表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Solanum lyratum  作者: モモンガもどき
番外編(という名の本番)
30/30

9 Karaoke(祥平)

瀬菜メインの小説、Fairy wings が瀬菜視点完結したのでその記念に投稿です!

そちらを書いてる時に唐突に降ってきたネタです。

時間系列的にFairy wings の後、4年後の話ですね。

ただ鈴花の可愛さにズッキュンされる祥平と、瀬菜と薫の恐怖のデュエットが書きたいがために生まれた話。

曲名、歌詞などは著作権の都合上最小限までカットさせてもらってます。

それでも引っかかってしまった場合は即座に消すこととなると思うのでご了承ください。

『君を〜独りじ…』ズゴッ!


「ぎゃあ!!祥平!?」


…ことの発端は鈴花のひょんな一言である。






「なんか最近遊んでないなぁ〜」


いつものカフェ。

唇を尖らせ、不貞腐れた表情でそう呟いた鈴花は、目の前のストローをくるくると弄っている。


「そりゃそうだろ。お前は大学生だけど、俺はもう就職してんだし。」


そう言ってやると、鈴花は明らかに面白くないといった様子で頬を膨らませた。


「わかってますよー。でも、たまには高校生の頃みたく、パーッと何かしたい!ってなりません?遊園地とか、映画とか、カラオケとか、ボーリング!」


そう言って1人で楽しそうに夢膨らませている鈴花がなんだか愛おしい。

…すると、鈴花がとんでもないことを言い出した。


「あっ!?そういえば!私、祥平さんとカラオケ行ったことがない!」


…嫌な予感がした。


「…別にいいじゃねぇーか。」


俺はさりげなく鈴花から視線をそらす。


「ふぅーん…私、知ってるんですよ?祥平さん、忘年会と称して、幼馴染メンバーで毎年カラオケ行ってるの。」


「うっ…」


じーっと刺さる視線に、ゆっくりと視線を戻せばジトっとした目がこちらを見つめている。


「ずるいなぁー。私、祥平さんの彼女のはずなのに、祥平さんの歌ってるとこ知らないなんて…瀬菜さんは知ってるのに…」


そんな責めるように言われても俺には困る。


「…やだ。」


「な、なんでですかぁー!?」


「嫌なもんはやなんだよ!」


そういえば、ぷくーっと不貞腐れた顔をして、鈴花は顔をぷいっと背けた。


「ひどい…私は祥平さんの歌ってるとこみたいのに…祥平さんはそんなこと考えもしてくれないんですねぇ。」


その言葉に俺はピクリと反応する。

いや、待てよ…それって…


「…じゃあ、いいですよ。別に祥平さん困らせたいわけじゃないですし、私もたまには歌いたいなぁ〜と思っただけなんで。…今度瀬菜さん誘って2人でいきます。」


そう言った鈴花は再びまっすぐ向き直ると、目の前の飲み物に口をつける。


「……行くか。」


「…へっ?」


「カラオケ。」


俺の口からすべり出た言葉に、鈴花は呆気にとられたような表情をしていた。







「んで?2人で行くのはなんか気恥ずかしくて、私たちを呼んだくせにあんたがそれってどうなのよ?」


鈴花の歌い出しと共に盛大に頭をぶつけた瀬菜が呆れた顔で俺を見ている。


「だってよぉ…あれ。破壊力ハンパない…」


そうなんとか呟くと、瀬菜は「あぁ〜」と納得したように視線をその原因へと移した。

俺のライフをガッツリ削ってくれた鈴花ちゃんは、今は嶺緒とデュエット中だ。


「まぁ、確かにいくつになっても反則的に可愛いわよね。鈴花は…でもさぁ、あなたたち付き合ってもう何年も経ってるでしょ?なんで未だに反応がピュアなの?」


なんというか、すごく生暖かい目を向けられ、俺は言葉を詰まらせる。

そんなこと言われても…

困ったことに、付き合ってからも俺たちの反応は未だに初々しさがあるらしい。

と言っても俺は自覚はないし、周りに言われてもどこがとは全然わからない。

ただ未だに鈴花の仕草ひとつでドキッとするし、可愛い笑顔を見ればキュンともする。

それだけなのだ。


「はぁー。たく…こっち巻き込んでまでデレデレしないでくれる?そんなんなら2人で行けばいいじゃない?」


「そうだけど…瀬菜と薫だって乗り気だった癖に。」


「たまたまよ。」


「ん?どうした?てか、次誰?」


