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彩られる作品【仮】  作者: 三愛 紫月
待てを言われた僕達は…。
86/135

⑬

「検査結果がでました。」


女の人が、関口に紙を渡した。


海斗は、それを見つめていた。


「海斗君、やはりウイルスは二万を越えてるようだね。」


「それじゃあ…」


「生きれて、三年だね。解毒剤と性行為をすれば、寿命が延びるけれど…。君は、望まないんだろう?」


「すみません」


「なら、これ以上話していても無理だね。あっ!そうだ」


関口は、青い小瓶を海斗に差し出した。


「何ですか?」


「ダメ元で、凛音君に飲ませてみるといい。解毒剤だよ。」


「それって」


「可能性にかけてみようか!もしかしたら、うまくいくかもしれないだろ?」


「ありがとうございます」


「いや、いいんだ。」


関口は、そう言って海斗に笑った。


「それじゃあ、帰ります」


「送るよ」


関口は、海斗を家まで送り届けてくれた。


「関口さんは、今、幸せですか?」


その問いに、関口は首を横に振った。


海斗は、それを見て全てを察した。


「では、失礼します。」


「また、何かあったら連絡をくれ」


関口は、海斗に名刺を渡した。


「ありがとうございます」


海斗は、頭を下げた。


家に帰って、一番に寝室に行く海斗。


スマホを忘れてしまっていたのを思い出した。


凛音から何度も着信がきていた。


海斗は、凛音に掛け直す。


プルルルー


『もしもし』


「凛音、帰っておいで」


『駄目だよ』


「関口さんに、薬をもらったから大丈夫」


『本当に?』


「うん、だから早く帰っておいで」


『わかった』


そう言って、凛音は電話を切った。


凛音は、海斗と話した後、安藤さんの置いたメモにペンでお礼と電話番号を書いて部屋を出る。


昨日の人が、薬をくれたと話した。


凛音は、安藤の家を出る。


キャリーバッグを転がしながら家に帰る。


一方、海斗は…。


青色の小瓶を机の上に置いていた。


凛音に解毒剤を飲んでくれと頼むつもりでいた。


凛音なら、きっと飲んでくれると思う。


もう一つの小瓶を見つめている海斗。


もし、凛音に触(ふ)れて指先が腫れたなら、安心させる為に目の前でこれを飲もう。


ガチャ……。


凛音が、帰宅した音が聞こえて海斗はリビングの扉を開けた。


「海斗」


「凛音、それどうした?」


「海斗」


凛音は、ボロボロと泣いていて絆創膏が唇や眉に貼られている。


「凛音、大丈夫?」


海斗は、凛音の涙に触(ふ)れる。


「イッ」


「海斗」


「ちょっときて」


みるみる指先が腫れ上がった。


海斗は、凛音の手を引いてリビングに連れてきた。


「これね、もらったんだ。」


凛音は、小瓶を見せる。


「うん」


「行くよ」


スポイトつきの小瓶だから、液体をすくって口にポトリと一滴落として飲み込んだ。


「魔法?」


僅か、一秒で身体の腫れや湿疹がひいた。


海斗は、凛音の涙を拭った。


「痛みは?」


「ないよ、凛音」


海斗は、凛音を抱き締める。


「海斗、海斗ぉぉー」


凛音は、海斗にしがみつきながら泣いている。


「俺は、また凛音に触(ふ)れられるんだね」


「そうなんだね」


「よかったよ、凛音」


海斗は、嬉しさのあまり凛音の唇に唇を重ねた。


凛音は、海斗を押した。


ガタ…。


「凛音?」


「ごめん」


凛音は、さっきの母親の言葉のせいで、父親にやっていた事が頭を過ったのだ。


「どうしたの?泣いてるの?」


「海斗、ごめん」


「どうした?」


「僕、僕ね…。」


凛音は、父親にしていた事を海斗に全てぶちまけた。


「凛音」


海斗は、そう言って抱き締める。


「ごめん、汚(きたな)い」


「汚(きたな)くなんかないよ。話してくれてありがとう。俺は、凛音が大好きだよ。」


海斗に抱き締められるのは、不思議と気持ち悪くなかった。


「凛音が男の子でよかった」


海斗の言葉に、凛音は海斗を強く抱き締めながら泣いた。


「海斗、海斗。死なないで」


凛音の言葉に海斗は、凛音から離れて解毒剤の小瓶を差し出した。


「もしかしたら、無理かもしれない。でもね、もしね。凛音が、解毒剤を飲んでくれてウイルスが増えてくれたら。俺は、助かるかもしれないんだ。」


「一度だけでいいの?」


「多分、次は15年後だと思うから…。もう一度しなくちゃいけないかも知れないけど…。その時になったら、どうにか方法があるかもしれないから…。無理は、言わないよ。凛音の身体にどんな事が起きるかわからないから…」


「海斗、飲むよ。僕は、海斗の為なら、どんな事だってするから」


そう言って、凛音はニッコリ微笑んで小瓶の液体を飲み干した。


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