↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
彩られる作品【仮】  作者: 三愛 紫月
それが、運命(さだめ)ならば…。
50/135

⑤

十季から離れて出ていく正美。


十季は、その姿を見つめていた。


「正美…」


何も声をかけられなかった。


部屋から出て歩く正美に切り替わる。


「十季が、恋をしたか?」


志吹に声をかけられる。


「そうです」


「正美、十季にお見合いの話をしたんだな」


「はい。十季が、羨ましくて」


「もう、いいのか?彼女の事」


「そんな事を言うことは、許されないって志吹はわかっていますよね?」


「そうだな」


「五年前なら、僕も十季のように、何故って思っていたでしょうね。でも、二十歳になってわかったのは…。遠藤に産まれた限りは、自分に与えられた責務を全うするだけです。」


「正美、悲しいな。心を揺さぶられても、意味がないって言ってるみたいに聞こえるよ」


「実際に、意味がないだろ?心を燃やそうが、揺さぶられようが、遠藤に産まれた限りは、意味がないんだよ。志吹、わかるだろう?」


志吹は、正美を抱き締めていた。


「すまない、私が…。変わってあげれば、よかった。」


「志吹は、能力が強いから変われないよ。わかってるよ。そんな事は、昔からわかってるから」


正美は、志吹に抱き締められながら泣いていた。


「子孫繁栄だけで、正美が嫌な思いをして欲しくない。」


「でも、それが決められた事なんだよ。」


「正美は、子供を作るだけの存在じゃないよ」


「遠藤では、その為の存在だよ。志吹…。僕は、人だったかな?いつだって、命令通りに動くんだよ。それが、遠藤に産まれた運命(さだめ)でしょ?」


「悲しいね。普通の人間に産まれたかったね」


志吹の言葉に、溢(あふ)れる涙を止められない正美。


「嫌な思いをするのは、僕だけでいいんだ。それに、お見合い相手を愛せるかもしれないだろ?」


「十季には、幸せになって欲しいね。そうだね。素敵な人かも知れないね」


正美は、志吹から離れる。


「僕は、まだましだよ。志吹は、結婚も出来ないじゃないか」


「気にするな」


「呪いだね。いつになったら、こんな呪縛からぬけれるかな」


「来世は、遠藤に産まれない事を祈るしかないよ。でもね、私は遠藤に産まれてよかったと思ってるよ。正美や十季と過ごせてよかったと思ってるよ。だから、呪いだとは思っていないよ。遠藤に産まれる事が出来たから、正美と十季に出会った。」


志吹の言葉に、正美は忘れていた気持ちを思い出した。


「志吹。僕も幸せだよ。志吹と十季と生きてこれて幸せだよ。それだけで、遠藤に産まれてよかったと思っていたのを忘れていたよ。ごめんね、志吹」


正美は、志吹にまた抱きついた。


「正美、十季だけは幸せになれるようにしてあげようね」


「勿論だよ、志吹」


そう言って、二人は笑い合った。


かわって、十季…。


部屋で、ゴロリと寝転がって天井を見ていた。


正美や志吹の気持ちなどしるよしもなかった。


手を見つめながら、自分は何故こんな場所に産まれてきたのかと思っている。


普通の中学生で、平凡な子供で、だったら、どれだけ楽だっただろうか…。


クラスのみんなのように、ゲームの話で笑っていられたら、どれだけ幸せだっただろう…。


何故、義務教育を受けているのかわからなかった。


別に、ここを継ぐならば必要ないではないか


何故、わざわざ学校という場所に行き、みんなの悪意を受け、幽霊と話をするのかが、十季には全く理解が出来なかった。


学校に行かなければ、他人の悪意を師匠以外で感じる事はなく。


ポカポカと陽だまりの中、ボッーと過ごせるのだ。


なのに、わざわざ悪意の中に飛び込まされている。


確かに、きっかけは自らが放った言葉だったのはわかっている。


十季は、頭をガシガシ掻いた。


【あー。もう、何なんだよ】


さっきと、違って何のピースも見つけられない。


答えさえもない。


なのに、また明日になれば行かなければならないのだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。