そこにちょうどトイレから帰ってきた薫が俺らに問いかけた。

何故か瀬菜の隣でなく、向かいあって座るところがなんとも薫らしい。


「今、鈴花と嶺緒が歌ってるから…あっ、次私だ。」


「へぇー…何入れたの?」


「『東京○変』」


「またかよ。他にレパートリー増やせよ。」


「そしたら男性曲になるけど?」


「…じゃあ、いいよ。」


妖しい笑顔で微笑む瀬菜に、薫は顔を顰めつつそう呟いた。

そして、何か思いついたかのようにニヤリと笑うと、瀬菜に再び声をかける。


「なぁなぁ、瀬菜。アレ…今回もやるか?」


「ん?…」


数秒考えた後、瀬菜もニヤリと笑い返す。


「いいわよ。ただし、最後(トリ)でしょ?」


そんな会話を聞きながら、俺が逃げ出したくなったのは当然だと思う。









2時間後…


『3年目の〜…♪』


『ひらきなおる…♪』


「…祥平さん、あの2人。喧嘩してるわけじゃないですよね?」


「あぁ。」


「じゃあ…なんであんな喧嘩腰なんですか!?」


「いや、鈴花あれは喧嘩腰じゃない。姉さんも薫さんもただ淡々と微笑みを浮かべながら睨み合ってるだけで…」


「だからそれが喧嘩腰って言ってるんじゃない!!」


俺たちにとっては見慣れた光景。

でも、初めてみた鈴花は涙目になりながら怖がっている。

それもそうだろう。

あの2人はテーブルを挟んで向かい合い、お互いに不敵な笑みを浮かべながら(これ固定)淡々と、しかしめっちゃ上手く声色をつけて歌っているんだから。


「あれなぁ…鈴花。俺らが忘年会でカラオケしてるってのは知ってるだろ?」


「ぅ〜、それとなにか関係があるんですかぁ〜?」


「…あれが恒例なんだよ。」


そう言うと、意味がわからないというように涙を溜めた表情で小首を傾げた。

大変可愛らしく怯えてるとこ、本当に申し訳ないのだが、これが事実。


「毎年、アレでカラオケをしめるんだよ。」


そう、そして。これが俺の中でカラオケのイメージを悪くする最大の理由だったりする。








始まりは俺らが中1の時のこと。

年の瀬も近付いた頃のことだ。


「あれ?薫?…に茜さん。どこかお出かけですか?」


「おー、瀬菜ちゃんに祥平くん!」


たまたま瀬菜の家に届け物をして、玄関で話しているところに薫と茜さんが通りかかったのだ。

時刻は夕方、薫さんがこの時間帯にいるのはなんだか珍しい。


「今日は薫と2人で忘年会しにカラオケ行くんだ〜」


そう言うととても楽しそうに茜さんがニヤリと笑った。

そんな横の薫は不貞腐れたように顔を背けている。


「カラオケ?薫が?」


「ぷっ。似合わなぁーい!」


「おい!瀬菜のてめぇー、喧嘩売ってんのか!?」


思わず噴き出す瀬菜に薫が食ってかかる。


「茜が、毎年どうしても行きたがるから、しょーがなく付き合ってるだけだよ!」


薫はそう言うと、顔を真っ赤にしながらなにか悪いかというようにこっちを睨みつけてくる。

いや、悪くはない。悪くないけど…


「わるい、あんまり薫が歌ってるとこ想像できなくて、つい…」


俺はそう言うと、あははと乾いた笑い声をたてた。

そんな様子の俺らに茜さんは何か思いついたようにニコリと笑った。


「じゃあ、2人ともくる?」


「……へぇ?」


「おい!茜!!」


予想もしない展開に俺らは目を丸くした。


「薫もなかなか歌ってくれないから、人数いた方が俺的にも楽しいんだよねぇ〜。もちろん、2人の分は俺が出すからさ!どう?」


実はカラオケなんて行ったこともなかった俺と瀬菜は、興味に負けてあっさりと茜さんについて行ったのだった。







「よっしゃ!じゃあ、ロシアンたこ焼き当たった人は罰ゲームなぁ〜。テキトーに俺が選んだ曲を1人で歌ってもらうから!」


「「「「えー!!」」」


盛り上がってきた終盤。

茜さんの唐突の一言に私たちとあとから合流した嶺緒は一気に声を上げた。

普段の茜さんはだいぶ落ち着いて見えるが、まだ若いということもあってこういう無茶振りが結構好きだったりする。


「大丈夫だよ〜。当たらなきゃいいんだから!」


茜さんはそう言うとニヤリと笑ったその笑顔はどこか意地悪く…とてもじゃないがNOとは言える雰囲気じゃなかった。

皆、互いに目を合わせると、観念したように恐る恐るとそれに手を伸ばした…




