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その手に見えるは機械装甲  作者: コラム
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14/948

#14

学校へと向かうミックス。


アミノの住むアパートからの登校(とうこう)違和感(いわかん)(おぼ)えながらも、普段(ふだん)とは(ちが)う道に新鮮(しんせん)さを感じていた。


「うっぷ……。ダメだ、まだ()()が止まらない」


ミックスは朝からジャズの作った料理(りょうり)――(すさ)まじい刺激物(しげきぶつ)()に入れたためか、すこぶる調子(ちょうし)(わる)そうだった。


そんな身体(からだ)(ふる)い起こし、学校までバスでいくか歩いていくを考え、彼は後者(こうしゃ)選択(せんたく)


それは、まだ時間に余裕があったことと、手持(ても)ちの金銭(きんせん)を少しで節約(せつやく)しようという考えからだった。


本当は調子が悪いので、バスを使いたいのが正直(しょうじき)なところだったが、ミックスは自分の体よりもお金を大事(だいじ)にするタイプのようだ。


銀行(ぎんこう)のカードも、再発行(さいはっこう)するまではまだまだ先だしね……」


そんな(ひと)(ごと)(つぶや)きながらミックスが歩いていると、彼の(うし)ろからひとりの女子学生(がくせい)が走ってきていた。


「せんぱ~い! ミックスせんぱ~い! おはようございま~す!」


「やあ……。おはようウェディング」


ウェディングと呼ばれたロングヘアの女子学生は、挨拶(あいさつ)を返してもらうとニッコリと微笑(ほほえ)んだ。


しかし、すぐにミックスの顔色(かおいろ)が悪いことに気が付いて(あわ)て出す。


「どうしたんですかせんぱいッ!? お(かお)青空(あおぞら)のようになっていますよッ!?」


「その(たと)えだと俺の顔が清々(すがすが)しい感じに聞こえるよね……」


病院(びょういん)へ! 早く病院へ行きましょうッ!」


「俺のツッコミは無視(むし)かい……」


ウェディングは、ミックスの身体を心配(しんぱい)しているせいか、彼の言葉など(みみ)に入っていないようだった。


大声を()り上げながらその場でひとり右往左往(うおうさおう)している。


ミックスは、そんな彼女を見てため(いき)をついていた。


「それよりも大丈夫(だいじょうぶ)なの? ウェディングの学校は他校(たこう)の生徒と話すのは、校則(こうそく)禁止(きんし)されているんだろ?」


ウェディングが(せき)をおく学校は、このバイオニクス共和国(きょうわこく)の中でも優秀(ゆうしゅう)な者しか入れないエリート校である。


さらに幼稚園(ようちえん)から大学までエスカレーター(しき)であり、将来的には国の重要なポジションが約束されている学校だ。


彼女は現在(げんざい)その学校の中学生で、いわば勝ち組である。


ミックスが(かよ)っている戦災孤児(せんさいこじ)のための学校と(くら)べると、授業(じゅぎょう)内容(ないよう)も将来性も雲泥(うんでい)()だ。


「ミックスせんぱいが気にすることではないですよ。それに……私のプライベートを邪魔(じゃま)するならば、たとえこの国だろうと(つぶ)します」


「笑顔で(こわ)いこというなよ……」


冗談(じょうだん)ですよ、冗談」


本気(ほんき)にしか聞こえなかったよ……。はぁ、やっぱハザードクラスに(えら)ばれるような(やつ)は冗談も普通(ふつう)じゃないね」


「ひど~いッ! ミックスせんぱい(ひど)いです!」


(ほお)(ふく)らませてプンプン(おこ)ってみせるウェディング。


だが、ミックスが笑いながら(あや)ると、彼女はすぐに機嫌(きげん)(なお)した。


ちなみに、先ほどミックスがいったハザードクラスとは――。


バイオニクス共和国から(もっと)優秀(ゆうしゅう)な人間と認定(にんてい)されている世界最高(さいこう)クラスの能力(のうりょく)を持つ者のことである。


その(かず)は現在五人と非常(ひじょう)(すく)なく、その一人一人が一国を(ほろ)ぼせるほどの(ちから)があるとされている。


ウェディングはハザードクラスの中で最年少(さいねんしょう)であり、|舞う宝石《ダンシング·ダイヤモンド》というコードネームを(あた)えられた、国からの(もっと)期待(きたい)されている学生だ。


ミックスとはあることがきっかけで知り合い、それ以来彼のことを(した)っている。


それからバスが来てもウェディングは乗らずに、ミックスと共に歩き出した。


「いいの? さっきのバスに乗るつもりだったんだろ?」


「いいんです。今日はなんだか歩きたい気分なんです」


ミックスは、そういったウェディングを見ながら小首(こくび)(かし)げると、()を進めた。


彼女は、そんな彼の(よこ)(なら)び、ニコニコと笑みを()かべる。


(つき)綺麗(きれい)ですね、せんぱい」


「あのさ、ウェディング。いま朝なんだけど……。それともそれ、冗談のつもり?」


「せんぱいはソウセキを知らないんですか?」


そんな会話(かいわ)をしながら歩く二人の後ろから――。


ゆっくりと一人の(かげ)が追いかけていた。

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