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転生領主一代記──伯爵四男に転生したので辺境開拓したら、いつの間にか公国建国して連邦王国まで出来てた件  作者: 想いの力のその先へ
第三章 17歳 辺境領、フェネクス

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四十四話

「さてさて、どうしたものか……」


 皆のいる手前、努めて明るい声を出す。しかし、本当にどうしたものか。金鉱があった、というのは良い。だが複数あった、というのはいただけない。

 その金鉱近辺に鉱山村を開拓するとして、ふたつ、みっつ開拓するとなると、どうしてもコスト。それに、安全性、というところで問題が出てくる。


「複数開拓すると、か……」

「どうしたんだい、領主さま?」


 ぽつり、とこぼした俺の言葉にイオネが反応した。

 しかし、それよりもいまは考えをまとめよう。

 複数開拓しよう、と考えるから駄目なんだ。逆に考えるんだ。すなわち、複数開拓なんてしなくたって良い、と。

 俺は考えの確証を得るため、アスガルへとある確認をした。


「アスガル、見つかった金鉱だが。それぞれの場所は離れているのか?」

「はっ……。い、いいえ。離れておりませんな」


 突然問いかけられたアスガルは鳩が豆鉄砲を食らったかのような顔になるが、すぐに答えてくれた。

 そして、その答えは離れていない。ならば、問題ない。


 レグルスを見る。あいつも俺の考えが分かったのだろう。こくん、と真剣な面持ちで頷いた。


「レグルス、選定を頼めるか?」

「えぇ、問題ありません。考えていたデータが流用できますからね」

「流石だな」


 俺の称賛にレグルスは誇らしげな顔になる。

 そこでイオネも思い至ったのだろう。楽しげな雰囲気とともに語りかけていた。


「なるほど、領主さま。複数造るのが面倒なら、大きなひとつを造っちまおう、って腹だね?」

「あぁ、ついでにいうならカモフラージュの村も統合して、ひとつの巨大な集落とする。まさか、堂々と建てる都市郡にここより重要な施設があるなんて思わないだろうさ」


 そう、それが策。この寒村が領地の首都である以上、そこに重要施設を集中する、と考えるのが普通。その思考を逆手に取る。

 むろん、最低限の防諜体制を敷くのは大前提。その体制にも()()を作る。どこが重要なのか、意図的に誤魔化せる――かどうかは分からないが、撹乱にはなるだろう。

 もちろん、すべてを一気に、というのは不可能だ。ゆえに、()()()()()()()()。これも撹乱の策の一手。そして、表向きには食料増産のため、とする。

 事実、イオス公爵領やマイア夫人と取引するなら食料が腐ることはないし、辺境で移民を募るため、大前提の食料を確保しようとしている。と、報告を上げれば怪しまれないだろう。


 もちろん、当然の話だが公爵家、子爵家(マイア)との折衝は必要だ。しかし、そのこと事態は問題ない。

 なにしろ、上手くすれば儲けが増えるんだ。その辺を攻めれば、二家とも否とは言うまい。それどころか、積極的に協力してくれるだろう。


 それだけじゃない。今後公爵家に関しては姉貴。アマテルと次期当主イクリルくんとの結婚、挙式が控えている。そのために、費えなどいくらでも必要なはずだ。


「……うん、いけるな」


 俺の独り言が聞こえたイオネが不思議そうにしている。まぁ、それは置いておくとしても。

 捕らぬ狸の皮算用ではあるが、同時に必要なことであるのも間違いない。


 それに、上手くこちらの領地。辺境領が成長すれば二家にとって経済圏を広げることが出来る。そして、それは自領の発展を意味する。特に経済に強い――言い方を変えれば経済活動に重きを置いている――ディオスクロイが受ける恩恵は計り知れない。

 そこら辺りをプレゼンすれば問題なく抱き込めるはずだ。

 そして抱き込めれば、下部組織としての立ち位置でもあるマーネン商会をも肘鉄できる。ともに発展するならともかく、首輪をつけられ、搾取されるのはごめん被るからな。

 俺は頭で整理した情報。そして、指示すべき内容を各人へ告げる。


「レグルス。きさまは開拓計画の策定、人員の編成をしろ。多少の予算超過には目を瞑る。……巧くやれよ」

「わたしを誰だと思っているのです、アインさま? お任せください」


 俺の指示に恭しく頭を垂れる。そして、顔を上げたレグルスの目は猛禽類のような鋭さがあった。我が宰相閣下の本領発揮だ。


「アスガル、きさまは兵の訓練をしつつ開拓計画の補助。きさまが訓練している兵で開拓を進めるのだ」

「はっはっはっ、これはまた……。兵たちの良き訓練になるでしょう」


 おおらかに笑うアスガル。

 かつて、前世にあった屯田兵の猿真似であるが、多少は効果もあるだろう。


「そしてイオネ。あなたには全体の統括を任せる」

「おいおい、待ちなよ領主さま」


 あまりのことに目を白黒させるイオネ。いきなり全権を委任されたに等しいのだから、なにもおかしくない。だが――。


「なにも、すべて自身で判断しろ、とは言ってない。……情報を取りまとめて報告を上げてくれればそれで良い」

「なるほど。つまり、いつも通り、ということだね?」


 俺の言葉で肩の力が抜けたのか、ふわり、と表情が軽くなっている。俺としても、イオネは信用できる、とは思うが全権を委任するほど信頼はしていない。

 そうでなかったとしても、彼女一人に責任を押し付けるつもりもない。ここはイオネが差配する辺境領ではなく、俺。アイン・アルデバランが差配する辺境領なのだから。

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