【温度】⑭
目が覚めた泉。
「めっちゃ綺麗」
花香の顔を見つめていた。
トクンって、胸の奥で音がした。
「めっちゃ綺麗」
泉は、花香を抱き締めた。
「うーん」
「ごめんなさい」
「何?」
「わかんない」
泉は、涙がポロポロ流れる。
「怒ってないよ」
花香は、泉の頭を撫でる。
「ほんとに?」
「うん」
「じゃあ、よかった」
チュッって唇にキスをされた花香
「えっ?」
「えっ?」
泉は、花香と同じように驚いた顔を見せる。
「番号教えて!嫌なら、家に住む?」
「どういう意味?」
「さあ?わからない。でも、花ちゃんが傷つけられるの嫌。家に住みなよ。ワンエルだけどさ、いいじゃん。来なよ」
「いいの?」
「いいの」
泉は、電話番号を花香が差し出してくれたスマホに入力した。
「じゃあ、今日。バイト終わったら家に来てよ。花ちゃんは?仕事?」
「今日も、休み」
「そっか!じゃあ、待ってるからね」
「うん、わかった。」
泉は、花香に抱きついた。
「トイレ行こう」
そう言われて、花香は手を引かれてく、男とか女とか関係ない。
泉の手を掴んで、このまま新しい世界に行きたい。
花香は、そう思って歩いた。
彪伍も、目が覚める。
「本当、男なのに綺麗」
一輝の髪を撫でる。
「うーん、おはよう」
目を開けた一輝を見つめた。
「おはよう」
キスをしてしまった彪伍
「は?」
「え?」
二人で固まった。
「ごめん」
「嫌々、別に怒ってないよ」
一輝は、笑って彪伍の髪を撫でる。
「あのさ、家きたら」
「何で?」
「家に居たくないんだよね?」
「うん」
「じゃあ、決まり。スマホちょうだい」
「はい」
一輝は、スマホを差し出した。
彪伍は、番号を入力した。
「今日は、仕事は?」
「休みとってる」
「じゃあ、僕。昨日と同じ時間に終わるから!待っててよ。スーパーの前で」
「何で?いいの?男だよ」
「関係ある?僕は、いっちゃんが傷つけられたくないだけだよ」
手を握りしめられる。
このまま、彪伍とどこかに行きたい。
そう思わせてくれる。
カチャ…
「トイレ行ってた」
泉と花香が戻ってきた。
「モーニング食べて帰ろうよ」
時刻は、5時だった。
「まだ、あいてないだろ?」
「でもさ、ここ閉まるんだって」
「じゃあ、出ようか」
四人は、カラオケボックスを出た。
並んで歩く。
泉は、花香の手を握りしめる。
彪伍は、一輝の手を握りしめた。
人間として好きなんだと思う。
自販機で、水を買った。
「はい」
「ありがとう」
水を飲みながら歩く。
「公園のベンチ座ろう」
「うん」
四人で、公園のベンチに座った。
「花ちゃん」
「うん」
「めっちゃ、電話とメッセージきてたよ。見ちゃった」
「そっか」
「旦那さん、花ちゃんに執着してるね!」
そう言って、泉は花香を見つめる。
「また、酷い事されないといいけど」
「大丈夫、いないから!仕事だから」
「そっか!じゃあ、私が終わるまでいっちゃんといなよ!」
「わかった」
「うん、そうしてよ。心配だから」
「わかった」
泉の真っ直ぐな言葉は、花香の胸を貫く。
「いっちゃんも、大丈夫?」
「大丈夫だよ。あっちはバイトだから。」
「じゃあ、仕事終わるまで花ちゃんと待っててよ」
「わかった」
「心配だから、お願い」
「わかった」
一輝は、彪伍の言葉に自分が必要とされてるのを感じた。
暫く、公園で話す四人…
「さあー。モーニング食べて帰ろう」
「うん」
立ち上がって、近所のカフェでモーニングを食べた。
「じゃあ、また後でね」
「うん」
「じゃあね」
「バイバイ」
手を振って別れた。
花香は、一輝と並んで歩く。
「離婚届取りに行こうか?」
「うん」
「じゃあ、行こう」
「うん」
一輝と並んで歩く。
近くのバス停で、バスを待つ二人。
やってきたバスに乗り込んで、市役所で離婚届をもらって出てきてバスにのって戻ってきた二人ー
「後悔しない?」
「しない」
「じゃあ、荷物つめたら、barの前で」
「一時には、行くね」
「うん、じゃあ後でね」
手を振って、二人はバス停で別れた。
花香も一輝も、足取りを重くしながら家に帰った。




