144話 ミソ汁には溶き卵もアリよね
「ゴードン、おまたせ~」
ゴードンがオジサンミソ汁の大きな鍋のところで一礼をしてボクを迎えてくれる。
さぁ、これからだけど、魚汁はすでに骨を取り除かれ白身魚のおミソ汁になっている。
前に魚の骨がパパの喉に刺さった時からの対処だね。まあ、みんなが食べながら魚の骨を取り除くのが大変ってこともあるけれど。
さ、あとはスープ皿にミソ汁を注ぐだけなんだけど。
「ね、ゴードン、卵2個あるよね!?割って混ぜてくれる?」
「はい、塩も入れますかい?」
「塩は入れないで。」
かき混ぜた卵を手元に置きつつ、再度ミソ汁を温め直す。すぐにクツクツしだしたので、ミソ汁をかき混ぜ渦を作り、そこに用意してもらったフォークを使いこぼれないように卵を流し入れた。
ミソ汁の渦に流し入れた卵が白くふわふわに固まる様子にみんな釘付け。
「「「「「「「「「「うおーなんだ?」」」」」」」」」」
「おー、ミソ汁に広がる白い花びらみたいだなー」
「なんか、フワフワしてて雲みたいだ」
そんな感想が聞こえつつ、
「はい、火を止めて」
ゴードンやみんなは飲みたそう。
けど、今日はすぐ夕食の時間だから試食はなしだよー!
「ごめんね、みんな、もう夕食の時間だから、このミソ汁の試食はなしだよ!」
みんなの悲壮感は無視だよ、ごめんねー。
さぁ、みんなご飯の準備よろしくね。
ボクの様子を見ていたパパも飲みたそうな顔をしていたけど、ボクは無視。
「さあ、パパ、ご飯食べなきゃ。早く席に着こうー」
「ああ、わかった」
試食を諦めたパパは気持ちを切り替えてご飯が楽しみの様子。
厨房から食堂までの廊下をパパと歩く。
「なあ、カイト。さっきから気になっていたんだが、卵の試食の時、カイトが言ったあの言葉の意味はなんだ?」
「ん?なんの事?」
「ほら、「板抱きます」って言ってただろ?
板を抱くってお前、大丈夫なのか?」
ブボッ、思わず吹き出した。
あー、あれは違うよ。
もうパパってば、ウケるんだけど。
「あれ、意味が違うよ、パパ。あれはね、「命をいただきます」って事」
「は?誰の命を狙ってんだ?あの場になんか殺らなきゃ行けないことなんて、あったか?はて?」
「違うよ、パパ。誰かを殺すなんて恐ろしい事しないよ。あの場のどこにそんなことあった?」
「そうだよな、うん。ん?では、誰の命だ?」
「あー、いやね、あれは、例えばだけど、卵とかも、鳥や、牛、豚、とにかくボク達が食べるものは全ての生き物の命を頂いているでしょ?だから、食べ物に感謝しているの。だから「いただきます」って言ったんだよ」
「そうか、そうだな。私たちは生き物の命を頂いているんだな。確かに感謝した方がいいな。カイト、お前は優しい子だな」
なぜか、凄く感動しているパパはボクの頭を優しく撫でてくれた。
うんうん、うれしー。
うん?嬉しいーよ。
ね?まだ撫でるの?ボク禿げちゃうぞ。
「パパ、頭撫でるの好きだね。」
「うん?ああカイトの頭はずっと撫でていられるくらいサラサラだな」
「いや、パパ撫ですぎると、ボク禿げちゃうよ、やだよ。4才で禿げたくない」
「そうか、あはは、そうだな。」
パパはそれからボクの頭を撫でるのはやめて、笑い合いながらボクとパパは食堂についた。
すぐに、ママとアリも席に着いた。
「さぁ、みんな席に着いたか?」
パパ、ママ、ボク、アリ
「みんな席に着いたわね。料理を運んでちょうだい。」
「さあ、みんな今日は食事の前に少し話したいがいいか?」
「はい、なんでしょう?」
「パパ、どんなお話なの?」




