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太陽系興亡史  作者: 双頭龍
第3章目的のためには教育だ
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第15話

 ようやく軍備の、この流れを終えることが出来ました。いやー反省点は多いですね。まず時間が取れなかったこと、これはどうしようもないことなのですがなんとかしたい、てかしてほしい。つぎにこれが一番厄介、曜日によって、書いてる時のテンションによって文章が影響されていること、一気に書き溜めするぐらいしか解決策が思い浮かばない。ラスト、作者にやっぱり文章力が無いこと~。と、まあ愚痴みたいに言っていてもしょうがないので作者自身楽しみながら、出来次第投稿していきます。

 「そうだね、話は何時でも聞けるからね。先に決めてしまおうか」

 わたりに船とばかりにシャムシも本題に戻る。

 

 「それで、どれぐらいの兵力を各勢力は有していて、どれぐらいの兵力をを指揮下に置くことになりそうなの? それによっても色々と変わるんじゃないかしら」

 エルザはまだそれら基本的情報も教えてもらってないほど本題が進んでいないことを指摘したいようだ。

 

 「父が動かせる兵力はマリとの抗争もあって常備5千、逆に支配地域を奪われた影響から最大3万程、当然この数は農作物の収穫等の兵士の生活を圧迫しない最大動員数になるんだけど、無理したことがないから確実な数は出せないけど、無理すればたぶん5万程、そしてここに周辺から金で傭兵を雇うと6万は動員可能じゃないかと思う。アッシュールは普段から1万の常備軍を支配地域の各都市に配備しているし、緊急時は河川をアッシリア商人達の協力関係にある水運に従事している各組に協力してもらうことで、とても速く動員することが出来る。過去の、と言っても、もう6年も前になるけど支配地域の境の町で代替わりの際にアッシュールと父が紛争になりかけた際、彼らは5万の兵力を急速に動員したことがあったから、それを考慮にいれても最大7万位はいけるんじゃないかな。バビロンとエシュヌンナの保有兵員数はカウルの方が詳しいだろうから、よろしくお願いするよ」

 シャムシが計算しながら答え、カウルに振る。

 

 「バビロンから説明させて貰いますが、現在どことも実際に戦闘をしていないことから、常備5千が主に北、南、東の境の各都市に配置されています。最大動員は7万。実際に動員したことのある数字なので確実でしょう。一方エシュヌンナはおそらく常備4千、最大4万と見積もっています。昔バビロンと戦闘した際はそれ位を動員したので余力はあるかもしれませんが増えて1万ほどの誤差でしょう」

 カウルは各都市の基本的な兵員情報を諳んじた。


 それを俺が簡単な地理を含めて黒板に書いていく。


 地理といえば、21世紀のこのメソポタミヤと呼ばれる土地はどう想像できるだろうか? 


 21世紀においてはイラクと呼ばれるこの土地の想像は出来るだろうか?


 砂漠の真ん中にオアシスが有ってその周囲に人が住んでいる?


 いやいやそんなことは無い。

 チグリス、ユーフラテス川とその支流流域の近くは結構肥沃である。しかし北部は山岳、西部は砂漠というのが実情だろう。


 一方この時代の両川の流域は当然肥沃であるし、そのほかの地域においても、少し乾燥しているが砂漠化まではしていない、かといって草原でもないが。

 過去、すなわち今、目の前にある光景、は温潤であった地域だというのがよく理解出来る。と同時に数千年すると完全に砂漠化するとは少し信じれないものがある。


 自然の前になんと人類とは無力な存在であることか、と言ったらエルザに笑われたことがあった。当然でしょうと、しかし知的生命はそれに抗おうとする、それこそが知的生命の知的生命たるゆえんだとも。だからこそ、それが何なのか知りたいと欲するのだろうし、だからこそ、例え勝てないとはいえそれに挑もうとするのだろうと。その結果、完全に超越するかもしれないし、単に適応しようとする形でそれと上手く付き合っていくかも知れない。でも重要なのはその過程よ、と。

 

 おっと話がそれた。


 もっとも更に南下すると既に砂漠になっている地域も有るようだが、気象学者を連れて飛んで来ていたら興奮してくれたかもしれない。提唱されていた太陽活動に関連しての気候変動、ここでは乾燥化、の可能性を確認できるのに。太陽活動変動の代理指標である炭素14、樹木の年輪や、局地の氷床コアに含まれるている、の測定によって気候の変動に太陽活動が関連していたと疑われていたのだが。


