17話 鑑定と調合と合体のスキルは女神様からのプレゼント
「おー、おー、私は嬉しゅうございます。」
ゴードンが目に涙を浮かべながら叫ぶ。
「私はなんでもお手伝いいたしますよ。カイトお坊ちゃま!お食事が美味しくできるなんて……こんな嬉しいことはありません!」
え?
料理人のプライドとか大丈夫なの?
ちょっと、ゴードンさん、泣かないでー!
その時だった。
「カイト――!」
パパがボクを高い高いする。
パパ、高い高いはいいけど、ボクを投げないで!
ママ、ニコニコ見てないで止めてよ。
その瞬間!
うっ!
やばい。
………………………
ゲロった。
ぽとっ。
……あっ。
次の瞬間。
パパがそれを――
ゴックン。
飲んだ。
パパ、ボクのゲロ!
うわぁぁぁー、ごめん。
「うっ……」
パパが固まる。
「我が子のものだ、平気だ。」
うっぷ。
「悪いが私は……ちょっと花を摘みに行ってくる」
そっと、ボクを椅子に下ろすと、パパは少し早足で部屋を出ていった。
いや、絶対ダメージ受けているよね。
「カイくん」
ママの優しい声。
ママはとてもキレイだ。
もともと美人なんだけど――
今のママは、慈愛っていうのかな?
とても優しい顔でボクを見ている。
ボクも見つめ返す。
ママとボクは相思相愛だねっ。
「カイくん」
ママが微笑む。
「ママ、お料理楽しみにしているわ」
……え?
そっち?
そんなにキラキラな目で見ないで。
しかも、みんな!
両手を胸に当てて、キラキラした目で見ないで!
その時。
「おっほん」
パパが戻ってきた。
着替えてる。
……ちょっと顔色悪くない?
「では、カイト」
パパが真剣な顔になる。
「女神様からのプレゼントとはなんだ?」
ボクは答える。
「えーっとねぇ……かんてー」
「なんだと!?」
パパが立ち上がる。
「鑑定だと!?」
「それは100年に1度、1人しか生まれないスキルだぞ!」
部屋がざわつく。
「そしてねー」
ボクは続ける。
「まだあるのか?」
「うん」
「ちょーごー」
「ちょーごー?」
パパが首を傾げる。
「旦那様、調合かと」
セバスが静かに言う。
「ああ、調合か」
「んでねー」
ボクは続けた。
「がったい」
「なんだと!?」
パパが、驚いている。
「まだ早いぞ」
……いや、違うから!
その合体じゃないってば!
「ん?まだ早いってどういうことー?」
ボクはとぼける。
「いや、なんでもない」
パパは咳払いをした。
「鑑定、調合、合体」
ボクは三本の指を立てる。
「みっちゅ」
部屋が静まり返る。
パパがつぶやく。
「ヤバいなっ」
え?
なんでやばいの?
「セバス」
「はい、旦那様」
「この話は――まだ本当か分からん」
パパは周囲を見渡す。
「だが、もし本当なら……少しまずい」
「この場の話は門外不出だ」
「誰にも言うな」
「「「「承知しました、旦那様」」」」
その時。
セバスが1歩前へ出る。
「旦那様」
「カイトお坊ちゃまの話、信ぴょう性はございます」
「ですが、夢の話である可能性もございます。」
「まだ3歳のお子様のお言葉。少し様子を見るのがよろしいかと」
「そだな」
「このようは話は尾びれや背びれが付きやすいもの」
「真実が歪められる可能性がございます」
「足元をすくわれる危険もございます」
「不敬ながら申し上げました」
パパは首を振った。
「いや、セバスの言う通りだ。」
「様子を見るとしよう」
セバスは代々我が家に仕えてきた男だ。
父の代よりも前から、この家を支えてきた。
彼の言葉は重い。
私は父としてカイトを見てしまう。
だが――
マーシュ辺境伯としては、
冷静でいなければならない。
カイト。
お前の成長が楽しみだ。




