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太陽系興亡史  作者: 双頭龍
第4章 策動するシャムシ達と近付く戦乱
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第3話

 そろそろストックが底を突きかけです。少々長くなったので分割工兵と支援は次話にて説明します。ストライカーだけでも1話かけるような気がするのですが、書いていると説明しなければ、と思う部分がどんどん長くなって、どんどん脱線していくのですが、どうしましょうかね。まあ、これも作者の文才のなさに起因しているのは理解しているのですが、だれか文才ください(切実)、しかし一方書きたい話題はいっぱいあるのに、時間も才能もないというこの矛盾、世の中矛盾だらけですね、まったく。

 「となると最終的には実際に見に行くことになるか、アバリまで」

 コウジは何かを考えながら話す。

 

 「間に合うのかい? 前聞いた、今ある十人隊を基本にした編成を、そして装備を生産し、装備させ、訓練するのに」

 

 「間に合わす、さ」

 この時代の編成は十人隊を、兵士9人に十人長を足して10人、基盤として、それが10個で百人隊、百人隊長と百人副長含む、さらにこの百人隊を3つで三百人中隊、当然三百人隊長と副長を含む、それが3つと1つの千人隊長直轄の百人隊を加えて千人隊となる。


 もちろんコウジが考えているのはこの時代の編成とは完全に異なる。


 この時代の軍事編成は基本的にファランクスと言われる重装歩兵の密集陣形である。兵士の個人装備は青銅製の鎧兜と巨大な大盾と4メートルほどの非常に長い槍によって構成されている。この重装歩兵の隊列の後ろに遠距離攻撃手段である弓、投石、投槍などの兵士が配置され敵を射撃する。戦闘の方法として、敵軍は遠距離攻撃を大盾で防ぎながら、遠距離攻撃による被害を自軍の遠距離攻撃によって牽制、被害を耐えながら接近、接近戦に移る。

 その密集陣形どうしの接近戦を他の兵科の兵士は単に観戦しているわけには、当然いかない。

 とくにファランクスはそれを構成する重装歩兵の自らの装備の重さのために、また密集した陣形のために迂回されるとめっぽう弱い。それに対し軽歩兵、あるいは騎兵やチャリオットはその側面を固め、あるいはその機動力をもって側面や背面に迂回する。


 一方コウジが考えている軍の編成は近代的な陸軍の編成であり、分隊を基盤にして小さいほうから小隊、中隊、大隊、連隊、旅団、師団、軍団、軍となる。現代において陸軍はこの単位のどこかが抜けていることが少なくない。

 例えば自衛隊の一部例外を除く歩兵部隊である普通科連隊や、フランス陸軍の輜重兵等の一部例外を除く部隊において大隊が抜けていたり、同じく例外はあるがアメリカ陸軍やドイツ連邦陸軍においては連隊が抜けているし、アメリカ海兵隊やロシア連邦陸軍においては旅団がと言った具合にである。もちろん各国軍内部にも例外もあるし、完全に単位が残っている場合もある、イギリス陸軍や中国人民解放軍のように。

 なぜ単位が抜けているのかにも各種理由がある。指揮統制の迅速化と戦力投入の効率化のため、と言う理由だったり、単純に人員や金銭的なものに由来する理由だったりする。

 戦略上は作戦上の最小の基本単位を師団としている。(もちろん何度も何度も言うが例外はある)現代において師団は歩兵、砲兵、戦車、偵察、高射、工兵、支援、対CBRN、等の部隊を組み合わせた部隊である。


 ただこれも各国の方針により編成は同じ国の師団であっても大きく異なる。

 例えば陸自において首都圏を担当としている第1師団と北海道北部を担当としている第2師団では、基盤となる普通科連隊の数は3つと同じだが、規模は第1師団隷下の各普通科連隊が5中隊編成である一方、第2師団隷下の普通科連隊が4中隊編成となる。戦車も1師なら大隊、2師なら連隊規模であるし、砲兵も規模がちがえば、2師には96式多目的誘導弾システムで武装している対舟艇対戦車中隊が追加配置されていたりする。

