音と真央
「うわ、すっげー美人!」
「何あの子!」
「どこの高校?」
「足なっが!」
「AIみたいな顔してる」
そんな声が聞こえてきた。
全員、男の子の声。
「音ちゃんってやっぱすごいなあ。みんな音ちゃんに釘付けだあ」
靴紐を結び終え立ち上がった南真央は、隣にいる佐原音を見て微笑んだ。
音はいつものようににこやかな表情のまま、ただ真っ直ぐ前を見ながら「別に知らない人だし、どーでもいいよ」と笑った。
「こういうイベントがあるといつも音ちゃんの連絡先聞かれるもん。なんか私まで人気者になっちゃったみたい」
真央はそう言いながら微笑み、スマホを見た。
「あ、ねえ音ちゃん。ちょっと西高の方行ってもいい?」
「ん?いいけどどうしたの?」
「中学の時の友達から連絡が来てね。あ、陸くんって言うんだけど、陸くん今日試合出るんだあ~。ちょっと応援に」
真央はスマホを見ながら西高の方に歩き出した。
音も一緒についていく。
西高の生徒たちの近くまで行くと、「南!」と男の子の声がした。
2人が声の方を見ると、手を振りながら近づいてくる男の子が1人。
「あ、陸くん!」
真央はそう言って陸に駆け寄り、音はゆっくり2人の元へ。
「南、久しぶり。元気だった?」
深海陸は嬉しそうに微笑み、真央を見た。
真央は「うん!っていうかこの間会ったじゃん」と笑う。
陸は「そっか」と笑いながら音に気づき、「あ、初めまして!」と微笑んだ。
「俺、南とは小学校から一緒で。深海陸って言います。よろしくね」
「よろしくね」と音。
真央は「佐原音ちゃん。1番仲良しなの」と微笑んだ。
「へえ、そうなんだ!南のことよろしくね」
「うん、任せて」
音がにっこりと微笑むと、陸は「あっ」と思い出したように真央を見た。
「今日、残念ながら他校だけど応援してよ?」
陸に言われ、真央は「はは、2番目に応援するね~」と笑った。
「んー、まあ今日は2番で我慢しよっかな。じゃあまた連絡するね。佐原さんもまた!」
陸はそれだけ言うと西高の方に戻って行った。
「超爽やかだね?彼」
音は真央を茶化すように笑った。
真央は「そうなの。昔からああなんだよ陸くん」と自慢気に笑った。
すると、そんな光景を見ていた南高の真央の同級生・五十嵐翔人は慌てた様子で真央に駆け寄って来た。
「南!い、今のってあれだよな?深海....幼馴染の!」
翔人の焦ったような表情に、音は静かにニヤリと笑った。
真央は「そうだよ!五十嵐くんも知ってるよね!練習試合とかよく会うでしょ?」と笑った。
「そうそう...!幼馴染の深海な?」
『幼馴染』を強調する翔人。
「え?うん」と真央は不思議そうに頷いた。




