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その手に見えるは機械装甲  作者: コラム
32/948

#32

ブロードを機械化(きかいか)させていた効果装置(エフェクト)(くだ)け、彼はもう動ける状態(じょうたい)にはない。


そう思ったミックスは安心(あんしん)したのか、地面(じめん)にめり()んでいるブロードの(そば)(たお)れた。


彼の機械化――装甲(アーマード)もすでに()けてしまっていた。


「ちょっとあんたッ!? 大丈夫(だいじょうぶ)なのッ!?」


ジャズが(あわ)てて()()ると、ミックスはニッコリと微笑(ほほえ)む。


傷口(きずぐち)が開てるじゃないのッ!? 早く病院(びょういん)に行かなきゃッ! 」


「それよりも、これで終わったんだ。よかった……」


「あんたって(やつ)は……どうしてこんなになってまで……。ムチャし()ぎだよぉ……」


「でもまあ、こんなもんだよね……ハハハ……」


それからジャズはミックスに(かた)()して立ち上がった。


そして、まずは(きず)治療(ちりょう)(さき)だと言いながら、その顔を強張(こわば)らせている。


一方(いっぽう)ミックスのほうは、ハハハと(かわ)いた笑みを()かべていた。


(われ)ながらカッコ悪いなぁ。戦いの後に女の子に(ささ)えられて帰るなんて……。ここで兄さんや姉さんだったらさり()なく()っていけるんだろうけど」


「……あんたはカッコよかったよ」


「へッ? 今なんて言ったの? よく聞こえなかったよ?」


「別になんでもないッ! いいからとりあえずあんたの傷口(きずぐち)(ふさ)がなきゃ」


ミックスから顔をそらしていうジャズ。


その(ほお)()()になっていたが、ミックスには当然(とうぜん)それが見えなかった。


ミックスは、ジャズが何をそんなに感情的(かんじょうてき)になっているかわからないでいると――。


(おれ)()けか……。だが、作戦(さくせん)続行(ぞっこう)する」


地面に(ふか)()()さっていたブロードが(うめく)くように言った。


すると、止まっていたナノクローンが起動(きどう)(おん)()らし、動き始めた。


ブロードはミックスとジャズへ(くる)しそうに声をかける。


「アーティフィシャルタワーを破壊(はかい)するのに、どうして俺が自爆(じばく)する必要(ひつよう)があったと思う?」


彼は血反吐(ちへど)()きながら、この後ナノクローンがすることを二人へ(つた)えた。


それは、アーティフィシャルタワーの爆破(ばくは)邪魔(じゃま)が入ったときのため――。


ブロード自身(じしん)、またはナノクローンのどちらかが自爆(じばく)することで、作戦を成功(せいこう)させるというものだった。


「俺が倒れて行動(こうどう)不能(ふのう)になったとしても、ナノクローンがすべて破壊されようとも、どちらにしてもアーティフィシャルタワーの爆破作戦は継続(けいぞく)する。どちらかが動ければ問題(もんだい)はない」


ブロードの言葉に驚愕(きょうがく)しているミックスとジャズの前を、ナノクローンが歩き出した。


そして、(かか)えていたヘルキャットとアリアを投げ()て、アーティフィシャルタワーへと向かって行く。


唯一(ゆいいつ)(すく)いは、ナノクローンの歩く速度(そくど)(おそ)いことくらいか。


だが、先ほどミックスが数体(すうたい)倒していたとはいえ、まだ三体(さんたい)のナノクローンが(のこ)っている。


すでに満身(まんしん)創痍(そうい)であるミックスには、ナノクローンを倒すほどの力は残されてはいない。


結局(けっきょく)は彼女たちを()()むことになってしまったな……」


「ブロード大佐(たいさ)……あんた、なんでッ!?」


ミックスがブロードへ(さけ)び、言葉を続けた。


「なんであんたは俺と戦ったときにあのドローンを使わなかったんだよッ!? ドローンと一緒(いっしょ)に戦えば俺を倒せていただろッ!?」


「何を勘違(かんちが)いしている? (まん)(いち)を考えてのことだ」


「それだけじゃない! あんたは(こころ)のどっかで止めてほしかったんじゃないのかッ!? だから負けるとわかっていたのに、(ちから)(くら)べみたいな戦い方を俺としたんだろっ!?」


「いいからジャズを連れてここから消えろ。さもないと死ぬぞ。爆破の衝撃(しょうげき)でこの周辺(しゅうへん)跡形(あとかた)もなくなるからな」


そういったブロードは、そのまま気を(うしな)ったのか、何も(しゃべ)らなくなった。


もうミックスの()いにもジャズの声にも何の反応(はんのう)(しめ)さない。


「くそッ! あれをなんとかしないと……」


「ちょっとあんた、まさかあれを止めるつもりッ!?」


「だってそうしないとみんな死んじゃうだろ。それじゃハッピーエンドにならないじゃないか」


「そんな身体(からだ)無理(むり)に決まっているでしょ!? ドローンはあたしが止めるからあんたは逃げなさいッ!」


「ジャズだってもうボロボロじゃないか?」


「うるさいッ! 今のあんたよりはマシだッ!」


こんなときに言い合いを始めるミックスとジャズ。


()めていても、何故かその光景(こうけい)はとても(なご)やかに見える。


しかしそんな二人のムードとは別に、三体のナノクローンはアーティフィシャルタワーに近づいていった。

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