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その手に見えるは機械装甲  作者: コラム
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74/948

#73

ブレイクはミックスを睨(にら)みつけると、再(ふたた)び笑みを浮(う)かべる。


だがその笑みは、嘲笑(ちょうしょう)しているのか、それとも怒(いか)りのあまり笑いがこみ上げているのかよくわからないものだ。


二人の視線(しせん)が交(まじ)わり、そんなブレイクへミックスが答(こた)える。


自分はお前を止めに来たと。


それを聞いたブレイクは、歪(ゆが)んだ笑みのまま高笑い始めた。


ミックスは、狂(くる)ったように笑っている彼に向かって、少しずつ近づいて行く。


「ビャッハハ! フギャアアアハッハアアッ! 何様(なにさま)だよテメェ? オレにボロ雑巾(ぞうきん)のようにされたのを忘(わす)れたのか?」


ご機嫌(きげん)な様子(ようす)でいうブレイク。


ミックスはそんな上機嫌の彼とは反対に、距離(きょり)が縮(ちぢ)まるたびに震(ふる)えていた。


表情(ひょうじょう)にも余裕(よゆう)はない。


今ブレイクがいったように、ミックスは彼に負けたときのことを覚(おぼ)えているのだ。


だが、内心(ないしん)から溢(あふ)れる恐怖(きょうふ)を押し殺(ころ)し、ミックスは向かって行く。


「面白(おもし)れぇ、面白れぇよテメェ。あれだけやられてもまだこのオレとやろうなんてよぉ。英雄(ヒーロー)気取りもここまでくると道化(ピエロ)だなぁ」


「クリーンは……お前のために泣いてたんだぞ」


「あん?」


震えが止まったミックスがそういうと、ブレイクの顔を強張(こわば)らせる。


その鋭(するど)い眼光(がんこう)から目をそらさずミックスは言葉を続ける。


「俺(おれ)にも兄さんや姉さんがいるからわかるんだ。クリーンは……お前のことを考えた結果(けっか)、戦いを挑(いど)んで……。それなのにどうしてまだこんなことをするんだッ!?」


「ザコがなにイキがってんだ、あん!? 道化(ピエロ)がまだ英雄(ヒーロー)になるつもりかよッ!? それじゃ笑えねぇ、笑えねぇぞ機械(きかい)ヤロウッ!」


「狂ったふりして暴(あば)れているお前のほうがよっぽど道化(ピエロ)じゃないかッ!」


「テメェ……殺す、殺してやる……。バラバラに斬(き)り裂(さ)いて粗大(そだい)ゴミの日に出してやんよッ!」


ブレイクが黒い刀(かたな)――小鉄(リトル スティール)を構(かま)えた瞬間(しゅんかん)に、ミックスは彼に殴(なぐ)りかかった。


マシーナリーウイルスによる機械化により、常人(じょうじん)の何倍もの身体(しんたい)能力(のうりょく)を身に付けたその動きはたしかに速い。


だが、それでもミックスの機械の拳(こぶし)はブレイクには届(とど)かなかった。


当たる寸前(すんぜん)で避(よ)けられ、下からアッパー気味(ぎみ)に振り上げた刀でミックスを吹(ふ)き飛ばす。


「ビャッハハ! だからぁ、おせぇぇぇんだよぉぉぉッ!」


そこからブレイクは立て続けに刀を振るい、飛ぶ斬撃を放(はな)っていく。


ミックスは両手(りょうて)を機械化させ、その猛攻(もうこう)に耐(た)えながらじっと彼を見続けていた。


「テメェが英雄(ヒーロー)なりてぇのかは知らねぇがなッ! もしこの世にそんなもんがいるんなら、オレもクリーンもこんなイカレた国に来ちゃいねぇんだよッ!」


飛ばされ続ける斬撃で辺(あた)りには爆風(ばくふう)が舞い、ブレイクはその中へと飛び込(こ)んでいく。


ミックスに止(とど)めを刺(さ)すつもりだ。


「ベルサウンド流、モード小鉄(リトル スティール)。斬鉄(ざんてつ)ッ!」


そして爆風の中からミックスを捉(とら)え、近距離(きんきょり)から繰(く)り出される光速(こうそく)の剣撃(けんげき)を放った。


だが、その光(ひかり)の速さともいうべき攻撃に手応(てごた)えはなかった。


捉えたはずの敵(てき)が、いつの間にか視界(しかい)の外にいたのだ。


ミックスはブレイクの刀をかわし、彼の顔面(がんめん)へ機械の拳を叩(たた)き込む。


カウンターの形(かたち)となって繰り出された攻撃によって、今度はブレイクが吹き飛ばされた。


「どうなってんだ……? オレの技(わざ)を……避けただけじゃなく……やり返してきやがっただと……?」


半壊(はんかい)した建物(たてもの)へと叩きつけられたブレイクは、口から流(なが)れる血(ち)を拭(ぬぐ)いながら唖然(あぜん)としていた。


おかしい。


前にやりあったときは、今の技で仕留(しと)められたはずだ。


それなのに、どうして今で奴(やつ)を倒(たお)せないのだと。


そんな狼狽(うろた)えるブレイクの前に立ったミックス。


膝(ひざ)をつく彼を見下ろしながら、力強く言葉を発(はっ)する。


「お前は俺には勝てても、クリーンの想いには勝てない……。それを今から教(おし)えてやるッ!」

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