表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
性悪勇者と困ったさん  作者: もちごめ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

17/17

17

部屋から出てクリスティが来るまで扉の前に格好つけて待っていたゼーロン。姿が見えた瞬間、跪いて腕を広げた。


「おはよう、愛しのレディ」


「おはようございます、ゼーロン様」


頬を染めて恥ずかしそうにするクリスティ。


スリーピースのスーツでパリッと決めているゼーロンは嫌味な程、格好良い。いつもの無造作な髪型ではないし、日頃の冒険によって鍛えられている身体だけありスーツに着られているという様な事も無く良く似合っている。


「これから、お店に案内するよ。僕と一緒に来てくれますか?」


「はい、喜んで」


微笑み合って歩き出す2人。宿屋を出て行く、今日は朝ご飯も外で取るつもりである。




仲良く腕を組んで宿屋から出る様子を目撃したマリア。あらやだと口元に手を当て、ゼーロンのおめかし具合に本気度を感じる。ニヤニヤと笑い心の中でエールを送った。

存外にマリアは良い奴なのだ。


足取り軽く食堂へ向かう。

今日のご飯は何だろうと気持ちは上向き知らず鼻歌が漏れた。


美味しそうな香りに包まれマリアはどんどん料理を選んでいく。これも、あれも、それもと美味しそうな料理は全部食べてやるのだと気合いが入って何時も以上に取った。

トレイ2枚に一杯である。満足気な顔で座り次々と平らげていく、もはや名人芸だ。


今日も凄いなぁと従業員達からの視線が刺さる。


食べ終わりトレイを片付け教会へ向かう。稼がなければ宿を追い出されるのだ。死活問題である。

司祭様の案内を受け恒例の奥の部屋に向かった。

病人は残らず治し、しっかりとお金を貰うぞとやる気を漲らせるマリア。


「聖女様、実は教会に助けを求めて来た者達が増えまして」


病が治ったと回復した病人の家族が近所に話した事で広まったようだ。


「ぁ.....だ、大丈夫です。やりましょう」


気合いを入れて腕まくりをしてみせるマリア。


「さすがは聖女様です」


司祭は頭を深く下げて感謝の思いを示す。


一歩足を踏み入れると確かに空いた筈のベッドは、また全てが埋まっていた。


「聖女様!」


「お願いします」


「まだ生きていたい」


熊から貰った力があるのだから出来る筈だと自分に言い聞かせ、力強く頷いてみせるマリア。


元々教会に来ていた人達を、まず優先させて治していく。

朝食べたトレイに山盛り2枚分が効いているのか、これまでよりも数人多く治す事が出来た。


「聖女様、今日はもう充分ですよ。有難うございます」


「ぃぇ、ぁ、はい、あのまた明日に」


コクコク頷きながら、大銀貨5枚を受け取りつつ教会を後にする。今日は誰にも取られないぞと胸元にねじこんだ。





「美味い!」


「ね! これ前に食べて感動したの」


クリスティお勧めの屋台での買い食いである。大きめのバンズに豪快に挟まれた肉は思っているよりも柔らかく食べやすい。

タレが服に着かないように気を付けつつ齧り付く。甘辛いタレが絡んで絶品だ。


「食べ終わったら服屋に行きたいんだけど、良い?」


「良いわよ? 今でも充分に格好良いけど......」


「レディ? 貴女の服を買うんですよ?」


「私!?」


考えてもいなかったらしく、え? え? と慌てている様子が可愛らしい。


少しして食べ終わると腕を組み直して服屋へと向かう。店がある方に近付くにつれてクリスティは顔色が悪くなっていた。


「待って、ゼーロン様....私じゃ、こんな店入れない」


「何言ってるの、大丈夫だよ」


腕を組んでいる為に逃げ出す事も叶わず渋々と店に入る。


「お待ちしておりました。どうぞ此方へ」


奥に案内される。フカフカのソファに座ると柔らかく包まれ、今までに座った事が無い程に上質だと分かる。

クリスティはパニックを起こしていた。

しかし、美しいドレスが運び込まれて来るとドレスに視線が行く。


「なんて綺麗なの」


「どれか気に入った? 着てみようか?」


昨日来たばっかりで、まだ緊張しているもののクリスティに良い所を見せようと熟れている感を出すゼーロン。


「やっぱり赤いドレスが似合うと思うよ」


自分の色を贈りたいゼーロンの欲が出てしまう。


「そうですね、確かに彼女様には赤色が似合うと思います」


店員も同意を示してくれた事で何だか鼻高々な気持ちになる。顔には出さない様にすまし顔だ。


「赤色系統で彼女に似合いそうな物を持って来て貰えますか?」


「かしこまりました」


何枚か持って来られたドレス。実際に着てみましょうと店員に促され部屋から出て行ってしまったクリスティ。


着替える度に部屋に戻って来てゼーロンに一周して見せられる。どれも似合っていて正直選べる事等出来そうもない。


「困ったな」


「何か御座いましたか?」


「あ、どれも似合っていて選べないなと思っていました」


「そうですね。彼女様はとてもスタイルが良いので、どれも上手く着こなしていましたね」


「そうなんですよ。いや、見せて貰えた5着全て買います。今日、フクースナに連れて行きたいと思っていて......」


「成る程、袖が長い物だと汚してしまうかもしれませんね。半袖位の長さの物を着て貰いましょう」


「有難うございます。お願いします」


こうして全て購入されたドレスは宿屋に一旦届けられる様に手配された。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