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アボガド売りの少年  作者: あまやま 想
本編2【後半の1年間】
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プランランとの連携事業

 その頃、集団事務所では遠山アドバイザーとアリアス現地コーディネーターが中心になって、プランラン・サルドノとの協力関係を築いている最中であった。


 具体的には集団事務所は人的支援はできるが、資金援助はなかなかできないと言う制約があった。また、プランランは資金を持っているが、人材を持っていなかった。


 そこで両者が弱点を補完し合うことで、より実状に応じた支援が可能となる。今までプランランは全国十六県の県都を中心に大規模な教員研修を行ってきたが、優秀な講師をうまく確保できず、ただ研修をやるだけで終わることも多かった。


 また、集団事務所では隊員が地道に現地の教員に対して研修会を行っているものの、隊員の任地から活動をなかなか広げられずにいる現状を、どうにかして打開しようとしていた。


 そこで両者がうまく連携することで、プランランは自ら開く研修会に隊員を講師として招いて、研修会の質を高めることができる。また、集団事務所としても隊員活動をうまく宣伝して、隊員活動を効率よく広げることができる。


 それにしても遠山アドバイザーはお金を引っ張ってくるのが、本当に上手である。もちろん、そのために他国の団体や国際援助団体のことをよく勉強しないといけないので、その点に関しては本当に尊敬する。


 すでに他の隊員がいる県ではプランランと集団事務所が連携した新しい研修会が行われていた。また、この場では隊員だけでなく、その地区の優秀な教員による模擬授業も行われ、優秀な教員の発掘作業も並行して行われた。


 そうすることでサルドノ国立教育研修センターが中心になって行っている教員の参加が義務づけられている研修会を効率よく効果的に行えるようにすることも目的に含まれている。


 その研修会を一回見に来て欲しいと、遠山さんに言われたので、アラブラ・トナス県の県都アラブラまで行った。この研修は交通費・日当・食費が出るため、たくさんの教員が参加していた。このようなお金は集団事務所では到底出せないだろう。もちろん、隊員主体の研修会では絶対に出せない。


 今回は集団事務所の後ろ盾があるので、隊員は集団事務所に出張として認められる。これは隊員にとってもありがたいことである。隊員も気軽に研修を視察することができる。


 どうやら、集団事務所としてはプランランがやる気を出しているうちに、研修会をどんどん進めたいようである。そこで私の任地・ナコク県サンホセ市でもこの研修会をやることとなった。


 実施は三月五日となった。あと半月足らずしかないが、せっかく与えられたチャンスである。一年前なら断っていたと思うが、今は残り三ヶ月を有意義に過ごすために必死であった。


 さっそく任地へ戻って、カンディダ先生に模擬授業の講師役をやってもらうように頼んだところ、二つ返事で引き受けてくれた。それから藤木君に連絡して、これまでのいきさつを話した。もちろん、藤木君もこの研修会に興味を持っており、ぜひ協力したいと言ってくれた。


 それから私はカンディダ先生と一緒に指導案作りや授業展開などを考えた。平日、仕事が終わった後や土曜日の校内研修の後など、カンディダ先生は積極的に模擬授業の準備を進めた。


 私は時々、アドバイスをするだけでよかった。彼女の成長は本当に頼もしくもあり、またさびしくもあった。これなら私が日本へ帰った後も、カンディダ先生が中心となって、サンホセの教育を引っ張ってくれるだろう。


 ひいてはナコク県やサルドノも引っ張るような人材になってくれればと願わずにはいられない。そんなことを最近よく考える。


 しかし、サルドノには良くも悪くも優秀な人材の足をひっぱる伝統がある。そのため、優秀な人材ほど足の引っ張り合いに耐えかねて、スペインやアメリカに移住してしまうのだ。優秀な人材の流出…。これもサルドノの国としての発展を妨げでいる要因の一つである。


 もちろん、カンディダ先生だけでなく、他の先生も去年までとは意識が明らかに違っている。カレン先生もベレン先生も、カンディダ先生に追いつこうと必死にあれこれ吸収していた。


 スヤパ先生も専門の算数や数学を生かして、どうにかして自分の知識を他の先生と共有しようとしていた。しかし、理解することと教えることは全く異なる。


 理解したことを、どうにかして教える技術にするためには時間が必要だった。それだけは一年や二年で身につけられるものではない。もちろん、努力や根性だけでは埋められない。


 また、他の先生達も変わっていた。以前なら平気で休んでいたかもしれないミニ研修会にも毎回、全員が参加するようになった。また、一生懸命に知識や指導法を学ぶ前向きな姿勢が去年もあったが、今年はそれ以上に強く感じられるようになった。

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