「ん!?☆ぃ#+な/&ぎ○%♪!?」


「姉さん!?」


「おっ!当たりは瀬菜ちゃんか。」


当時、辛いものが大の苦手だった瀬菜は、その当たりたこ焼きを口に含んだ途端、意味不明な言葉を言いながら、じたばたと転げ回った。

なんとかそんな瀬菜に水を飲ませると、涙を浮かべながら「死ぬかと思った〜」と呟いている。


「じゃあ、早速だけど。俺が入れた曲、デュエットだから誰か1人道ずれにして〜」


「「「はぁ!?」」」


あっさりと吐かれた爆弾発言に、ちょっと安心していた俺たちは途端に避難の声を上げる。


「1人より2人の方が楽しいじゃん?あっ、別に俺を選んでも構わないよぉ〜。」


そう言って笑う茜さんは明らかに愉快犯だ。


「…曲名聞いてから選んじゃダメですか?」


「だ〜め。」


瀬菜はむすっとした顔でぐるりと俺らに視線を向ける。


「…じゃあ、薫。」


「はぁ!?なんでだよ!!」


「あんたあんまり歌ってなかったでしょ?それにさっき私のこと笑ってたの見逃してないんだからね!」


そう言うと瀬菜はふふんと勝ち誇ったように笑った。

薫はギリギリと瀬菜を睨んでいるけど、茜さんに「拒否権ねぇ〜ぞ〜」とゲラゲラ笑われているから何も言えないでいる。


「はぁ〜。マジで最高。安心し〜、薫。お前の知ってる曲だから。」


「…で、曲ってなんなんですか?」


俺が恐る恐る聞けば、茜さんはニヤリと笑う。


「ん?『3○目の△気』」


「「はぁ!?(なんでそれ選んだんだよ〜 by 薫)」」


「ん?履歴の100番目のがそれだったから。」


「「(ご愁傷様です。)」」


そんなやりとりを見ながら、俺と嶺緒が密かに合掌したのは言うまでもない。


「…まぁ、しょうがない。罰ゲームだし。」


「いや!お前はいいかもだけど俺は巻き添え!!マジでヤダ。やんねぇーからな!」


「何よそれ!!…ははぁーん。さては私と一緒に歌うのやなんでしょ?自分の下手さわかっちゃうから。」


「なっ、そんなことねぇーよ!ならいいよ!全力で歌ってやるよ!!お前こそ舐めたマネしてんじゃねぇーぞ!!」


「上等だ!!やってやろーじゃないの!!」








「…ってことがきっかけに、毎年アレが締めとして歌われるわけ。」


「…なんというか……それでいいんですか?」


「まぁ、今じゃあアイツらも嬉々として歌ってるし、俺らの中ではカラオケ=アレなのよ。」


そう言って苦笑いを浮かべる俺に、鈴花は複雑な表情を浮かべている。

カラオケからの帰り道。

鈴花を送るため、他の奴らと別れた俺たちは2人だけで夜道を歩いている。


「まぁ、いろいろあったけど。楽しかったですね?」


「…そぉーか?」


「はい!久しぶりに歌えて、祥平さんの歌ってるとこも見れて!!」


「おっお前なぁ〜」


「祥平さんは嬉しくなかったんですか?私の歌ってるとこ見れて?」


そう言って首を傾げてくる鈴花に、思わず顔が赤くなってしまったのはしょうがないこと。

なんだかんだ言っても俺は、鈴花に振り回されっぱなしなのかもしれない。



ここでそれぞれのレパートリー的なものを紹介。


鈴花→女性モノのJ-pop、洋楽、アニソン、ボカロまで幅広いジャンルOK。1度聴いた曲は大体歌えてしまう。あざといなぁ〜っていう選曲が多い。

(ちなみに、最初の曲は私が最近たまたま聴いて、鈴花に歌わせたかっただけで選ばれました。 笑)


祥平→Rockやhip-hop系、J-popなら声が低めの男性バラード曲を好んで歌う。いつも決まった曲を歌うタイプ。無茶振りで演歌を歌ったことがあるとかないとか。


瀬菜→女性曲なら東京○変。他は声高めの男性曲をよく歌う。洋楽も気分で歌ったりもする。酔うとアニソンあたりをリクエストすれば歌ってくれたりもする。笑


薫→J-popなら男性曲全般。高い声の歌手とかの曲が多い。たまにキー変えて女性の曲も歌ってる。無茶振りによってたまにとんでもない曲を歌えるようになってたりする。笑


嶺緒→女性曲、男性曲なんでもバッチこいの人。笑 鈴花と同じくallジャンルOK。たぶん、こいつがカラオケで1番の強者だと思う。


学生時代、鈴花と嶺緒はよくカラオケに行ってたりしました。笑

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