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彩られる作品【仮】  作者: 三愛 紫月
待てを言われた僕達は…。
74/135

①

「付き合って下さい」


「ごめんなさい」


高校一年生、俺は同じクラスの的場凛音に告白されていた。


「どうして、男だから?」


男子校で、周りも結構付き合っていたし、俺は母親の浮気現場を目撃してから女は駄目だった。


だから、別に男とか関係なかった。


「嫌、そうじゃないんだ。」


「僕、上手いと思うんだよ。何なら、やってあげようか」


ズボンに手をかけられる。


「待て、待て、そうじゃない」


「何で?そっから、始めてるやつもいるから、やってみてから」


「やめろ!!!」


「そんな怒んなよ」


とんでもない程、大きな声が出せた。


的場は、俺から離れてくれた。


「ごめん。とにかく、無理なんだ」


俺は、そう言ってズボンを整えてスタスタと歩いて行く。


俺の名前は、市川海斗。


俺には、とんでもない秘密がある。


あれは、そう、高校入学の二日前だったー

.

.

.

.

.

.

.


「父さん、暫く放浪しようと思ってる」


「はあ?」


「心配するな!貯金で、何とか賄えるだけあるから」


「いやいや、そうじゃなくてさ」


「いつか、海斗が死ぬと思ったら涙が出るんだ。」


滋は、海斗を見つめながら涙を拭っていた。


「どういう意味だよ」


「海斗、すまない」


滋は、海斗に土下座する。


「何の真似だよ」


「実はな、母さんが不倫してたのは知ってるよな?」


「ああ」


「父さんも、目撃したんだよ」


「そうなんだな!」


「母さんが、3人としてただろ?」


「あ、ああ。見た」


「だろ、だろ。そんな癖だと知らなかった。」


「だから、何だよ」


「あれがね、許せなかったんだ。気持ち悪くて、堪らなくてね。だからね…」


海斗は、父親が何を言いたいのか全く理解できなかった。


「だから?」


「だからね、海斗。セックスしたら死ぬウイルスをお前に飲ませたんだ。」


「ブハッ……ゲホッ、ゴホッ」


麦茶を吹き出してしまった。


これから、待ち受けているキラキラした青春が消えて行ったのが見えた。


「で、解毒剤とかは?」


「ない」


「はあ?ふざけんなよ。」


「それと、海斗とセックスした奴も死ぬ」


「いや、いやいや、いやいや」


あまりにも軽々しく言う父親の姿に、海斗は固まってしまった。


「どういう事だよ。俺、今まで一人ではしてたぞ!」


「それは、問題ない」


「じゃあ、何で死ぬんだよ」


「相手の体液と混ざり合ったらそうなるみたいだ。」


「キスは、出来んのか?」


「キスは、問題ない」


「じゃあ、口とか…」


「そのだな!言いにくいけれど、下半身がよくないんだ。だからだな。口も駄目だ。手ぐらいなら大丈夫だぞ!汗と唾液はオッケイだ。ただ、そのモノは駄目だな」


「嫌、父さん」


「何だ?」


「俺は、どうなるんだよ」


「さあな!わからない」


「嫌、わからないじゃ困るんだよ。一生、童貞かよ」


「そうかも、知れないな」


「そうかもじゃないんだよ。どうするんだよ!じゃあ、待てよ。俺が、やられる方なら大丈夫か?」


「なわけないだろうが!体液が駄目だって言ってるだろ?ちょっとは、頭を使えよ」


「いやいや、お前のせいだろうがよ」


「父親をお前って言うな」


「まじで、どうにかしてくれよ」


「無理だ」


「無理じゃ、困るんだよ」


「気をつけて、高校生活を楽しむんだ。」


「父さん」


「おやすみ」


俺の話を全く聞かずに、父さんは眠りに行った。


それから、高校の入学式の日に父さんはいなくなった。


そして、今、俺は毎日、毎日、的場に告白をされている。


本当に、死ぬのだけは嫌だ。


だから、関わらないでいい方法を考えよう。


さっきも、不意打ちであいつは俺のを…。


ヤバイ奴だ。


授業が終わると、俺はすぐに立ち上がった。


「海斗くん」


「お疲れ」


必死で、階段を降りた。


「海斗、待ってよ」


必死で、走った。


走って、走って、走って…。


家に帰ってきた。


「はぁ、はぁ、はぁ」


まじで、嫌だ。


まじで、辛い。


糞だ。


こんな青春は、糞だ。


家の鍵を開けて、家に入る。


冷蔵庫を開けて、ゴクッゴクッと麦茶を飲み干した。


「ぷはー。生き返った」


父親が、リュックサック一つで旅に出て、1ヶ月。


もっと、寂しいかと思っていた。

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