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屋敷の中に入ると父と母とは別行動になった。アイリーンは、屋敷の侍女に連れられてある部屋に通された。そして、直ぐ様思った。
趣味悪……と。
部屋の中は、兎に角派手だった。真っ赤なカーテンに、真っ赤なテーブル、椅子、壁と絨毯は白いが、ベッドは純金で出来ているようで光り輝いている。そして、白いシーツの上には真っ赤な薔薇が無数に敷き詰められいた。
鳥肌がっ。凄く嫌な予感がする。まさか、これって。
次の瞬間、ガチャリと音が聞こえ扉が開いた。
ユリウス様⁈
アイリーンは、思わず背後に跳ね除けた。
「あら、アイリーン様、如何なさいました?」
部屋に入って来たのは、意外にもレベッカだった。予想外の人物にアイリーンは、ほっと胸をなで下ろすもつかの間、複雑だ。
「レベッカ、様こそ……何故、この様な場所に」
まさか、ユリウスがレベッカを呼んだのか?まあ、そうでしょうね。呼ばなくても来そうではあるが。
「私は、ユリウスに招待されたのよ。今日、ユリウスとアイリーン様がご成婚なさるとか、で」
その言葉に、アイリーンは息を呑む。やはり、今日婚儀を行うつもりなんだ。
「ねぇ、アイリーン様。アイリーン様なんかに、ユリウスは勿体ないと思われませんか?」
可愛く首を傾げて、そう聞いてくるレベッカに更に鳥肌が立つ。
「……レベッカ様は、どうされたいんですか。ユリウス様と結婚したいのですか」
「くす、私がユリウスと?私にはシェルトがいるのよ。ユリウスと結婚なんてしませんよ。アイリーン様、大丈夫ですか?頭でも悪くされたんですか?あら、失礼。元々でしたね」
相変わらず、レベッカの暴言は止まらない。ここは、聞き流すのが得策だ。冷静に……冷静に。
「では、何故私とユリウス様の仲を壊そうと」
本当、頭悪……と低い声でレベッカは呟いた。小声だった故、本人は聞こえないように言ったのかも知れないが、思いっきり聞こえてます。そして、余りの低い声にアイリーンは引いた。普段の猫撫で声が嘘のようだ……泣き真似といい、本当に何から何まである意味で素晴らしい。
「だって、アイリーン様って全然可愛くないし、美人でもないし、パッとしないし、良いところなんてないし」
これは、ただの悪口ですね。アイリーンは、苛っとするが堪える。
「それなのに、ユリウスはアイリーン様がいいって言うんですよ?おかしいと思いません?」
はい、貴女がおかしいと思いますよ。ってユリウス様が私がいい、とは……?
「どう考えても、私の方が魅力的で、可愛くて美人で、完璧なのに」
ここまで自画自賛出来ると、ある意味で清々しく思えてくるから不思議だと、アイリーンは思う。
「私はユリウスの幼馴染なのよ‼︎」
よ~く、存じ上げております。耳にタコが出来る程聞かせれましたので。
「その私を差し置いて、ユリウスったら私の誘いを断ったのよ⁈信じられないでしょう⁈」
レベッカの話を纏めると、以前レベッカがユリウスをお茶に誘った際に、婚約者であるアイリーンとの先約があるからとレベッカの誘いを断ったと言う事らしい。
「……」
まさか?そんな理由であんなとんでもない行動をしていたの⁈
開いた口が塞がらないとは、まさにこの事だろう。アイリーンは、呆然としてレベッカを見るしか出来ない。汗が一筋顔を伝う。
アホらし過ぎる。
「だから、ユリウスにはアイリーン様よりも私の方が魅力的だって分からせてあげようと思って!それに、前からアイリーン様って生意気だって思ってたから丁度良いなぁって!」
嬉々として話すレベッカに、もはや何も言葉はなかった。
その時足音が廊下から聞こえてきた。その瞬間レベッカはアイリーンを見て、不敵に笑みを浮かべた。それを見てハッとしたが、時既に遅し。
レベッカは、パチンッと自らの頬を叩いた。