 っと、地形の話もこれぐらいにして本題に戻ろう。


 「他に注意すべき点とかはあるかい? ここの兵士は屈強だとか、騎兵が強いとか。その他留意するべき点あるのかい?」


 「えーっと、アッシリアは水運を旨く利用するよね。軍事力の展開にしても補給にしても、その相乗効果というべき物は陸路だけで戦っている我々とは速さ、量の面で根本的に違うからね。確かに我々も水運を利用することがありけどあくまで利用であって、それを基盤にすることは無いからね。ここは国家背景の差でだろうね、我々と違って支配地域が広く、また薄く、チグリス川とその支流に散らばってるからこそ共通の利益享受者であるアッシリア商人の基盤のこの河川を利用するのも、ある意味、自然だよね。一方のエシュヌンナだけど東のエラム支配地域との交易によって古くから良馬が多く、またそのために騎兵が屈強で知られているよ。それ以外にもアッシリア上流の銅と、エラムから入ってくる錫を多く利用できるから兵士の武装が良いのが有名だね」

 シャムシが考えながら答える。

 

 「あ、あと少し厄介なのが神殿関係かな。特にアッシュールは少し厄介だね。神殿は力が無いわけではないけど、そこまで強くは無い、でも完全に無視することも出来ないからね。距離感がちょっと厄介かも、アッシリアの最高神が都市の主神になってるんだよ。てか都市の主神がアッシリアの最高神になったっだったけか? ま、どっちでも良いんだけどね」

 神に無関心なシャムシであるが、ちゃんと外では猫をかぶっているので安心? だ。


 黒板に情報を書き写し、整理しながらまとめていく。


 「ふむ。こんなところか」

 

 「そうだね、そんな感じだね」

 黒板に書いた情報を見ながらシャムシとカウルがうなずく。

 

 「でシャムシが指揮するかもしれない兵力は不明、と」

 

 「最終的には決まってないからね。でも領地を守備する兵力は残さないといけないし動かせる兵力は2万から2万5千の間になると思うよ。それで父と兄が率いる兵力を考えると、たぶん多くとも7千、少なかったら3千ほどに落ち着くはずだよ」

 

 「で、3~7千の兵力に槍と剣を一本づつ持たせるだけでも、これは大仕事だな。ましてや食料から防具弓、矢の補充、馬具、ロバや馬それ本体、それらの飼料、場合によっては河川を渡るときの船とか、考えただけでも用意しなければいけないことは多そうだ」


 予備の剣や槍、防具や弓を作らせたら、さらに数は増える。


 一般的にこれらは各兵士が徴用される時に豪族が基本的に管理している。しかしだからといってすべての兵士がこれら基本的武具を規定通り持参してくるわけではない。前の戦いで負けたりなんかしていると「武具か? そんな物逃げる時邪魔だったから捨ててきたわ」とか。といっておいて実は農具に鋳なおしてしまったりとか、最悪金にしてしまったりとか、いろいろと表の理由と、それに隠れた裏の理由が有るのだ。まあ、負け戦の場合、豪族含め参加した連中にうまみはまったく無い。そうであるならばちょっとでも旨い汁を吸おうとするのが人間の性だろう、例え次の戦いに武具なしで参加しようとも。まあそんな武具なしで参加しようとする兵士を連れて行きたいわけもなし、こういう武具の不足は豪族やその配下を集める都市国家の王のよって補われるのが一般的であるらしい。


 そして重要なことにシン・ムバリド王の前回の戦いは、その負け戦であったのだから大変である。

 しかも既に補われて防衛の任に当たっている兵士は引き抜くことは出来ないし、比較的武具のそろっている豪族は王や領土防衛で活躍したシャムシの兄に優先的にまわされると考えると、おそらくほぼすべてを用意する必要が出てくるかもしれない。まあ、逆にこれのおかげで武具を一新することも出来るのであるが。


 他にも豪族達が出さなければならないものとしては、物資、といっても主に食料たまに矢や投槍等、を輸送するための馬やロバ、たまに船や人足、そして重要なのが自分達が騎兵として乗る馬や戦車である。


