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彩られる作品【仮】  作者: 三愛 紫月
シークレット作品②
115/135

【温度】⑤

「花香、出していい?」


「えっ?」


最悪だよ、孝輔


「部屋で待ってる」


頭をポンポン撫でられた。


何これ?


最低だよ。酷いよ


パンツを整えて、ブラジャーを外した。


パジャマを着た。


スマホを覗くと、一輝さんからメッセージがきてた。


なんで?私、泣いてるんだろう…


涙を拭って、寝室に向かった。


ベッド、2つ買えばよかった。


孝輔が、寝てると思ったからベッドに入った。


サイドテーブルに、スマホを置いて布団に入った。


「花香、めっちゃいい匂い」


「まだ、起きてるの?」


「待ってたんだよ。」


私のズボンに手を滑らせてくる。


「やめて」


「いいじゃん、もう一回。花香だってその気だよ」


弱いとこ全部知ってるくせに…。


目を閉じたら、一輝さんが浮かんできちゃった。


めちゃくちゃ綺麗な人だった。


「じゃあ、帰るね」


「危ない」


「慣れない、ヒールはくべきじゃなかった。ごめんね」


腰に手を当てて支えられた。


「ありがとう」


手を掴んで離した時に、ギュッて握りしめられた。


同じ温度だった。体も声も手も…


孝輔みたいに、熱くなかった。


丁度いい心地よさだった。


私は、一輝さんと触(ふ)れ合った指を口にいれた。


「声、出していいんだよ。花香」


私は、首を横に振った。


惜しくなったの?


私が、一輝さんと話したのバレたの?


「可愛い声、聞かせてよ、花香」


「んんっ…」


嫌だ、嫌だ。


別れる人に、感じさせられたくない。


「花香、めっちゃいいよ。愛してるよ」


ボタボタ涙が流れ落ちる。


愛してるって何?


そんな言葉で、縛りつけておきたいの?


それとも、私は自分のセフレにでもしようって考えてるの?


もしかして、一輝さんの奥さんが妊娠してるの?


「花香、愛してる。愛してる」


やめてよ、聞きたくない。


なんで?


そんな酷い言葉言えるのよ。


「花香、こっち向いて」


「嫌」


「なんで?顔見ながらしよう」


「嫌」


「お願い、キスしながら出したい。」


「離婚するんだよ」


「だから、何だよ。まだだろ?離婚してないだろ?」


だから、何って何?


「花香、こっち向いて」


「後ろでして。お願い。今日はお願い…」


「わかったよ、花香」


耳の後ろが、弱い事知っててわざと息をかけてくる。


「花香、いくよ」


「んんっ」


「あー、桜」


えっ?!!!


涙が大量に流れてきた。


私は、一輝さんの奥さんの代わりなの?


なんで?


さっきは、私の名前呼んでくれたじゃない。


「花香、愛してるよ。おやすみ」


「おやすみ」


声が、震えないように気をつけて言った。


最後に、桜って言ったよね……


孝輔、なんで?


そんなに、私が嫌いなの?


そんなに、私といたくなかった?


そんなに、赤ちゃんが大切?


私と歩む人生よりも、大切なの?


「花香」


「期待して、期待して、また生理がくる体が嫌いなの。もう、期待したくないの。孝輔、私。この体が大嫌いなの」


「花香、二人で生きて行こう」


あれは、嘘だったんだよね。


本当は、私に合わせて望まないフリしてただけなんだよね。


期待して、期待して、私の体はいつも私を裏切った。


辛くて、悲しくて、うんざりだった。


副作用がキツイ薬を飲むのは嫌だった。


これ以上、治療を続けて孝輔を嫌いになりたくなかった。


なのに、何で?


「桜と、花香さんの旦那さんは避妊せずにしているようです。」


メッセージをカメラで撮ったという写真を見せられた。


「一年半前からだと、俺は思っています。」


孝輔が、私を求め始めた時期とピッタリ同じだった。


どういう意味でしてたの?


悪いって思ってたの?


何で?


離婚しようって言った私を抱くの?


私は、ベッドから出た。


スマホを持って、リビングに行く。


リビングの引き出しつきのソファーベッドから毛布を取り出した。


「孝輔、なんで?こんな酷いことするの」


結婚して20年、これからは二人で幸せに生きていけるって信じてた。


プルルルー


『はい』


「ごめんなさい。切ります」


『大丈夫ですよ。駄目なら出ません』


「すみません」


『何かありましたか?』


「いえ、何も…。ただ、明日七時でしたよね?」


『抱かれたんですか?花香さんも…』


その言葉に、何も話せずに黙ってしまった。




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