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その手に見えるは機械装甲  作者: コラム
95/948

#93

それから食事(しょくじ)()ませ、デザートでもとミックスが売店(ばいてん)へソフトクリームを買いに行く。


(なか)いっぱいになったサービスは、朝からはしゃぎ(まわ)ったせいか、そのまま椅子(いす)()りかかって(ねむ)ってしまっていた。


ジャズは、本当によく眠る子だなとそんな彼女の顔を(なが)めている。


すると、何やら(まわ)りにいた親子が(さわ)ぎだしていた。


(みな)ある方向(ほうこう)を見て歓喜(かんき)の声をあげている。


ジャズは、このアミューズメント施設(しせつ)の出しものか何かだと皆が騒いでいるほうを見てみると――。


「あれは……ナノクローンじゃないのッ!?」


あり()ないものを目撃(もくげき)した。


ナノクローン――。


全高(ぜんこう)3.5メートル、重量(じゅうりょう)2.2トン。


無骨(ぶこつ)金属(きんぞく)装甲(そうこう)にブルーのカラーリングが(ほどこ)され、通信(つうしん)装置(そうち)とスモールコーラスというビーム兵器(へいき)搭載(とうさい)したエレクトロハーモニー社製(しゃせい)戦闘用(せんとうよう)ドローンである。


以前(いぜん)に、彼女の叔父(おじ)であるブロード·フェンダーが、バイオニクス共和国(きょうわこく)へテロ行為(こうい)仕掛(しか)けたときに連れていたものだ。


それがどうしてこんなところに?


(いや)予感(よかん)が止まらない。


ジャズは唖然(あぜん)としながらも、すぐに気持ちを切り替えてこの場を(はな)れようとした。


眠っているサービスとニコを()き、一刻(いっこく)も早くフードコートから出ようと走り出す。


すると、ゆっくりと(すす)んでいたナノクローンが(きゅう)速度(そくど)を上げ(はじ)めた。


ナノクローンはフードコートにあったテーブルや椅子、ドローンを()ね飛ばしながら()(すぐ)ぐにジャズたちのほうへと向かってくる。


「なんなのよもうッ! やっぱりサービスはドローンに(ねら)われているワケッ!?」


(わめ)きながら逃げるジャズ。


彼女は(まわ)りを見ながら人がいないところ、できるだけ足止めできそうな障害物(しょうがいぶつ)の多いところへと走るが、それでもナノクローンは止まらずに()いかけてくる。


両腕(りょううで)付けられたビーム兵器――スモールコーラスを(はな)ちながら、さらに追いかける速度を上げていく。


ジャズの実力(じつりょく)なら、たった一機(いっき)の戦闘用ドローンくらい(たお)せるのだが。


反撃(はんげき)しようにも今日の彼女は、当然(とうぜん)武器(ぶき)など持っていない。


おまけにサービスを(かか)えたままでは戦えない。


どうする、どうすればいいと、ジャズは(こころ)の中で咆哮(ほうこう)する。


「ったく、こんなときにミックスはなにしてんのよッ!」


ジャズがそう叫ぶと、(うで)の中にいたニコが悲鳴(ひめい)をあげるように()いた。


すでにナノクローンが彼女の真後(まうし)ろまで来ていたのだ。


ダメだ、このままではやられる――。


ジャズがせめてサービスとニコだけは(まも)ろうと、走りながらもその身を(かた)めた。


その瞬間(しゅんかん)にナノクローンが爆発(ばくはつ)した。


ドローンのブルー塗装(とそう)破片(はへん)が、(あた)りへ乱射(らんしゃ)されるかように飛んでいく。


爆風(ばくふう)()()まれたジャズは、サービスとニコを(かば)いながらも()き飛ばされてしまう。


「いてて……。サービスッ! ニコッ! ケガはないッ!?」


(たお)れたジャズが(あわ)てて声をかけると、ニコがサービスの下敷(したじ)きになりながら(ふる)える手をあげていた。


どうやら前のときと同じように、ニコがクッション()わりになって彼女を守ったようだ。


ジャズはそんな電気(ひつじ)(やさ)しく()でると、こんなときでも目を覚まさないサービスの顔を見て安心していた。


「この子ったら……こんなときによく寝てられるわね」


そう声をかけると、晴れ始めた爆風の中から人影(ひとかげ)が見え出していた。


ジャズはきっとミックスが助けてくれたのだと思っていた。


彼女はもうちょっとスマートにやれないのかと、ミックスに文句(もんく)の一つでもいってやろうと立ち上がると――。


「やっと見つけた……。神の領域(りょういき)(おか)根源(こんげん)……」


そこには、見覚(みおぼ)えのないトレンチコート姿(すがた)の少女が立っていた。

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