 もちろんこの戦車はチャリオットで、標準的なのは馬の2頭引き4輪の乗員2~3名である。チャリオットの数はその豪族の力の投影でもある。


 たしかにカウルのような軍事力=権威ではない豪族はいるものの、圧倒的にその数は少ない。


 何故チャリオットがこれほどまでに必要とされているか、更に詳しくいうと何故騎兵ではいけないのか、には切実な理由がある。


 ぶっちゃけると鞍や鐙などの馬具が発展していないからだ。


 馬上で剣や槍を振るうにしても不安定この上ない。ましてや騎射? 正気ですかと言われたぐらいだ。そんなに死にたいのならどうぞととも軽く言われてしまった。


 それらの欠点を解決するのが馬が、たまにロバも引いているが、後ろに引く戦闘用の馬車、チャリオットである。

 馬具の十分発達していない環境においての機動性、馬上での弓による射撃、そして馬車の重量から繰り出される突進力、これらが弱いはずが無い。いかに大盾と長槍を持った重装歩兵がファランクスのような密集隊形を組もうとも、その隊形の周囲に高速で移動しながら位置し、弓矢や投槍等の遠距離攻撃をされてしまえば手も足も出ない。ましてや射撃や突撃によって、この歩兵にとって壁ともいえる隊列が崩れたのならば後に待っているのは単に馬上からの集団的虐殺だけである。


 このようなチャリオットであるが、我々の前では少し話が違う。

 鐙や鞍があるからだ。主に俺が俺用に作った物をニムロデが使い、それを見た奴等が真似してと少しずつ波及していっているこれら馬具であるが、実は既に鞍は地中海方面では使用されているようだ。

 アレッポから来た商人が、作って使っているのより更に大型で丈夫な鞍を見せて貰った。何でも地中海の北の方では結構使われているものなのだとか。同じ地域で轡も同じく発明され普及までしていたので取り寄せて使わせて貰っている。

 これでエラムやその北方系の大型の馬に馬用の鎧をつけて大型の鎧を着込みめば、重層騎兵になるのだがさすがに火器を戦場に持ち込もうとしている奴のすることではない……、いや、これを他の勢力に流してライフルで撃退して、ってやめとこう馬は農業にも運送業にも利用されているからな。 

 ただチャリオットの欠点である運用費の高さ、馬と馬車、両方の飼育、整備をしなくてはならない、と地形の制限を受ける事から考えると、何か一工夫が必要であることは言うまでも無い。まあ運用費の高さは騎兵という兵科全体にいえることでもあるのだが。

 

 「結局、従来の戦備でいくにしろ、火器を主兵装に据えるにしろ、生産はどっちつかずより集中しなくては費用をかけたところで効果は薄い、それを踏まえても決断しなきゃならないことは多いな」

 半分人事みたいにシャムシに言う。


 「あ、そんなこと言っていいのかな~? 丸投げするよ。全軍に技術の漏洩を最大限に防ぎながら火器を配備するべく生産しろって。あ、笑ったな! いや、もう決定だ。次は火器で行く、だから技術漏洩を未然に防ぎつつ生産開始だ。撤回しないからな」

 なやんでいるシャムシがつい面白くて、発言にに笑って返していたら無茶が飛んできた。


 「いやいや、全軍は無理だし、技術漏洩を防ぐのなら要の部隊にだけ集中して火器を配備するのはどうだろか。これなら生産時の技術漏洩も、火薬の生産も不可能じゃないかもしれない。生産も面倒だからライフルを刻まず簡易型にすれば数を揃え易くなるかもしれんし。うんサエルにも話を聞いてみよう」

 無茶に対する回答はこれだ。まあすでにこう来たら、こう回答すると決めてはいたけどね。


 「サエルに話をするのなら私にいい考えが有ります。任せて貰ってもかまいませんか? そうでなくても来年の新入生の手配で先生方はお忙しいのでしょう。それくらいはやりますよ」

 カウルが珍しく手伝いを申し出てくれた。普段あまり自分から積極的に動かないという感じがしていたのだが、どういうことだろうか? 

 

 「それじゃあこれで解散って事で、あーあ、おなかすいたわ、早くご飯食べようっと」


 け、結局、実は空腹だっただけなのかエルザ! 

  

 

 


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