#85
そして次の日に――。
朝食を済ませたミックスたちは、彼の担任教師であるアミノに会いに行った。
それは監視員に調べてもらったことを聞くとためと、今度のサービスのことを話し合うためだ。
昨日も行ったファミリーレストランで待ち合わせをし、それぞれドリンクを手に取ってからテーブルに着く。
「ぶんぶん~ぶ~ん」
テーブルに着いたサービスは、ニコを自分の膝に乗せ、その短いを両手を持って楽しそうに動かしている。
昨日からこんな調子だったせいか、ニコは朝からグッタリと疲れてしまっていた。
嫌がるにも幼女のことを拒めず、もはや諦めてされるがままだ。
「こら、サービス。あまりおいたしちゃダメでしょ」
「そういうなって。サービスだってニコと遊びたいんだよ」
ジャズがサービスを注意するとミックスが止めた。
そしてちょっとした言い合いが始まったが、そんな二人を見たサービスはニコから手を離し、先ほど取ってきたメロンソーダを飲むと大人しくなった。
「あらあら、まるでパパとママね」
三人の様子を見てアミノが微笑む。
たった一晩過ごしただけでもう親子のようだと、ミックスとジャズをからかうようにいった。
その言葉に、ミックスは渇いた笑みを浮かべ、ジャズは顔を真っ赤にして反論している。
「それよりもアミノさん。この子、サービスのことなんですけど」
すぐにでも話題を変えたかったのか。
ジャズは早速サービスの今後について話しを始めた。
彼女の両親、または保護者は見つかったのか?
それと見つからなかったときはどうすればいいのか?
ジャズに訊ねられたアミノからは笑みが消え、とても何かを言いづらそうな顔をしている。
「そのことなんだけど……。たぶんこの子は、テストチルドレンだと思うの……」
アミノがいったテストチルドレンとは、バイオニクス共和国内にある研究所の被検体に選ばれた子どもたちのことだ。
ウェディングもテストチルドレンの出身であり、ミックスが通っている戦災孤児のための学校の生徒たちも同じである。
ただウェディングは、被検体として優秀だったためにエリート校へと進学させられ、実験結果が良くなかった子どもたちは皆ミックスがいる学校へと入れられているのが現状だった。
「じゃあサービスはどこかの研究所の子ってこと?」
ミックスに訊かれたアミノは首を左右に振って否定した。
彼女の話によれば、現在共和国では人間を使った実験は法律で禁止されているらしい。
ただし例外として認められているものでいえば――。
治る見込みのない病にかかった者や、植物人間になってしまった者、さらに本人と家族が望んだ場合のみに限るそうだ。
見る限りサービスが病人には見えないし、当然植物人間でもない。
となると、本人と家族が望んでテストチルドレンになった可能性はあるが、アミノが調べたところ、どこの研究所からも捜索願いは出ていなかった。
(もしかして……叔父さんがいってた話の……)
ジャズは、アミノの話を聞いているうちにあることを思い出した。
前に、共和国へテロ行為をしようとした叔父――ブロード·フェンダー大佐のいっていた、現在でもまだ人体実験が行われていることだ。
ブロードの話では、ストリング帝国の者が被験者に使われていたようだが、そのような非合法の組織が他にも存在する可能性は十分にある。
サービスはそこから逃げ出してきた子どもではないのか?
ジャズがそんなネガティブなことを考えていると――。
「ともかくもう一度調べてみます。共和国内に研究所は多いから、見落としているところもあるかもしれないし」
アミノにそう言われ、ひとまず今想像していたことを忘れるようとするのだった。




