↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
その手に見えるは機械装甲  作者: コラム
PR
95/948

#93

それから食事(しょくじ)を済(す)ませ、デザートでもとミックスが売店(ばいてん)へソフトクリームを買いに行く。


お腹(なか)いっぱいになったサービスは、朝からはしゃぎ回(まわ)ったせいか、そのまま椅子(いす)に寄(よ)りかかって眠(ねむ)ってしまっていた。


ジャズは、本当によく眠る子だなとそんな彼女の顔を眺(なが)めている。


すると、何やら周(まわ)りにいた親子が騒(さわ)ぎだしていた。


皆(みな)ある方向(ほうこう)を見て歓喜(かんき)の声をあげている。


ジャズは、このアミューズメント施設(しせつ)の出しものか何かだと皆が騒いでいるほうを見てみると――。


「あれは……ナノクローンじゃないのッ!?」


あり得(え)ないものを目撃(もくげき)した。


ナノクローン――。


全高(ぜんこう)3.5メートル、重量(じゅうりょう)2.2トン。


無骨(ぶこつ)な金属(きんぞく)装甲(そうこう)にブルーのカラーリングが施(ほどこ)され、通信(つうしん)装置(そうち)とスモールコーラスというビーム兵器(へいき)を搭載(とうさい)したエレクトロハーモニー社製(しゃせい)の戦闘用(せんとうよう)ドローンである。


以前(いぜん)に、彼女の叔父(おじ)であるブロード·フェンダーが、バイオニクス共和国(きょうわこく)へテロ行為(こうい)を仕掛(しか)けたときに連れていたものだ。


それがどうしてこんなところに?


嫌(いや)な予感(よかん)が止まらない。


ジャズは唖然(あぜん)としながらも、すぐに気持ちを切り替えてこの場を離(はな)れようとした。


眠っているサービスとニコを抱(だ)き、一刻(いっこく)も早くフードコートから出ようと走り出す。


すると、ゆっくりと進(すす)んでいたナノクローンが急(きゅう)に速度(そくど)を上げ始(はじ)めた。


ナノクローンはフードコートにあったテーブルや椅子、ドローンを跳(は)ね飛ばしながら真(ま)っ直(すぐ)ぐにジャズたちのほうへと向かってくる。


「なんなのよもうッ! やっぱりサービスはドローンに狙(ねら)われているワケッ!?」


喚(わめ)きながら逃げるジャズ。


彼女は周(まわ)りを見ながら人がいないところ、できるだけ足止めできそうな障害物(しょうがいぶつ)の多いところへと走るが、それでもナノクローンは止まらずに追(お)いかけてくる。


両腕(りょううで)付けられたビーム兵器――スモールコーラスを放(はな)ちながら、さらに追いかける速度を上げていく。


ジャズの実力(じつりょく)なら、たった一機(いっき)の戦闘用ドローンくらい倒(たお)せるのだが。


反撃(はんげき)しようにも今日の彼女は、当然(とうぜん)武器(ぶき)など持っていない。


おまけにサービスを抱(かか)えたままでは戦えない。


どうする、どうすればいいと、ジャズは心(こころ)の中で咆哮(ほうこう)する。


「ったく、こんなときにミックスはなにしてんのよッ!」


ジャズがそう叫ぶと、腕(うで)の中にいたニコが悲鳴(ひめい)をあげるように鳴(な)いた。


すでにナノクローンが彼女の真後(まうし)ろまで来ていたのだ。


ダメだ、このままではやられる――。


ジャズがせめてサービスとニコだけは守(まも)ろうと、走りながらもその身を固(かた)めた。


その瞬間(しゅんかん)にナノクローンが爆発(ばくはつ)した。


ドローンのブルー塗装(とそう)の破片(はへん)が、辺(あた)りへ乱射(らんしゃ)されるかように飛んでいく。


爆風(ばくふう)に巻(ま)き込(こ)まれたジャズは、サービスとニコを庇(かば)いながらも吹(ふ)き飛ばされてしまう。


「いてて……。サービスッ! ニコッ! ケガはないッ!?」


倒(たお)れたジャズが慌(あわ)てて声をかけると、ニコがサービスの下敷(したじ)きになりながら震(ふる)える手をあげていた。


どうやら前のときと同じように、ニコがクッション代(か)わりになって彼女を守ったようだ。


ジャズはそんな電気羊(ひつじ)を優(やさ)しく撫(な)でると、こんなときでも目を覚まさないサービスの顔を見て安心していた。


「この子ったら……こんなときによく寝てられるわね」


そう声をかけると、晴れ始めた爆風の中から人影(ひとかげ)が見え出していた。


ジャズはきっとミックスが助けてくれたのだと思っていた。


彼女はもうちょっとスマートにやれないのかと、ミックスに文句(もんく)の一つでもいってやろうと立ち上がると――。


「やっと見つけた……。神の領域(りょういき)を侵(おか)す根源(こんげん)……」


そこには、見覚(みおぼ)えのないトレンチコート姿(すがた)の少女が立っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。