最終話 あの日、あの場所で見た星空
## 最終話 あの日、あの場所で見た星空
かなの言葉を聞いた瞬間、
ゆうきは小さく息を吐いた。
安心したみたいに、
少しだけ笑う。
波の音が静かに響く。
夜風は冷たいのに、
胸の奥は不思議なくらい温かかった。
「……よかった。」
ゆうきが小さく呟く。
かなは少し笑う。
「なにが。」
「嫌われてなくて。」
かなは思わず吹き出した。
「今さら。」
ゆうきも少し笑った。
でも。
その笑い方が、
どこか泣きそうに見えて。
かなの胸が、
じんわり熱くなる。
「かな。」
ゆうきがゆっくり近づく。
かなは逃げなかった。
逃げたくなかった。
「今度は、
ちゃんと話す。」
ゆうきの声は、
静かだった。
「余裕なくなっても、
かなを遠ざけない。」
かなは小さく目を伏せる。
簡単じゃないって、
たぶんお互いわかっている。
また、
すれ違う日もあると思う。
寂しくなる夜も、
きっとある。
でも。
それでも。
もう一度、
隣にいたいと思った。
かなはゆっくり、
ゆうきの手を握る。
あの日みたいに。
でも。
今度は、
ちゃんと自分から。
「……また、
夜コース行く?」
かなが小さく笑う。
ゆうきは少し驚いて、
それから優しく笑った。
「もちろん。」
夜空を見上げる。
あの日と変わらない星。
でも。
隣にいる人だけが、
あの日よりずっと大切になっていた。
静かな波の音が、
夜へ溶けていく。
その隣で。
かなはもう一度、
ゆうきと同じ星空を見上げていた。




