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小さなことをやれ
同居している
年老いた親父とお袋は
未だにおれのことを
自分たちの子供扱いをして
ときどきおれに
小言を言ってくる
そんな親父の決まり文句はこうだ
「大きなことを言わないで良いから
小さなことをやれ」
おれもかつては
親父の言うとおりにして
自分を必要以上に
人前では
大きく見せようとは
しなかったし
自慢話もほとんどしなかった
でもそうすると
みんなはおれを
バカにするか
モノ笑いの種にして
面白そうにゲラゲラ
笑って
それでおしまいだった
おれはその度に
悔しい思いをして
一人で泣くしかなかった
だからおれは
みんなを見返して
やりたかった
ウチはもともと
貧しい家庭で
生まれ育ったが
それでも特に不満はなかった
しかしおカネが無ければ無いで
そこでもみんなから
バカにされた
だからいつしかおれは
大金持ちになって
そこでもみんなを
見返してやりたいと
そう思うようになった
今から思うと
ウチが貧しくて
貧乏だったお陰で
おれは向上心が
持てたのかもしれない




