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出来の悪い子供
その昔
おれがテレビを観ていると
そこの番組に出演していた
タレントが
こんなことを
言っていた
「親としては
出来のいい子よりも
出来が悪い子供の方が
可愛い」
おれの家族で
おれ以外の
親姉妹は
みんな頭がいい
優等生だった
おれは末っ子の長男で
家族の中では
おれが一番出来が悪い
オチコボレの劣等生だった
そんな出来が悪い
このおれを
親父もお袋も
二人の姉貴も
家族みんなして
可愛がってくれた
おれは今ではいい歳した
中年のオヤジであるにも
関わらず
おれと同居している
歳老いた親父とお袋は
未だにおれのことを
自分たちの子供扱いする
親父とお袋に
してみれば
おれがそんなに
だいそれた人間だと
思いたくないんだろうな
いつまでも自分たちの
出来が悪くて
聞き分けのない
可愛い我が子でいて欲しいと
そう思いたいんだろう
そんな親心を
目の当たりにして
おれは複雑な気持ちでいる
いつまでもこのおれを
子供扱い
して欲しくないという気持ちと
いつまでも
親父とお袋の
子供のままでいたいという
衝動がぶつかっている
老い先短い
親父とお袋だ
何であれ
親父とお袋には
心配や苦労をさせないで
安心させてやりたい
おれがいるから大丈夫だと
そう言ってやりたい




