↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
彩られる作品【仮】  作者: 三愛 紫月
【心だけが繋がらない】
29/135

④

「トイレ行ってええ?」


「ええよ」


さっきから、秋に頬を撫でられているだけで、身体が変になりそうだった。


俺は、トイレに行く。


辛すぎて、消えてしまいたい。


こんな人生、嫌だ。


俺は、精神を整えてトイレから出る。


「秋、どこ行ったん?」


出てきたら、秋がおらんかった。


「秋」


俺は、大きな声で名前を呼んだ。


「ここやで、冬」


「何してるん?」


「こっから、ちょっと向こう覗いたら公園みれて、今、子連れがおるねん。ホンで、この時間に志保が通るねん。」


「家、近かったん?」


「引っ越してきたんやで!あいつと!」


「えっ?」


俺は、ベランダにいる秋に近づいていく。


「俺もうアカンわ。もう、限界やねん。志保のお腹が大きなってあいつと笑ってんの見るだけで、無理やわ」


「秋、俺がおるやん」


嫌な予感がして、さらに近づく。


「冬がおって何になるん?付き合うとか出来へんやん。セックスも出来へんやん。それに、出来ても冬は、俺の子供産まれへんやん」


「落ち着け。落ち着けや。はやまるなよ。死んだら終わりやから!」


俺は、ベランダに近づいた。


「くるな!きたら、飛び降りるで!」


「わかった。こっから、いかん。やけど、頼むわ。俺と生きていこう」


「冬が、女やったら考えたったわ」


「秋、ホンマにやめてくれ」


涙が止まらなくなる。



「冬が、女やったらよかったのに。何で、男なん?男は、好きになった所で子供無理やん。」


「秋、やめてや」


「もう、限界やねん。生きてる事に価値を見いだせへんねん」


「秋、頼むから」


「冬、幸せになりや」


「秋、ホンマにやめて」


「親友になれてよかった」


「秋、ホンマにアカンから」


「冬が結婚とか彼女とか作ったら絶望的に辛いだけやし」


「そんなんない。俺は、秋を裏切らんから」


「ありがとう、冬。嘘でも嬉しいで!大好きな親友やで!いつかまた会おうな」


「待って、秋」


秋の飛び降りるのを止めようと急いだけど、間に合わんかった。


「秋ーーー」


「キャーー」


「ヤァーーー」


叫び声が、聞こえる。


低いから、生きてる。


絶対、生きてる。


.

.

.

.

.




「冬、大丈夫?」


「夏」


俺は、夏を抱き締めていた。


「汗凄いし、息荒いし、怖かったやん。また、秋さんの夢見たん」


「うん。明日やから」


「大丈夫。僕がいるから」


夏に抱き締められると安心する。


なのに、何で?


夏を好きになれないんだろうか…


夏を好きになれたら、こんなにも幸せな事はないんじゃないかと思う。


「お風呂、スイッチ押すよ」


「うん」


俺は、起き上がってお風呂のスイッチを押した。


「ねえー。冬」


「うん?」


「アパートにしない?マンションやなくて」


「何で?」


「お隣も少なくてええやん。」


「そうやな!俺は、かまへんで」


「階数も少ないやろ?二階ぐらいやったら、大丈夫?」


「うん、大丈夫やで」


会社は、二階建てだった。


本当は、ビルの中にある職場に就職が決まっていた。


給料も今よりめっちゃよくて…。


なのに、初出勤の日。


その階についた瞬間。


俺は、眩暈がして倒れた。


俺は、秋を掴まえられなかったあの日から…。


高所恐怖症になった。


それも、度が越す程だった。


母親が、心配してカウンセリングや心療内科に通わせたけれど…。


何にも変わらなかった。


父親からは、薬漬けの人生か、苦しくても耐えて生きる人生かの二択を迫られていた。


そんな日々の中で、俺は夏に出会った。


「冬、眉間に皺よってる」


抱き締められた温もりに安心する。


「ホンマ?」


「ホンマ!」


そう言って、おでこを擦られた。


「夏、好きやで」


「LIKEってやつやろ?昔、流行ったよな?LIKEかLOVEかとかって」


「ああ、高校の時な」


「冬は、なんて答えたん?秋さんに…。」


「LIKEってゆったよ。夏は?」


「僕も、LIKEってゆったよ」


♪お風呂が沸きました♪


「沸いたみたいやで」


「ホンマやね」


俺は、夏の手を掴んで風呂場に連れていく。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。