35話 子どもイス改名 その名もカイチェア
「まあ、このイス、いいですわね~」
「本当にいいですわ。」
「わたくしの家にも欲しいですわ」
「ね、このイス、いーねー。大人といっちょにご飯食べれりゅ?」
「ねー、これならイスから落ちないかもね、怖くないよ~」
みんな、気に入ったみたいだな。
「マーシュ家は素敵な物をお持ちですわね、羨ましいですわっ」
「「「「「ほんとに~」」」」」
さぁ、ママ、伝えるのは今だよ。
それっ!
「実はですね、今、お子様たちが座っているカイチェアは、皆様に差し上げますわ」
っておーい!ママ、カイチェアって決まってんじゃん。
「「「「「わぁ~♡♡」」」」」
「よろしいんですの?」
疑わないでー。これ!差し上げます。
「よろしいんですよ」
ママ、ちょっと目が¥¥だからね。
「嬉しいですわ、ありがとうございます」
「いいんですのよ、ただし!」
そー、タダでは差し上げません。
「「「「ただし?」」」」
「周りの方にも、このカイチェアの良さを、ほんの一言、二言宣伝していただくと嬉しいですわ」
「それでよろしいですの?お支払いしなくて、無料で頂けますの?」
はい、はい、無料ですよ。
しかしなー、なんだかさっきから「よろしいんですの?」とか、「無料で頂けますの?」って疑いばかりしてんのさー。ママも、ボクたちもケチじゃないぞっ。素直にありがとうございますっていえないのかねー、イーダ夫人よ、しつこいとボク怒っちゃうぞ。イーダ!だけに、イーダっ。
ってダジャレって、おもしろ!
イーダ夫人への不満はそう頭の中で飲み込んだ。
ちょっと、鑑定眼君さ、なに起動してんの?イーダ夫人の旦那様は《イーダんな様》》かも?って、なにか?ちょっとダジャレ言いたかっただけだって?
イーダ夫人には今日初めてあったし、イーダ子爵もあったことないしっ。
ちょっと疑いの目をしたイーダ夫人に鑑定眼の鑑定が発動中。
《《イーダ夫人、カイチェアでなんか悪いこと考えて、そう?》》
ってなんだよっ。そう?ってなんで疑問形なのさ、悪いの!?どーなの?
ちょっと鑑定眼君、こんな情報はちょーだい、もっとちょーだい。なんか返事してー!
「差し上げますよ。遠慮なさらずに。今日早速皆様のお屋敷にお届けするように既に手配済みですわ。気に入って頂けると嬉しいわ」
あー、疲れたー、お茶会たいへーん。
貴族めんどー。
「カイトお坊ちゃま、疲れましたか?」
「うん、少し疲れちゃった。」
「もう寝る時間ですよ、さあ、お休みなさいませ」
「マール、おやすみね」
しばらくしてボクはパパの部屋に呼ばれた。
「えーーー、、なに、カイチェアの注文が殺到してるの?ほんとー?」
カイチェアなんて、恥ずかしい名前やめて欲しー。
「あぁ、カイトお前のおかげだ。売れると思ったからまずは1000個作っておったんだが、あっという間に売り切れてな、しかも予約2年先まで埋まってるらしいぞ。お前の功績だな」
えへっ。パパに褒められて頭撫でられたよ、嬉しいねっ。
やっぱり、カイチェアで落ち着いたの?
ねー、なんで誰も反対しないのさ。
ちなみにいくらで売れたかったって?
ひとつ金貨10枚。
お金の価値や、この世界の世間の常識を知らないボクにはどれだけ儲かったかなんて知る由もなかった。