 このように目的や地理的条件が違えば編成は異なることになる。 


 さらに国が違えば専門の対空部隊がない師団がある国もある、アメリカとか。


 そしてコウジは陸自の編成でなくアメリカ陸軍の編成を採用しようとしている。


 現在の大半の陸軍は師団より小さい旅団を基盤作戦基本単位とするべく計画、行動している。これは以前なら同じ範囲の面を師団の1万5千人規模の戦力をもってしか作戦行動ができなかったのであるのだが、火力、機動力、指揮通信能力の向上によって5千人規模の旅団戦力によっても担当できるようになったからである。


 アメリカ陸軍においてもこの流れは同じであり、それどころかこの流れを作ったのはアメリカであるといってもいいかもしれない、現在アメリカ陸軍の基本作戦単位は師団ではなく旅団戦闘団になっている。ポスト冷戦型の対テロ作戦や予期されている戦場において、図体が大きく、冷戦期の大規模正面衝突用の師団より、長期の海外派遣やローテーション派遣に、強化された旅団の方がコストパフォーマンスに優れているからだと言われている。


 もちろん従来型の大規模紛争というときはその上級にある師団が対応することはいうまでもない。


 従来のアメリカ陸軍の旅団は典型的な師団内にある師団の編成単位である旅団であり、諸兵科連合作戦を遂行する能力はもとより、各種の後方支援部隊等もほぼ持たなかった。そのため単独で海外に派遣されることもなく、部隊を動かす際には戦力を逐次抽出して戦闘団を編成するか、師団全体を動かすしかなかった。

 しかし諸兵科連合能力と最低限の後方支援能力が与えられることにより、最低限の追加部隊の配属のみで世界中のどこへでも派遣しうるようになった。これこそが旅団戦闘団である。


 旅団戦闘団には3つの種類がある。


 まず第一に装甲戦闘車両をまったく持たない、装甲を持った車両を持っていないといっていない、951両ほどハンヴィーやら、各種トラックやらを装備している、軽量装備の歩兵旅団戦闘団。一般的な歩兵旅団戦闘団だけでなく、固有の歩兵旅団戦闘団であるものの、山岳軽歩兵(第10山岳師団)や空挺兵(第82空挺師団)、ヘリボーン兵(第101空挺師団)なんかも基本的には、ほとんど同じ編成である。


 次にその旅団戦闘団の典型的で最も有名な例であるストライカー旅団戦闘団。これは最大331両の各種ストライカー装甲車と422両のハンヴィー、364両もの各種トラック、84両もの工兵部隊用のドーザーや掘削機や支援部隊用のフォークリフトやタンクローリーが合計1201両含まれている。(資料によって1185両もある、たぶん間違っていると思うが自信が無いので記載しておく)


 元々はこのストライカー装輪装甲車は冷戦が終わり湾岸戦争~コソボ紛争までを経験した1999年以降のアメリカ陸軍の再編計画から生み出されたものであった、保険として。

 このストライカー旅団戦闘構想を発表したのはエリック・シンセキ陸軍参謀総長である。彼は過去の教訓からこの陸軍再編には地球規模の戦争、紛争に対して迅速にかつ有効に対処するためには緊急展開能力の構築が重要であると考えた。

 その過去の教訓こそが湾岸戦争とコソボ派遣である。湾岸戦争において初動として先行してサウジアラビアに展開した第82空挺師団は、たしかにその緊急展開能力を十二分に発揮できたものの、クエート軍を駆逐し、勢いに乗ったイラク軍戦車部隊を相手にするのは戦力的にもあまりに厳しかった。もちろん陸軍だけで戦争しているわけではないのだから厳しいことは一切ないのだが、戦争を抑止するための抑止力としては弱すぎた。というのもイラクのフセイン大統領は空軍力を甘く見すぎていたからだ。彼は「空軍中心の戦力で戦局は変わらないだろう」というような発言を多数行い、多国籍軍の空軍戦力を見下していた。結局クエート奪還の主力となったのは陸軍の重武装の機甲師団、機械化歩兵師団であり、これら5個師団を派遣するのに8月のクエート侵攻から約半年後のあくる年の1月まで時間を要してしまった。

