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その手に見えるは機械装甲  作者: コラム
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22/948

#22

ジャズは近(ちか)づいてくるブロードへインストガンを乱射(らんしゃ)。


電磁波(でんじは)がブロード目掛(めが)けて飛んでいくが、効果装置(エフェクト)によって機械化(きかいか)した腕(うで)により弾(はじ)かれてしまう。


「うおぉぉぉッ!」


飛び道具(どうぐ)ではブロードを止められないと思ったジャズは、彼女が持つ銃剣(じゅうけん)タイプのインストガンの先に付いたナイフで接近戦(せっきんせん)を仕掛(しか)けた。


およそ彼女の体格(たいかく)からは想像(そうぞう)のできない力強(ちからづよ)い突(つ)きを繰(く)り出しながら、ブロードをねじ伏(ふ)せようとする。


「相変(あいか)わらずいい動きだ。やはり今後の共和国(きょうわこく)との戦争で、お前は欠(か)かすことができない逸材(いつざい)だな」


鋭(するど)い突きを休みなく続けるジャズ。


先ほどのミックスと比(くら)べるとわかるが、彼女の動きはそこらの人間よりもはるかに洗練(せんれん)されている。


その一撃一撃がジャズの過(す)ごしてきた日々(ひび)を表(あらわ)している。


しっかりと訓練(くんれん)していてもこうは動けない。


武術(ぶじゅつ)や格闘技(かくとうぎ)の経験(けいけん)がある者が見れば、彼女の動作(どうさ)にいかに無駄(むだ)がないかわかるだろう。


だがしかし、それでもブロードには当たらない。


けして彼には届(とど)かない。


二人が効果装置(エフェクト)なしの状態(じょうたい)で戦えば良い勝負(しょうぶ)になりそうだが、それでもブロードにはジャズの動きの流(なが)れがわかっているようだった。


(ダメだ。ブロード叔父(おじ)さんにはあたしの動きが完全に読まれてる。これじゃあの腕輪(ハングル)の力(ちから)を使われなくても止められないじゃないのッ!)


実際(じっさい)にブロードはすでに効果装置(エフェクト)のスイッチをオフにしてた。


いや、彼は最初(さいしょ)からジャズと戦うつもりなどなかったのだ。


「このぉぉぉッ!」


「悪いが。どれだけ素晴(すばら)らしい動きでも、型通(かたどお)りでは俺には届かん」


ジャズの銃剣を避けたブロードは、そのまま彼女の後ろへと回(まわ)り込(こ)み、背中(せなか)から押さえ込(こ)んだ。


体重差(たいじゅうさ)があるため、ジャズは力任(ちからまか)せに地面(じめん)へと叩(たた)きつけられてしまう。


「このまましばらくの間(あいだ)眠(ねむ)ってもらうぞ」


ジャズは土を噛(か)みながら涙(なみだ)を流(なが)していた。


それは、叩きつけられた痛(いた)みによるものではない。


彼女は、自分の不甲斐(ふがい)なさや何もできない悔(くや)しさに泣いているのだった。


(ここまで来たのに……。結局(けっきょく)あたしじゃダメってこと? あの人みたいに自分の大事(だいじ)な人を守(まも)りたいって、今日まで頑張(がんば)ってきたのに……全部無駄(むだ)だったってこと? マシーナリーウイルスに感染(かんせん)すらできなかったあたしじゃ……ダメ……なの……?)


ジャズが幼(おさな)い頃(ころ)に見た――。


仲間(なかま)のために、たった一人で一万の大軍(たいぐん)へ向かって行ったアン·テネシーグレッチに憧(あこが)れ、今日まで己(おのれ)を鍛(きた)えてきた。


マシーナリーウイルスによって機械人形(にんぎょう)にも適合者(てきごうしゃ)にもなれず、ただ地道(じみち)に努力(どりょく)することだけが自分ができる唯一(ゆいいつ)のことだった。


しかし、それは何の役(やく)にも立たなかった。


親友(しんゆう)に死んでほしくなくて、後先考えずに密入国(みつにゅうこく)してみたもののこの様(ざま)だ。


自分が今までやってきたことなど何の意味(いみ)もない。


このまま親友と叔父が命を落とし、再(ふたた)び戦争が始まるのを見ていることしかできないのだ。


「くそッ! くそぉぉぉッ!!」


無駄だとわかっていながらも暴(あば)れるジャズ。


ヘルキャットもアリアもそんな彼女を見ていられないのか、顔を背(そ)けている。


「お前が負担(ふたん)に思うことなどない。このことを糧(かて)に次の時代を築(きず)いてくれ」


そういったブロードがジャズに手をかけようとした瞬間(しゅんかん)、突然その身体が吹き飛ばされる。


「……勝手(かって)に押し付けるなよ」


ブロードを吹き飛ばしたのは、そう――。


「あんたたちが望(のぞ)む時代をジャズに求(もと)めるなッ!」


動けなくなっていたはずのミックスだった。

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