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賤民の息子
おれが生まれたての頃から
おれの家庭は貧しく
決して裕福とは
言いがたかった
それはおれが
小学生になってからも
ずっとそんな感じだった
おれは欲しいモノも
ロクに買い与えて貰えずに
その都度涙が枯れるまで
ワンワン泣いて
親父とお袋を
困らせていた
そんな家庭の
台所事情は
おれが50歳を過ぎた
今でも相変わらずで
持ち家も無く
おれが生まれた時から
借家住まいを
続けているし
自家用車も
持っていない
しかしそれでも
食うには困ってないし
たとえ何も無くても
それが当たり前の
生活だと思えば
ひがんだりせずにいられる
たとえおカネが無くても
株取引や
ギャンブルにも
手を出さない
長年の間
貧乏暮らしを
続けていくうちに
何もないのが
当たり前だと
思うようになって
体も頭も貧乏暮らしに
すっかり慣れてしまった
今ではおれも
ガキの頃とは違う
家におカネがないからといって
ひがんだりはしない
おカネが無ければ
働いて稼げば
それでいいんだ
目一杯働いて
目一杯稼いでやる




