表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
その手に見えるは機械装甲  作者: コラム
24/948

#24

それからジャズは道行く人に(たの)み、ミックスを医療(いりょう)施設(しせつ)へと(はこ)んでもらえるように手配(てはい)してもらった。


数分(すうふん)もしないうちに医療ドローンが(あらわ)れ、ミックスに応急(おうきゅう)処置(しょうち)を施し、彼はそのまま病院(びょういん)へと運ばれた。


もちろんジャズも一緒(いっしょ)にだ。


すでに気を(うしな)っていたミックスの身体(からだ)は、(もと)の人間の皮膚(ひふ)へと(もど)っていた。


「ジャ、ジャズ……ジャズ……」


移動中(いどうちゅう)救急車(きゅうきゅうしゃ)の中で、彼女の名を()び続けるミックス。


そんな彼を見たジャズは――。


「あんた……こんなになってもまだ……。どうしてなんだよ……。本当に……バカだよぉ……」


その手を(にぎ)りながら、泣きそうな声で(つぶや)いていた。


その後、病院に到着(とうちゃく)し、ミックスの持っていたエレクトロフォンでアミノへと連絡(れんらく)


何が何やらわからなかった彼女は、学校の授業(じゅぎょう)中断(ちゅうだん)させ、ミックスとジャズの(もと)()け付けてくれた。


「い、いったいなにがあったんですかッ!?」


身体に包帯(ほうたい)()かれて()ているミックスの姿(すがた)を見たアミノは、(あわ)てながらジャズに(たず)ねた。


だが、ジャズは何も言わずにただ泣きそうな顔で(うつむ)いている。


アミノは彼女の気持ちを(さっ)したのか、それ以上(いじょう)話をするのは止めて彼女にそっと()()う。


「ごめんなさい……あたしのせいなんです……。本当にごめんなさい……」


今にも泣き出しそうな声でいうジャズ。


そんな彼女に寄り添っていたアミノは、その(あたま)(やさ)しく()でる。


大丈夫(だいじょうぶ)、大丈夫ですよ。ミックスくんはこんなことくらいでジャズちゃんを(きら)いになったりしません」


そして、(なぐさ)めるよう(はげ)ましの言葉をかけるのであった。


それからミックスが目を()ましたのは、(つぎ)の日だった。


彼が病院のベットから身体を()こすと、そこにはアミノと、彼女に()かれていたニコがの姿があった。


「ここは……? うッ!? イタッ!」


「ダメですよ、まだ起きちゃ」


腹部(ふくぶ)を押さえ、苦痛で表情を(ゆが)ませるミックス。


アミノがそんな彼へまだ(よこ)になっているようにいうと、ニコも心配(しんぱい)そうに()いている。


ミックスはそんな彼女たちの言うことなど聞かずに、(まど)へと顔を向けた。


すでに夕日(ゆうひ)(しず)みかけていて、街灯(がいとう)が付き始めている。


自分がアリアと会ってから少なくとも数時間は経過(けいか)しているなと、ミックスは思った。


「もう、昨日(きのう)のこの病院に運ばれてから丸一日眠っていたんですよ」


「丸一日ッ!? そんなに寝てたんですか、(おれ)ッ!?」


「いろいろ大変だったんですからね。ミックスくんのために授業(じゅぎょう)自習(じしゅう)に変えたり」


今の状況(じょうきょう)を聞かされたミックスは、すぐにあることを思い出していた。


そう――。


アリアが言っていた、明日の夜にバイオニクス共和国(きょうわこく)象徴(しょうちょう)とされる管制塔(かんせいとう)――。


アーティフィシャルタワーを爆発(ばくはつ)するという話を。


(じゃあ、もうアリアたちが動き出してるってことじゃないか……)


横で話を続けているアミノの言葉など、今のミックスの(みみ)には入ってきていなかった。


「アミノ先生ッ! ジャズはッ!? ジャズは今どこにいるんですかッ!?」


話の途中(とちゅう)でいきなり訊かれたアミノは、少しムスッと不機嫌(ふきげん)そうにすると、ジャズのことを渋々(しぶしぶ)話した。


なんでも今彼女は、バイオニクス共和国にいる友人に会いにいっているらしい。


だから安心して眠っているようにと、アミノは言葉を続けた。


それを聞いたミックスは(あわ)ててベットから()りようとする。


「なんだって……? こうしちゃいられないッ! うッ!?」


だが、腹部に激痛(げきつう)が走る。


()き出しの鉄筋(てっきん)が腹を(つらぬ)いたのだ。


いくらなんでも無理に動けば、身体が(いや)がるに決まっている。


「ほら、だからまだ動いちゃダメですって。もう、いくらジャズちゃんに会いたいからって、その身体で無茶(むちゃ)はいけませんよ」


アミノはそういうと、(すわ)っていたイスから立ち上がった。


そして、ニコを抱いたまま病室から出て行こうとする。


面会(めんかい)時間がもう終わっちゃうので先生は帰りますけど、ちゃんと安静(あんせい)にしていてくださいね。担当(たんとう)の先生にはミックスくんが目に覚ましたことを(つた)えておきますから。きっとこれから(ばん)ご飯を出してくれますよ」


「先生、俺はッ!」


「何はともあれミックスが無事(ぶじ)だったので先生は(うれ)しいです。それじゃ、また明日(あした)来ますからね」


アミノは、ミックスが何を言おうとしているのかなど聞かずに、手を振って病室を出て行った。


抱かれていたニコも彼女のマネをして、その(みじか)い手を振っていた。


一人病室に(のこ)されたミックスは、着ていた病衣(びょうい)()()てた。


(はだ)露出(ろしゅつ)し、巻かれた包帯の上からでもわかるが、(はげ)しく動いたらまた傷口(きずぐち)が開いてしまいそうだ。


だがミックスは、(そば)にあった学校指定(してい)作業(さぎょう)(よう)ジャケットに(そで)(とお)す。


「心配ありがとう、アミノ先生……。でも俺は……寝てなんかいられないんだよ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