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その手に見えるは機械装甲  作者: コラム
58/948

#57

――授業(じゅぎょう)が終わり。


ジャズは同じ学校である中等部(ちゅうとうぶ)校舎(こうしゃ)へ向かっていた。


それはクリーンに、昨夜(さくや)ファミリーレストラン前で(わか)れた後に、いったい何があったのか(たず)ねるためだ。


ジャズに()いたら否定(ひてい)するだろうが。


彼女はミックスが大怪我(おおけが)をした理由(りゆう)が気になってしょうがない。


授業(ちゅう)でもそのことばかり考えてしまい、まったく身が入らず、ようやく放課後(ほうかご)になったと早足(はやあし)で歩いていく。


そんなジャズを見た中等部の生徒(せいと)たちは、ジロジロと彼女のことを見ていた。


それもしょうがない。


高等部の生徒が中等部の校舎へといくことはほとんどないうえに、歩いているのはあのストリング帝国(ていこく)から来た留学生(りゅうがくせい)ジャズ·スクワイアなのだ。


髪型(かみがた)がサイドテールで制服(せいふく)のスカートの下にスパッツを穿()いているその姿(すがた)は、たとえ彼女の顔を知らなくてもすぐにジャズだとわかってしまう。


さすがに学校側から注意(ちゅうい)されたため、電磁波(でんじは)放出(ほうしゅつ)装置(そうち)――インストガンやナイフは持ち歩いてはいないが。


彼女の持つ雰囲気(ふんいき)は、バイオニクス共和国(きょうわこく)では異質(いしつ)なのか、すれ(ちが)う者の目には奇異(きい)(うつ)っていた。


「ったく、人のことを気安(きやす)く見てんじゃないわよ」


不機嫌(ふきげん)そうに(つぶや)くジャズ。


そんな彼女の(するど)視線(しせん)で見られた中等部の学生たちは、ビクッと(おび)えると顔をそむけて足早(あしばや)()っていく。


だが、そんな不機嫌にしている彼女に、何のためらいもなく声をかける人物(じんぶつ)(あらわ)れる。


「姉さん~!ジャズ姉さん~! ここですよ~。私たちはここにいますよ~」


共和国からハザードクラスに認定(にんてい)されている女子中学生。


科学者(かがくしゃ)たちからは舞う宝石ダンシングダイヤモンドというコードネームで呼ばれているウェディングだ。


ウェディングは両手(りょうて)を大きく振ってジャズにわかるようにアピールしている。


相変(あいか)わらずニコニコと笑顔で楽しそうだ。


ドシドシと足音(あしおと)を立てながら向かってくるジャズを見て、クリーンはウェディングに(たず)ねる。


「ジャズさん……なにかすごく怒っているように見えるのですが……」


「今日は朝からあんな感じだよ」


「朝から……。なんだかこれからのことが不安(ふあん)になりますね……」


それから合流(ごうりゅう)した三人は、ひとまず落ち着いて話ができる場所へと行こうと、昨日(きのう)行ったファミリーレストランへと向かうことに。


その移動(いどう)中――。


ジャズはあれだけ不機嫌そうだったのが(うそ)のように普通(ふつう)会話(かいわ)をしていた。


学校へ行っている(あいだ)電気(でんき)仕掛(じか)仔羊(こひつ)ニコを(りょう)の部屋に(のこ)して(さびい)しい思いをさせてしまっているとか。


科学(かがく)技術(ぎじゅつ)(すす)んでいるバイオニクス共和国では、いったいどんな授業をしているかと思えば帝国さほど代わり()えがないとか。


どこにでもいる学生がしそうな話題(わだい)を、ウェディングとクリーンにしていた。


クリーンはジャズがてっきり怒っていると思っていたことを(うた)えると、ウェディングが(こた)える。


「姉さんは顔がいつも怒って見えるからね」


「悪かったわね。どうせあたしは万年(まんねん)仏頂面(ぶっちょづら)よ」


「でも、そこがいいんじゃないですか~。姉さんらしくって」


「どこがいいのよ……」


クリーンは話しているジャズとウェディング二人の顔を見て思う。


まるで(むかし)祖母(そぼ)()らしていた国で見た、明王(みょうおう)観音(かんのん)菩薩(ぼさつ)(ぞう)のようだと。


「まさか共和国で仏像(ぶつぞう)を思い出すとは考えもしませんでしたね」


「うん? クリーン、いまなにか言った?」


「いえ、なんでもありませんよ」


それから三人はファミリーレストランへと到着(とうちゃく)し、中へ入ると、とりあえずドリンクバーを注文(ちゅうもん)


ジャズは紅茶(こうちゃ)、ウェディングはアイスココア、クリーンは緑茶(りょくちゃ)を、それぞれの機械(きかい)からとって(せき)(もど)る。


「でさ、いきなりなんだけど。クリーンに訊きたいことがあるんだ」


そして席に着くなり、ジャズは身を乗り出してクリーンに訊ねた。

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