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その手に見えるは機械装甲  作者: コラム
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87/948

#85

そして次の日に――。


朝食(ちょうしょく)を済(す)ませたミックスたちは、彼の担任(たんにん)教師(きょうし)であるアミノに会いに行った。


それは監視員(バックミンスター)に調(しら)べてもらったことを聞くとためと、今度のサービスのことを話し合うためだ。


昨日(きのう)も行ったファミリーレストランで待ち合わせをし、それぞれドリンクを手に取ってからテーブルに着く。


「ぶんぶん~ぶ~ん」


テーブルに着いたサービスは、ニコを自分の膝(ひざ)に乗せ、その短(みじか)いを両手(りょうて)を持って楽しそうに動かしている。


昨日(きのう)からこんな調子(ちょうし)だったせいか、ニコは朝からグッタリと疲(つか)れてしまっていた。


嫌(いや)がるにも幼女(ようじょ)のことを拒(こば)めず、もはや諦(あきら)めてされるがままだ。


「こら、サービス。あまりおいたしちゃダメでしょ」


「そういうなって。サービスだってニコと遊(あそ)びたいんだよ」


ジャズがサービスを注意(ちゅうい)するとミックスが止めた。


そしてちょっとした言い合いが始(はじ)まったが、そんな二人を見たサービスはニコから手を離(はな)し、先ほど取ってきたメロンソーダを飲むと大人(おとな)しくなった。


「あらあら、まるでパパとママね」


三人の様子(ようす)を見てアミノが微笑(ほほえ)む。


たった一晩(ひとばん)過ごしただけでもう親子のようだと、ミックスとジャズをからかうようにいった。


その言葉に、ミックスは渇(かわ)いた笑みを浮(う)かべ、ジャズは顔を真っ赤にして反論(はんろん)している。


「それよりもアミノさん。この子、サービスのことなんですけど」


すぐにでも話題(わだい)を変えたかったのか。


ジャズは早速(さっそく)サービスの今後(こんご)について話しを始めた。


彼女の両親、または保護者(ほごしゃ)は見つかったのか?


それと見つからなかったときはどうすればいいのか? 


ジャズに訊(たず)ねられたアミノからは笑みが消え、とても何かを言いづらそうな顔をしている。


「そのことなんだけど……。たぶんこの子は、テストチルドレンだと思うの……」


アミノがいったテストチルドレンとは、バイオニクス共和国(きょうわこく)内(ない)にある研究所(けんきゅうじょ)の被検体(ひけんたい)に選(えら)ばれた子どもたちのことだ。


ウェディングもテストチルドレンの出身(しゅっしん)であり、ミックスが通(かよ)っている戦災(せんさい)孤児(こじ)のための学校の生徒(せいと)たちも同じである。


ただウェディングは、被検体として優秀(ゆうしゅう)だったためにエリート校へと進学(しんがく)させられ、実験(じっけん)結果(けっか)が良くなかった子どもたちは皆(みな)ミックスがいる学校へと入れられているのが現状(げんじょう)だった。


「じゃあサービスはどこかの研究所の子ってこと?」


ミックスに訊(き)かれたアミノは首(くび)を左右(さゆう)に振って否定(ひてい)した。


彼女の話によれば、現在(げんざい)共和国では人間を使った実験(じっけん)は法律(ほうりつ)で禁止(きんし)されているらしい。


ただし例外(れいがい)として認(みと)められているものでいえば――。


治(なお)る見込(みこ)みのない病(やまい)にかかった者や、植物(しょくぶつ)人間になってしまった者、さらに本人と家族が望(のぞ)んだ場合のみに限(かぎ)るそうだ。


見る限りサービスが病人(びょうにん)には見えないし、当然(とうぜん)植物人間でもない。


となると、本人と家族が望んでテストチルドレンになった可能性(かのうせい)はあるが、アミノが調べたところ、どこの研究所からも捜索(そうさく)願いは出ていなかった。


(もしかして……叔父(おじ)さんがいってた話の……)


ジャズは、アミノの話を聞いているうちにあることを思い出した。


前に、共和国へテロ行為(こうい)をしようとした叔父――ブロード·フェンダー大佐(たいさ)のいっていた、現在でもまだ人体(じんたい)実験が行(おこな)われていることだ。


ブロードの話では、ストリング帝国(ていこく)の者が被験者に使われていたようだが、そのような非合法(ひごうほう)の組織(そしき)が他(ほか)にも存在(そんざい)する可能性は十分にある。


サービスはそこから逃げ出してきた子どもではないのか? 


ジャズがそんなネガティブなことを考えていると――。


「ともかくもう一度調べてみます。共和国内に研究所は多いから、見落としているところもあるかもしれないし」


アミノにそう言われ、ひとまず今想像(そうぞう)していたことを忘(わす)れるようとするのだった。

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