 コソボ派遣では機甲師団を派遣するのに時間を有した上にM1戦車が重すぎてコソボの道路や陸橋を移動できない事態に陥ったのだ。


 これらの教訓からシンセキ大将は重量部隊は重すぎ、軽量部隊は耐久力(持久力かも)に欠けている、ミスマッチであると発言した。


 さらにその発言から数ヵ月後、改革の概要を発表する。


 その内容は、今ある従来部隊の欠点である重部隊は重すぎて緊急展開が不可、逆に軽部隊は緊急展開には適しているが、火力機動力に劣り、生存性が低く想定される犠牲に耐えることが出来ないので、新しく両者の利点を兼備する中間のクラスの部隊の新設を目指すことであった。

 高い機動性と破壊力を兼ね備える先進的な装甲戦闘車両部隊を作ることを目標としたこの計画はFCSフーチャーコンバットシステム旅団計画と言われ、12種類の有人、無人の陸上戦闘車両、4種の無人機からなる1600億ドルもの開発費と、最大1兆4000億ドルもの数十個の旅団戦闘団の編成費を必要とした。

 当然2001年の対テロ戦争が有ろうが、無かろうがこんな資金を出せるはずも無く、開発当初は15年かかると見込まれていたのだが、開発費すら高騰し始めたことによって、また対テロ戦争の戦費と、新しいアメリカ大統領の方針によって計画は中止されている。


 まあ、開発費の高騰という問題において、陸軍と契約した各種メーカーが見込みとは裏腹に性能を満たす兵器を開発できないという、彼らの開発能力の低下が根底にあるのではないかと言う意見すらある。


 そしてこの計画の完成までの間を埋めるために、またこのFCS計画の遅延や失敗と言ったリスクに対する保険としての暫定部隊として新たに開発、編成されたのがストライカー旅団戦闘団であったのだ。

 この暫定部隊の能力に対する要求は多数あり、有名なのは96時間以内に完全武装の旅団戦闘団を地球上のいかなるところにも空輸、展開できること、であろうか。

 そのほかにも展開後72時間の自立作戦行動が可能なこと、高度なC4ISRによって2500平方キロもの作戦領域を担当できること、劣悪な地形気象条件下でも作戦行動可能なこと、正規軍から非正規軍まで対処可能なこと、どんな事態の紛争や戦争にも対処できること、である。最初からフルスペクトラム作戦に対処出来るように設計、設立された部隊でもあったのだ。


 フルスペクトラム作戦とは攻勢、防勢と言った軍事作戦はもとより、その後の安定化作戦、平和維持、人道支援、民生支援までも組み合わせ、それらの非分断性に重点を置いている。まあもっとも軍の主眼は戦闘であってそのほかは片手間であるという感を拭えない事もあるのだが。つまり大規模正面衝突から小規模紛争、平時軍事衝突とその後まで、どんな任務でもばっち来いなのだ、簡単に言うと。


 暫定部隊の中核となるこの装輪装甲車両は新型ではなく、開発に金、人、物、時間、をかけないために、つまりアメリカの十八番である毎回、毎回兵器開発の難航による遅延中止を回避するため、既製品を改良することに決定した。それがスイス製ピラーニャⅢを元に開発されたLAVⅢをベースに10種類の派生型車両を大量生産するというものであった。同時多発テロの影響もあり契約から2年と1月のスピードで開発、1号車の生産にたどり着いている。最終的に対テロ戦争の戦績も考慮されストライカーは当初の想定の2倍もの生産数を獲得し4466両が生産されている。

 

 最後の旅団戦闘団が機甲旅団戦闘団である。これは言葉の通りM1A2エイブラムス戦車87両、M2とM3の両ブラットレー戦闘車135両、M109自走砲18両などを基盤に1402両もの車両を配備されている最強の旅団戦闘団である。


