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※この作品についてのお断り

その1

 この『天使のレリは夢を見ない』は、作者のブログ『RE;BIRTH〜リバース』で発表された『闇と光と花と棘』を改題、改作したものです。

 この作品では視覚障害者の主人公が登場し、また、他に障害を持つ人物も登場します。 内容に一部不適切と思われる表現が登場する場面もあり、登場人物による障害を持つ事が良いことであるかのような不適切な発言もありますが、これは本フィクションを創作するにあたり、主人公の過酷な人生を表現するため必要と判断したためです。

 全く純粋に創作表現でありますので、現実の障害を持つ方々を誹謗・中傷・蔑視する意図は全くありません事を最初にお断わり致します。

 また、障害者に対するいわれの無い仕打ちや誹謗を、例え創作上においても許せない、または不快感を持つ可能性が少しでもある、とお考えの方は、本作はお読みにならない事をお勧め致します。

 なお、本作を含め作者のブログにおいては『障害者』という表記をさせて頂いておりますが、この表記法が一部問題であるとする動きがある事を踏まえた上で、作者は『障害者』という表記が『障がい者』『障碍者』『身障者』などの表記と比較して、未だ一般的表記として認知されており、また『日本障害者協議会』など、関係団体の表記が旧来のものであるため使用しております事もご了承下さい。(08年2月)


その2

 その後、この作品は拙作「RE;BIRTH」のスピンオフ作品との位置付けから独立短編への改作を行い再発表の運びとなりました。題名の(R)はリライトを意味しています。(09年11月)



 わたしは自分の出生について多くを知らないし、知りたいと思ったこともない。わたしは最初から欠陥品として生まれた、と聞く。欠陥が利点へ転じると信じた男の夢が私を生み出したのだそうだ。

 普通、欠陥品は不合格の烙印を押されて捨てられる。だれも見向きもしない。わたし以前に製造されたサイキック兵器の中には、わたしのような欠陥品が多く、それらは製造直後に廃棄処分となったという。

 サイキックの研究と兵器としての可能性を探っていた機関は、ただ単に『中央研究所』と呼ばれていた。軍の奥深く極秘裏に存在し、この国の首都に程近いとある射爆場の片隅、弾薬庫に偽装された建物の地下部分にあった。

 数限りない実験と臨床試験が重ねられ、試行錯誤が繰り返された。成功と失敗。前進と後退。それは二十年にも及び、漸くひとつの結論に達したのだ、と言う。多くの偶然と僥倖、そして幾多の成果と犠牲の積み重ねから一つの完成品が生み出された。後はそのプロトタイプ・LOTロット01を基にして大量生産へ移行すれば済む、誰しもがそう思っていた。しかしことはそう簡単ではなかった。

 その最初の完成品であるLOT01。彼女は『ルシフェル』と呼ばれて恐れられているけれど、普段、普通に接してみれば、内にあたたかいモノを秘めた女性で、別に殺人鬼でも異常者でもないことが分かる。しかし彼女はわたしたち特殊能力者、軍言うところのサイ第一号であり、それまではオカルトの世界だったサイキッカーを攻撃兵器として認知させた人。その能力については、私も彼女に拮抗する能力者サイだとは思うけれど、人物については奥深さといい身体能力といい、とても適う人じゃない。

 そんな彼女からクローンを作る試みは困難を極めたのだそうだ。理由はよく分からないけれど、試験体の多くは成長することなく細胞分裂を停止した。それでも中央研究所は怯むことなく十数年余りを費やして、漸く彼女に匹敵するサイを何人か作り出し・・・わたしが生まれた訳だ。

 

 話は変わるけれど、最近わたしは以前に増してフラッシュバックをよく見る。『フラッシュバック』とは人によっては予知夢と呼ぶ視覚野の一時的異常のこと。それは写真のように動かずに一瞬で消えるときもあれば、映画の一シーンのように数分続くときもある。その現象自体はサイであるわたしにとって珍しいものではなく、十歳のある日を境に度々訪れるようになった。しかし、大抵はあまり気持ちの良いものではない。見るのはおぞましいものや心が沈むような光景が圧倒的に多くて、自分の将来ばかりでなく世の中の危機を知らせたり過ちを見せたりを繰り返す。それが初めて起きた時、わたしを指揮監督していた管理官はこう言ったものだ。

「お前は二度と夢を見ることが出来なくなる。見るのは全て未来につながる予言だ」

 確かにその日以来、夜に見る本物の夢を見た記憶がない。そんな具合だったから、わたしはフラッシュバックを好きではなかったし密かに恐れもした。ところが最近のそれは、わたしをとてもリラックスさせ軽い躁状態にさえする代物なのだ。わたしはそれが起きるのを楽しみにすらするようになった。

 わたしが見るのはとても居心地の良い場所、そしてわたしの話を聞いてくれる人たち、そう、わたしを人として認めてくれる人たちに囲まれて・・・それは束の間わたしをとてもしあわせな気分にさせる。


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