははっ
どうだジェイハン、フィリア・・・
父さん、また街を護っ―――――」
容赦なく騎士たちを塵へと変えた。
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