 いずれの旅団戦闘団にも共通する特徴がある。それは合計7個の大隊から編成されていると言うことである。つまり旅団工兵大隊、騎兵大隊、3個歩兵大隊、または3個ストライカー大隊、または3個諸兵科連合大隊、砲兵大隊、旅団支援大隊である。


 コウジも同じく旅団をこの7つの大隊で、つまり連隊を抜いて作ろうとしている。

 連隊ではいざ何かしらの失敗によって包囲されたりした時にその兵力の少なさから被害が増えることを懸念したのである。

 確かにこの時代において敵は銃を持っていない。しかしもし敗北によってこれが敵の手に渡りでもしたら、と。あまりそういったリスクを重視していないのも事実だが、軽視していないのもまた事実である。もっとも重視しているのは人的被害の方だ。現代と違いこれは別に戦死者に対する社会の厭戦気分とかを問題にしているのではなく、高度に教育された将兵を失うのが合理的に考えて損失であると考えているだけである。装備は作り直しが出来る。しかし人の命はそうはいかない。それに軍人も軍を辞めれば社会に対する優秀な人材たり得るのだ。それをむざむざ失いたくは無いし、その余裕もない。そういう意味である。

 だから逆に師団規模で敵に当たろうものなら、いったいどれぐらいの兵力の無駄を生み出すことになるのか判らない。それもまたコウジの懸念するところであった。最終的には師団を編成するのは長期目標が目標だけに避けて通れないと理解しているものの、現状でする余裕は無い。


 これらの事情を考慮にいれ、目指す編成は小銃分隊、分隊長を含めて9人、個人携帯型ロケット砲を装備した重装分隊と3個小銃分隊それに小隊長、副長、を足して38人をもって1個小隊。

 小隊を3つに、それに軽砲または軽迫撃砲班6人を足し、中隊長と副中隊長中隊長付きの6人を合わせて128人で小銃中隊。

 さらに小隊につき2門の軽迫撃砲または中迫撃砲、歩兵砲、ロケット砲を、砲兵小隊と同じ編成で編成した小隊が3つ重なり中隊合計18門120人で装備した大隊砲中隊。

 医療や、弾薬等の補給のための130人で編成している大隊支援中隊。

 これら3個小銃中隊と小銃中隊と同じ編成の1個本部中隊、大隊砲中隊、大隊支援中隊の合計6個中隊と大隊長と副大隊長、幕僚を含む大隊本部を加え、20門合計782人で歩兵大隊を編成する。


 重砲または重迫撃砲、多連装ロケット砲を分隊9人ごとに1門装備、この分隊が2つと、弾薬運搬の支援分隊2つで砲兵小隊を編成、小隊ごとに2門を装備し、この小隊3つで砲兵中隊合計6門120人を装備編成する。

 3個中隊と大隊本部、小銃中隊と同じ本部中隊、着弾観測目標指示のための観測小隊、補給のための大隊支援中隊を加え、合計19門676人で砲兵大隊を編成する。


 騎兵大隊は騎馬、あるいはチャリオット、さらにあるいは車両を基礎にする予定である。例えば騎馬なら騎兵9人で分隊、2個分隊と重武装騎馬分隊で小隊、小隊長と副小隊長2人で合計30人。

 それを3つあわせて機動偵察騎兵中隊、さらに中隊2つと騎兵大隊本部中隊、馬に牽引した軽または中迫撃砲、歩兵砲、ロケット砲2門で武装した2分隊と、弾薬支援分隊1の合計3分隊基盤の牽引砲小隊、牽引砲小隊3つで牽引砲中隊12門90人、大隊支援中隊、大隊本部で12門510人の騎兵大隊を編成する。これは採用することはおそらくないと思うがチャリオットのときの編成とは異なるし、当然車両を作り配備したときとも異なるだろう。


 更新が失敗して文章が抜けていました。たまに更新できていないときがあるんですよね、どう回避したらいいのか分からないんですが、以後、気をつけます。

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