第二十三話 眠れない理由
## 第二十三話 眠れない理由
部屋へ戻っても、
かなはすぐに眠れなかった。
ベッドへ座り、
スマホを見つめる。
画面には、
ゆうきとのメッセージ。
《ちゃんと暖かくして寝てください》
その一文を見て、
かなは小さく笑った。
《ゆうきも》
送信する。
数秒後。
《はい》
短い返事。
でも、
それだけで少し嬉しい。
かなはスマホを胸の上へ置いて、
天井を見上げた。
静かな部屋。
外では、
遠くを走る車の音が聞こえる。
その時。
ふわっと、
柔らかい匂いがした。
ゆうきのパーカー。
まだ返していない。
かなは袖を少し引き寄せる。
柔軟剤みたいな、
落ち着く匂い。
「……やば。」
かなは顔を隠した。
完全に、
意識してる。
認めた瞬間、
急に恥ずかしくなる。
スマホが小さく震えた。
《かな、
もう寝た?》
画面を見る。
かなの胸が少し跳ねる。
《まだ起きてる》
すぐ返信する。
数秒後。
《よかった》
その言葉に、
かなは少しだけ息を止めた。
《なんか今日、
静かだったから》
かなはスマホを見つめる。
覚えてたんだ。
《ちょっと疲れてただけ》
送ると、
しばらく既読が止まる。
それから。
《無理しすぎないで》
短い文章。
でも。
かなには、
その言葉が妙に優しく感じた。
窓の外を見る。
夜は、
まだ終わっていない。
かなはふと、
あの日の星空を思い出す。
たぶん。
あの夜から、
少しずつ変わり始めていた。




