表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
今更好きだと言えない  作者: 秘翠 ミツキ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

21/33

21

「あれ、聞こえなかったかな?気持ち悪いねって言ったんだけど」


シェルト様、どうなさったのかしら。何か悪い物でも食べられた、とか……。


アイリーンの顔に、汗が一筋流れた。


別にユリウスが、気持ち悪くないと言っている訳ではない。寧ろ同意見で、アイリーンも気持ち悪いなぁとは思ってはいる。


先日の屋敷を訪ねて来た時も、今日のこの部屋を見ても……いやもっと以前から思ってはいた。幼馴染、幼馴染と言いながらレベッカを庇う姿に、予々気持ち悪いとは思っていた。


だが!それは、流石に口にするのはマズイ。シェルト様、それはマズイです!しかも、こんな公衆の面前で。もし言うなら、せめて2人だけの時とかに……もしかして、ワザとなんですか⁈


アイリーンは、シェルトの背中越しにユリウスを盗み見た。だらし無く口を半開きにして、呆然として立ち尽くしている。まあ、無理もないだろう。


2回も堂々と面と向かって、気持ち悪いねと言われたのだから。自分だったら暫く立ち直れない。



「……しぇ、シェルト、貴方、何言って」


ユリウスだけでなく、周りも固まり沈黙が続く中、それを破ったのはレベッカだった。かなり、動揺している。というか、もう泣き真似はしなくて宜んでしょうか?レベッカ様。



「もしかして、皆耳が悪い、とか?」


「は?違うわよ!そうじゃなくて、よくそんな失礼な事言えるわね⁈」



シェルトはその言葉に、レベッカに鋭い視線を向ける。



「失礼な事?じゃあ、君がアイリーンに毎回言っている事は失礼ではないのかな。先程も、随分と色々言ってたみたいだけど」


「は、なんでそんな事知って……」


レベッカは、言いかけて口を噤んだ。その様子を見てシェルトは、笑った。目だけは笑っていないが。


「僕を余り、甘く見ないで欲しいな。大事なものを守る為なら、手段は選ばない」


大事なもの……それって……私の、事?


「レベッカ、これまで君がしてきた事は決して許されない。先日、父上からお叱りを受けたにも関わらず、本当君は懲りないね」



レベッカは、唇を噛みシェルトを睨んでいる。何か言いたげだ。



「ユリウス。それと、公爵方。先日父上からアイリーンとユリウスの婚約は解消する様にと、お達しがあった筈ですが、ご覧になりませんでしたか?全く、こんな強行手段に出るとはね……。命令に背いた以上、それなりの処罰が下る事は覚悟して下さい」


シェルトは、大袈裟にため息を吐いて見せた。


「それにしても、アイリーン。君のご両親方は随分と素晴らしい思考の持ち主だね」


シェルトの言葉に、アイリーンの両親もユリウスの両親も、急に焦り出すと必死に陳腐な弁解を始めた。その様子にアイリーンは、スッと心が冷えていく感覚を覚えた。


項垂れながら、シェルトに許しを請う姿は酷く滑稽で情けなくて、愚かだ。そこに、貴族としての誇りなどカケラもない。


アイリーンは、無意識にシェルトの横をすり抜け、ユリウスや両親達の前へと歩いて行った。シェルトは、そんなアイリーンを見守っている。


「あ、アイリーン、お前からも殿下に誤解だと説明しなさい。ユリウス君との婚姻はお前の意思でもあると言いなさいっ」


弾かれたようにアイリーンを見遣る父は、アイリーンに縋るように近付いて来た。



誤解?誤解なんてない。今まで私はレベッカ様から嫌がらせを受けてきた。ユリウス様は、全て私が悪いと仰って責めるしかなさらなかった。


お父様やお母様達もそう。


私は、貴方達にあるがままを話した。でも、誰1人としてまともに取り合ってくれなかった……そればかりか、無理やりユリウス様と結婚させようとさせてきた……。


ハッキリ言います。


気持ち悪い。お父様も、お母様も、ユリウス様も、レベッカ様も……気持ち悪い、嫌いです、顔も見たくないっ。


……私、貴方達の娘をやめます。ユリウス様と婚約破棄します。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