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災厄③

「素晴らしい力だが···想定内だ。俺がコレに耐える準備をせずに勝負を仕掛ける訳が無いだろう」



アカリちゃんから橙色の柔らかな灯りが溢れ、巨人の体を覆い尽くし───弾けた(・・・)。

飛び散った肉片たちはぐじゅくじゅと蠢く。

軽い吐き気を覚えながらも私が動き出そうとした瞬間、強力な磁石が引かれ合うような速度で1つにまとまり···



「ははは···はははは···」



···再生した。



「ははははは!!」



耳障りな笑い声。

アカリちゃんが自傷してでも稼いだダメージは、一切残っていないようだった。



「重力魔法を使いこなせないお前1人で俺は倒せない。俺の勝ちだ。···宣言通り、アカリを殺す」



アカリちゃんと出会ってから3年。

元々自信のあった腕力に磨きがかかり、素早さを格段に向上させる術を手に入れた。

苦手だった重力魔法も、ある程度の精度で発動できるようになった。

深淵に挑めるほど強くなった。



何のために私は強くなった?

決まっている、愛する人を護るためだ。



『何かきっかけがあれば、その力をもっと使いこなせると思うわ───』



アカリちゃんに死が迫っている。

巨人の拳が彼女の頭蓋を捉える前に殺す。



魔力を練り上げる。

こんな状況下で、しかし脳は冴え渡っている。



「アカリちゃんは、死なせない」



巨人のみを対象に横向きの(・・・・)重力を付与し、壁面に叩きつける。

連続発動───岩窟の壁が円形に凹み、超重力が巨人を磔にした。

流石に胴体は頑強で簡単には潰せそうにないが、気にせず発動し続ける。



ありったけの殺意を込めて。



◆◆



私は公安の精鋭部隊十数名を率いてダンジョンを駆けていた。

配信が開始されてから──すなわちアカリちゃんたちが奴に接敵してからすぐに向かったが、入口から深層までの距離はどうしようもない。

我々も訓練こそ積んだが、そもそも超級のイレギュラーを前に生還できるか怪しい。



しかしここで奴を殺せなければ、地上の被害は計り知れない。

2人との戦闘で多少なりとも疲弊しているならば、針の穴ほどの活路はあると踏んでいる。

そして心情的にも、まだ若く有望な彼女たちを死なせたくはなかった。






やっとの思いで到着した現場は、凄惨な死闘の後が未だくっきりと残されていた。

地面に刻まれた、無数の奇麗なクレーター。

壁面に刻まれた、血痕らしきものがべったりと付着している巨大なクレーター。

血塗れで気絶しているアカリちゃん。

流血こそ無いが同じく気絶しているミオちゃん。



しかし、奴の姿は確認できなかった。



「アカリがやった···わけじゃねえか」

「ああ、これはその女の子···ミオだっけ?」

「このクレーターが重力魔法によるものなら、おそらく魔力切れで倒れたのだろう。···ビリー、ノックス。経口魔力補給剤を飲ませてやってくれ」


次回、最終回

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